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kana
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めんだこ
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めんだこ
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めんだこ
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3人が城の中へ入ると、まず出迎えたのは足の無いメイドだった。いいや、恐らく足はあるのだろう。だが、ただ足が透けてしまって見えないのだ。クラシック調のメイド服を身に纏い、ほんのり青みがかった灰色の髪は肩につく程度まで伸ばされている。前髪は目に覆いかぶさっていて、少々視界が悪そうだ。表情のあまり変わらない彼女は掃除道具を持ったまま、ぺこりとお辞儀をして
「…おかえりなさいませ……」
そう言い、自身はさっさと清掃の業務に戻ってしまった。彼女は壁に向かって進み、壁に触れた……かと思えば、壁は彼女の形を捉えることができず、彼女は壁の中へ消えてしまった。
先程消えた彼女はリリウム・レムナント。城の全ての部屋の清掃を担当している幽霊メイドだ。無愛想に見える彼女だが、城に来た時と比べると礼儀作法を弁え、喋るようになったようだ。だがメイドとして出すにはまだまだだな、と使用人を指導する立場であるネフェルは溜息をつく。
そんな事を考えていると、エントランスホールの中央に位置する大階段。そこから男が降りてくる。香ばしい香りを纏い、彼がエプロンを身につけていることから、彼がこの城のシェフであることがわかる。
「おっ!ネフェルさん、お戻りになったんすね!」
少々足早に階段を降り、人懐っこくニカ、と笑う彼はジンジャー・バルガス。身長はネフェルより少し高く、骨太で安定感のある体躯だ。そんな彼の頭には1本の大きな角がある。そう、彼は鬼である。
「…ジン、私の前ではまだ良いですが、主様の前でそのような砕けた口調で話していたら、容赦しませんからね。」
鋭い目つきでジンを睨みつける。
「うっ……す、すみませんネフェルさん…」
少々ジンに当たりが強いな、と思いつつそれを言ったら言ったで面倒そうなため、アルとルルは口を噤んだ。
するとネフェルは、ジンの後ろで動いている物体に気がつく。彼の背後をそっと覗いて見ると、そこにはビビットピンクの髪が見えた。
「ばあっ!」
ぴょん、と顔を見せた彼女の声が思いの外大きく、ネフェルは一瞬体が強ばる。
「えへへ、驚きましたぁ?ネフェル様っ!」
ころころと鈴が鳴るような声でケラケラと笑う彼女はピピ。彼女もまた、この城で働く使用人だ。ただし、その出で立ちはメイドと呼ぶにはあまりに服装の乱れが目立つ。彼女が夢魔であることも関係しているのだろうが、それにしても露出が多過ぎる。
「…ピピ……」
はぁ、と眉間を抑え大きな溜息をつくネフェル。
「言いたいことは色々ありますが、今は一旦いいでしょう。…それで、主様の様子は如何ですか?」
「今日も変わらず健康元気!体に異常はありませんし精神も安定してまぁす!」
ピピからの報告を聞いた面々は、少しの安堵と寂しさが混じったような…何とも言えないような表情をした。
それを見たピピは、わざと大きな声で元気づけるように
「…だぁいじょぶですって!主様はすぐ起きてくれます!夢魔のアタシが言うので間違いありません!」
むふー、と胸を張ってそういう彼女に報いるように、皆の表情にも笑みが浮かんだ。
「…そうだな、主様の目が覚めた時に極上の料理を振る舞えるように俺も腕を磨かねえと!」
ジンも続いて声を上げる。
「ボクらも主様のお城をお守りしないとね!」
ルルもそう言ってアルの方を見る。アルはルルを見て静かに頷いた。
「…私、も……主様のお城を塵一つ無くし…完璧な状態で…主様をお迎えします。」
どこで話を聞いていたのか、壁からすり抜けて来たリリウムもそう言った。
「…そうですね。私も、主様の執事である以上、最上のおもてなしをしなければ。」
城の使用人たちは、それぞれの決意を胸に、再び業務に戻った。
…主様がお眠りになられてから5年…その原因は、5年前に襲撃してきた“対吸血鬼討伐部隊”によるものでした。彼らは彼らが動かせる最大兵力で我が城に攻め入って来たのです。まともに戦えるのは私、ルル、アルの3名のみ。一人一人は取るに足らない雑魚でしたが、数百、数千と相手をすると存外厄介なもので、連携を取られ私…ネフェルとルルは不覚を取り、私は足を潰され、ルルも負傷しました。恐らく連戦で疲労もあったのでしょう。
そんな私達を庇うようにして、おそらくは軍の最大戦力であろう少年と交戦したアルも戦闘不能にされただけでなく、彼が扱っていた2対の鎌の内1対を奪われてしまったのです。
私達は絶体絶命の状態にありました。倒しても倒しても羽虫のように群がってくる人間ども。そして目の前の人智を超えた…我々と同じような力を持つ少年。…死をも覚悟したその時、
