初めから気に食わなかった。
君を見る目がおれと同じだったから。
友情が愛情に変わるのは必然で。
君も同じ気持ちだと思ったいたけど、
一歩は踏み出せず、
幼馴染と言うポジションに甘えて、
気付いたら君の隣には彼が居た。
どうして?
なんで?
そこはおれの場所になるはずだったのに。
「…急に来て、ごめん。」
深夜、チャイムが鳴る。
一体誰だとインターフォンを見ると、荒い画像からでも分かるほど、目を腫らした君が居た。
家に上がると、いつもの定位置に座る君。
久しぶりに見る光景に胸が高鳴った。
「どうしたの?涼ちゃんと喧嘩でもした?」
君は小さく横に首を振った。
瞳からは今にも涙が溢れ出しそうになっている。
「じゃあ、なんで泣いてるの?」
抱きしめたくなる気持ちをグッと抑えて、出来るだけ平然を装う。
「寂しくて、」
しばらくの沈黙の後に、君はそう呟いた。
大切な何かが壊れる音がした。
ああ、もうどこにも戻れない。
堕ちてゆく、深くへ。
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次回楽しみ