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【淡路島・楊貴館】
「私は忙しいのよ!BOY(ぼうや!)今度から面会は事前に予約を取り付けてちょうだい!」
真っ赤なおかっぱのフルウィッグに真っ赤なルージュ、全身真っ黒なハイレグボンテージファッションに、身を包んだマダム鶴子がズカズカと直哉の待つ応接室に入って来た
凶器にもなりそうなピンヒール、太ももまであるラバーブーツの踵をコツコツ響かせて、直哉が座っているソファーまでやってきた
SM女王様ファッションの彼女は、お尻がむき出しのTバックスタイルだった
―また膨らましたな―
直哉は心の中で思った、以前に見た時より尻が1.5倍に膨らんでいる、まったくこの楊貴館の女どもは、胸と尻をシリコンで膨らませるのに命をかけている
しかもその形は一見素人見には分からなくても、直哉には整形をしている女はすぐに見破れる、そして手触りは最悪でドッヂボールのように硬い
あれは萎える
フト直哉は紗理奈の天然の胸と尻を思い出した、極上の雲のような手触りだった、それか堅めのスライム・・・・
マダムは傍にいる女秘書に手に持っていた、鞭を手渡してくるりと振り向いた、前を向くとそこで直哉の妄想が途切れた
彼女のきわどく食い込まれた、ハイレッグの股間は今にも身がはみ出しそうだ
疲れた様子でドサリと座ると、彼女は太ももまであるラバーブーツの足を組み、テーブルのシガレットケースから、煙草を1本取り出す
「紗理奈の事で、いくつか話し合わないといけないと思ってね」
シュッとライターに火を灯すと、マダムが前かがみになって直哉がつけた火に、煙草をかざした、スッと息を吸いこむと煙草の先が赤く燃えた
「Youから電話をもらった時は驚いたけど、あれから水谷先生から報酬が振り込まれたので、お返ししないといけないと思ってたのよ、もしかしたら水谷先生はYouあなたの事を、うちの従業員と間違えているんじゃないかと思ったの、それにYou達なら上手くいくかもって思ったしね」
マダムの瞳が楽しそうに輝いた
「そうなのかい?俺達が上手くいくと?」
直哉が聞き返した
「ええ!そうよ!水谷先生ほど素敵な女性はいないと思うわ、彼女は果敢にも私の所に単身乗り込んできて、誕生日の自分のプレゼントに男を買いたいと言ったのよ!まるで魚屋に魚を注文するみたいにね!」
その時を思い出したのか、マダムは口に手の甲を当ててホホホホと笑った
「なんて勇気のある女性かしらと感心したのよ、それに先生の物腰や、喋り方からはとても上品な、知性が溢れていたわ、この島ではあれほどの、資質を兼ね備えた女性はお目にかかれないわ」
マダムは優雅に足を組みなおし、トントンと煙草の灰を灰皿に落とした
「でも実際悩んでいたのよ、最初はうちのアダムか慎二か豊のどの子を行かそうか、悩んでたの、でもほら、あの子達、顔は綺麗でもオツムは空っぽでしょう?あの子達と10分も話したら水谷先生はきっと退屈してしまうんじゃないかしらと思ったのよ。そこでサプライズ企画で盛り上げて何人かで、押し寄せてお祝いパーティをした後にどれか一人を選んでもらって・・・何なら三人全員でもこちらはかまわないと思ってたの、でもYouから電話を頂いて素敵な考えが浮かんだの!Youならぴったりだと思ったのよ 」
その話を聞いて直哉はぞっとした、本当に自分が偶然紗理奈の所に行って良かったと思った
「それからは先生から苦情の電話もなかったから、きっとYouは上手くヤったんだと思っていたわけ」
ウフン♪とマダムがウインクした、自分の仕事に心から満足しているようだった
「それにYouが一目で水谷先生の虜になると確信していたし、もしかしたらこんな偶然神様が仕組んだ運命かもしれないって、時々するのよ!そーゆーことを神様って 」
直哉は彼女が正しかったことを、認めるつもりはなかったので、わざとしかめっ面をした
「俺達はまだ最後までヤってないよ、いったい全体どうして俺が彼女の虜に、なるなんて思ったんだ?」
「あ~ら!BOY!あなた達は似た者同士じゃない!」
わからないの?とばかりに、コロコロ笑うマダムを見て、直哉は少しムッとした
「似てる?どこが?」
マダムは立ち上がって、キャビネットの上にあるワインクーラーに刺さっている、ボトルから赤ワインを注いで帰って来た