「…随分と騒がしいね。」
上空から声がしたのです。私達も含め、全員がその声のする方を向きました。そこに優雅に佇んでいたのは、我らが主、ヴェルゼリオ・アルジェントール様だったのです。
私達は生きる希望を見出し安堵すると共に、主人の手を煩わせてしまったと弱い己を恥じました。
人間どもは、ヴェルゼリオ様が出てくるや否や
「吸血鬼だ!聖水を用意しろ!」
と、愚かにもヴェルゼリオ様の前でそのような無礼なことを口走りました。
ですがヴェルゼリオ様は眉一つ動かすことなく、その御手を人間共に差し出したかと思えば、その拳を握りしめました。それに呼応するように人間の兵が数十人ぐしゃ、と潰れひとつの肉団子にされてしまいました。そのような芸当が出来るのは、私はこの世でヴェルゼリオ様しか存じ上げません。まさに神業です。
その光景を見た人間は恐怖し、逃げる者も居ましたが、大半は力が抜けて逃げることすら出来ないものも居ました。そして……これは私が今まで生きてきた中での最大の不覚でした。
敵兵の手が届く所で倒れていた私達を人間は人質にしようと企んだのです。
疲労と負傷でもうろくに身体を動かせない私の髪を掴み、汚らしい剣を私の喉元に突きつけ、勝ち誇ったように敵兵は主様にこう言いました。
「おい吸血鬼!お前の大事な従者が死ぬぞ!いいのか?」
なんとも愚かでしょうか。私の命など、主様にとっては塵芥も同然…と、当時の私は思っておりました。ですが、その時ヴェルゼリオ様の表情が微かに変わったのに気付きました。
それからは一瞬でした。主様はご自身が持ちうる全ての魔力を使い、森に侵入した敵兵を全て肉塊へと変えたのです。無論、私を人質に取った愚かな人間も。…ですが1匹だけ。私たちを窮地に追いやった少年は怪我こそすれど生き残っていました。少年は怯えた様子でアルの鎌を持ったまま森の中へ消えてしまいました。ですがそれを追いかける元気は、主様含め我らには一切ありませんでした。
地上に降り立った主様は息が上がっておられました。それもそのはず、私達の体は大半が魔力で構成された物質。魔力が無くなれば我らの生命活動は停止してしまう。その魔力を殆ど使い切っておられたため、見た目以上にかなり消耗されておられることでしょう。
「…主様…大変申し訳ございません。私共が不覚を取り、主様の御手を煩わせてしまいました。 」
私は主様に深い謝罪をしました。
ですが主様は私に笑いかけてくださいました。
「…当然だろう?君たちは…私の“家族”なんだから。…生きてて、よかっ、た…よ…」
そう言うと主様は意識を失い倒れてしまわれました。私は動かない足を引きずり、何とか主様を地面の上に寝かさぬよう受け止めることが叶いました。
…あまりに消耗されていたため、魔力を回復されているのでしょう。戦闘が終わったことを城内のジンたちに伝えるよう周囲の警備をしているコウモリ達に言いつけ、ジンの助けを借り、主様は寝室へ、私達は医療室へと運ばれました。私とルルは数日もすれば動けるようになり、アルも数週間で完治しました。
…ですが、主様は、今現在まで一度も目を覚まされていません。
…これが、我が城の現状なのです。
_𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭…?
ℂ𝕙𝕒𝕣𝕒𝕔𝕥𝕖𝕣 𝕚𝕟𝕥𝕠𝕟𝕒𝕥𝕚𝕠𝕟
ジンジャー・バルガス
性別:男
種族:鬼
地位:シェフ
三白眼に彩度低めの金髪、バンダナを着用している。バンダナを着用する時、角が邪魔で少し困っている。何かと厄介事に巻き込まれがちな不憫体質。身長は170後半。 役目はシェフであるが、城の使用人は彼含め4人のみのため、他の仕事を任されることもある。鬼ではあるが、戦闘慣れしていない為戦場に駆り出されることはまずない。
リリウム・レムナント
性別:女
種族:幽霊
地位:メイド
焦点の合わない瞳と彩度を失った髪を持つ。表情が変わりにくく、人前にあまり出たがらない。清掃以外はからっきしなメイド。元は人間であったが、生前の強い執着により現世に留まった魂。潔癖症気味。身長は160後半程度と予想される(どこまでが足かわからないため、地面から彼女の頭部分までを測って出た数値)。
ピピ・ベルベット
性別:女
種族:夢魔
地位:メイド
お調子者の夢魔メイド。いつも何かしらやらかすが口は減らない問題児。だが彼女がそうすることにより城に活気が出ているのも事実である。身長は160程度(ルルより微妙に高いくらい)。皆に楽しい夢を見せたいと願っている心根は優しい子。いつもジンの料理をつまみ食いしている。
ヴェルゼリオ・アルジェントール
性別:男
種族:ヴァンパイア
地位:城主
城の主。月に反射する絹のような白髪に鮮血のような赤い目を持つ古より生きるヴァンパイア。身長は170後半(アルより低く、ジンジャーより高い)。傍から見れば冷酷で一片の情も無いように見えるが、その実使用人たちを“家族”と称し何よりも大切にしている。現在は少々感情的になり無茶をしてしまったため、自室で眠りについている。
コメント
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続きが楽しみです!!