テラーノベル
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震える足を拳で叩き、よろめきながら崩れた廃工場に向かう
奥まで飛ばされたならきっと工場の後ろ側にいるに違いない
指先から流れる血も気にならないほどに夢中で瓦礫を退かしていく
「小柳君‥‥小柳君!」
夕日も落ちかけ、辺りも静寂に包まれ始める
その時耳に何か聞こえた気がした
何か微かに動く音
どこだ⁈
きっと小柳君に違いない!
「小柳君!どこにいるんですか?」
「‥‥‥‥‥‥」
どこだ?
俺は這いずり回らながら耳を澄ませる
「‥‥‥‥ぅ‥‥なぅ‥‥‥‥」
「え‥‥‥‥オトモ?」
瓦礫の隙間から小柳君のオトモが現れた
砂や埃を沢山身に纏いながら‥‥
「オトモ!小柳君いるんですね⁈」
「なぅ‥‥にゃん!」
「あっ!ちょっと‥‥俺その隙間は‥‥」
小さな空洞の中に吸い込まれる様にオトモが消える
下を通られたら行方を追えない
「オトモ!待ってよ!!」
「‥‥なーっ」
「どこ?どこです⁈」
「なーぅ!みゃう!」
ふと顔を上げると離れた場所の瓦礫の上でオトモがぴょんぴょんと跳ねていた
「そこか‥‥ちょっと待ってて!」
一段と山積みになっている瓦礫の下
ここに小柳君がいるんだ
俺はその場所に近寄ると隙間を見つけて瓦礫を手で退かし始める
少しすると真っ暗な空間が出て来た
天井の一枚のコンクリートが瓦礫と瓦礫に挟まり、丁度良い空間が出来たんだ
そしてすぐに俺の目に入った
「小柳君!!」
「‥‥‥‥‥‥」
返事が無い
俺は小柳君の足先に手を触れる
そして揺らしてみた
やはり反応は無い
「くっ‥‥狭すぎっ‥‥」
俺の体じゃ奥まで入らなそう
それでも小柳君の腕を掴んだ
ゆっくりとこちらに引っ張って行く
足首も一緒に持ち、くの字に折れ曲がる小柳君を引きずり出そうと試みる
顔が見えた
その顔は赤く染まっている
瓦礫がぶつかったのか‥‥
早く助けないと
足と手を持ち、またゆっくりと引きずり出そうと引っ張る
でも何かに引っ掛かっている様な感覚がある
手も足も体も瓦礫には挟まれている様には見えない
俺は力を込めて小柳君を引っ張った
「‥‥っう‥‥ぅ‥‥」
「小柳君!!」
俺は出て来た彼の体を抱き寄せた
でも嬉しい感情は一瞬で消え去る
抱きしめた背中が冷たかった
そして俺の視線の向こう
小柳君が今居た場所
くの字に曲がった太い鉄筋
そこから垂れる黒い液体‥‥
「‥‥嘘、俺‥‥」
抱きしめた背中が温かくなる
新しく小柳君の体から出ている血の温かさだ
「小柳‥‥くん?」
「‥‥ヒィッ‥‥‥‥ヒュッ‥‥‥‥」
呼吸が‥‥‥‥
苦しそうに息をする音が聞こえる
「待って‥‥今本部に戻るから‥‥小柳君!」
抱き抱えた小柳君の腕が下に落ちる
そんなことは無い
絶対そんなことがあるはずが無い
俺達はなんのために戦ってたのか
なんでこんな事のために愛する人を失わなければならないのか
それにまだ俺はあなたの全てを思い出してあげれていないのに‥‥
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コメント
4件

緊迫した雰囲気に引き込まれて息するのを忘れてしまいました。 ハァハァ(;´∀`)・・
/ __ こやぁ~ タヒのまえ?るべー頑張って~!! これみたらライが泣きながら怒りそう... 続き待ってます!