片眉をクイッとあげて(飲む?)と問いかけるが、直哉は車で来てるので首を振った
パチンッとマダムが指を鳴らすと、秘書が直哉にコーヒーを持ってきた
「水谷先生は本当は男性からの愛情を必要としているのに、一晩肉欲を満たせばそれで済むと思っていたわ、彼女は男性と深く関わる事を恐れている女よ」
ワインを少し啜ってグラスに口紅が、ついた所を親指でキュッと拭く
「そしてYouあなたは、セックスマシーンのように色んな女とヤるけど、決して一人の女と深い関係にはならない、Youも先生も愛し合える相手を見つける事を、恐れているわ、どう?その後彼女とは会ったの?」
「この間競馬場で会ったけど、彼女は俺の顔を見るなり逃げ出したよ、まるでエイリアン扱いさ、それに俺は彼女以外にもヤる相手はごまんといるよ」
直哉が肩をすくめて言った、チッチッとマダムは人差し指を振った
「ノンノン!BOY!私が言ってることはただ女とヤるという意味では、ないのよ鈍感ね!パートナーが欲しいと思ったことはないの?愛し愛されて信頼関係を築いて・・・信じて心を打ち明けられる人よ、Youも水谷先生の事を言えないわ彼女は男に・・・そしてYouは継母に傷つけられた傷を、もうそろそろ癒しても良い頃よ」
「用事を思い出したから失礼するよ 」
そう言って直哉は立ち上がった
「You!早くヤっちゃいなさいよ!でないと誰かに水谷先生をとられるわよん♪」
それ以上面白がるマダムの話を聞いていられず、直哉はマダムの部屋を後にした
直哉は夕日を背に国道をオープンカーで走らせていた
マダムに言い返せないのが悔しかった、直哉は本当の気持ちを人に話す習慣がなかった
ずっと以前に直哉は大切なことは何も言わずに、人と軽いおしゃべりをする技を学んだ
今までの自分は女に不自由したことがなく、融通の利く男だった
テキーラでほろ酔いになって、バーでひっかけたかわいこちゃん二人相手に、一晩で6個~7個のコンドームを、使い切るような真似は日常茶飯事だった
かつてないほどの激しいセックスで、ぶっ飛ぶこともあったし、飛ばすことも得意だった
仕事で地方に行くと必ず、女の子にアプローチをかけ、落とす、愛想は振りまくものの一旦SEXが終われば、ハイさようなら、運が良ければ二回目もあるかもね
これが今までのパターンだった
女の子はみんな好きだった、金髪、黒髪、ピンクの乳首、茶色の乳首、尻がデカい小さい、痩せている、太っている、ペチャパイ、デカパイ、緩い、締まっている、色も形も多種多様どれも全部好きだった
その時その時の女の子をどれほど気に入ろうと、セックスがどれほど楽しかろうと、笑ってバイバイしたら、一時間後にはすっかり忘れ、また違う巡りあわせを求めた
兄の北斗がアリスと溢れんばかりの愛に、どっぷりと浸かってるのは、見てて気持ちがよかったし
羊のように繁殖をしている兄貴の子供達からは(面白い事をしてくれる直哉おじさん)と、尊敬の目で見られるのも良い気分だ
弟はゲイだが魂の番つがいと外国で幸せに暮らしてる、アキのパートナーのレオはアキに発信機をつけるのは、当然だと思うぐらい監視し守っている、アイツらはどこででも二人で幸せに、暮らせる能力を持っている、きっと死ぬ時も二人一緒なのだろう
そんな兄弟を羨ましいと思うこともあるが、やはりどこか自分と関係ない世界だと思っていた
兄貴とジンはそんな遊びでしか、女と付き合わない直哉を、無言でしょっちゅう非難している、アリスは面白がっている
一度ジンが直哉に「セックス依存症を治すための10のセラピー」 というファイルを送ってきたことがあるが、笑い飛ばした、今まで一度も病気にならなかったのは、必ずコンドームをつけていたから
ところが先日、あの水谷紗理奈と出会ってから自分はおかしい、一目見た時から違ったものを感じた
彼女のオーラは全身処女ですと叫んでいた、かぐわしく、どこかあどけない
紗理奈のツルツルのアソコをみた瞬間、直哉は息をきらし、顔を真っ赤にして言葉を失っていた
まるでティーンエイジャーだ、微かに震えていた
いつでも気が利いて、口がうまくて、一夜の相手にはうってつけの男が
女の子達をその気にさせたり、なだめてやったり、何度もイかせて満足させてきたこの成宮直哉が