飲み会にて。
「は〜い、今日はこれでひとまず終わりにしましょう。ちょっとひと段落したかな?」
スタッフがそう声をかけ、皆の張り詰めていた空気がフッとゆるんだ。
「お疲れ様で〜す」
みんなに明るく声かけしながらソファーに腰掛け思いっきり伸びをする。
するとスタッフの一人が近づいてきた。
「大森くん今日はこの後久しぶりにみんなでちょっと飲まない?」
「えっ?」
「スタッフの何人かで飲みに行こうかって話ししてるんだけど、一緒にどう?」
「若井や涼ちゃんは?」
「2人にも声かけてるよ。最近忙しかったからちょっと気晴らしに、さ」
こんな機会も最近めずらしいし少しはスタッフとこういう交流があるのもいいのかもしれない。若井や涼ちゃんも行くのならまぁいいか、とOKしてそのまま移動の車に乗り込む。
着いた先はけっこう有名な居酒屋で奥の座敷を予約してあるという。
参加人数は10人。男ばかりの気軽な飲み会だった。
俺は下戸の若井と隣り合って座り、スタッフを交えていつも通りのテンションで大声で騒ぐ。涼ちゃんは少し離れたところで数人のスタッフとこちらはのんびりとお酒を飲みながら楽しそうに話をしていた。
俺はみんなで楽しく大声で笑いながらもどうしてもチラチラと涼ちゃんの方を見てしまう。
涼ちゃんがお酒を飲んでいる。その様子が目に入った途端になんだかムズムズと落ち着かない気分になってくるのがわかった。
こんなのいつもの事だ。いつも通りのよくある光景。それに涼ちゃんはお酒がかなり強い。俺が酔った涼ちゃんが見てみたいといたずらを仕掛けるくらい…。
居酒屋のお酒くらいいくら飲んだって酔っ払う事はない。そんなのはわかってる。わかっているけれども気になって仕方がない。
…涼ちゃんは酔っ払ったらいつもあんな風になるのかな。
あの日の涼ちゃんの甘い視線が思い出される。
隣の酔って顔を赤くしたスタッフが涼ちゃんの肩に腕を回した。それを見てどうしても我慢できなくなった俺はトイレに行くふりをして席を立ち、気づかれないように楽しそうに喋っている涼ちゃんの後ろに移動してそのままギュッと涼ちゃんを抱きしめた。
「元貴?」
涼ちゃんの匂いだ…。それにドキドキしながら驚いたように後ろを振り返ろうとする耳元で涼ちゃんにだけ聞こえる小さな声でささやく。
「…お願いだからこれ以上お酒飲まないで」
何してんだよ、俺。
自分でもどうしてこんな事をしているのかわからず顔がギュッと歪んでしまう。
そんな俺の顔を見た涼ちゃんはちょっと苦笑して、しょうがないなぁという顔で頭をポンポンと撫でてくれた。
「おお、大森くんこっちきたんだ。さぁ、ここ座って一緒に飲もうよ」
そう言って年配のスタッフが涼ちゃんの横に座らせてお酒を勧めてくる。
「藤澤くんももっと飲みなよ」
「あっ、俺ちょっと胃の調子悪いんでこの辺りでやめときます〜」
そう言って困ったような笑顔で断っている涼ちゃんに、俺はとてつもない情けなさを感じて涼ちゃんの方を見る事ができず、隣のスタッフと無理やり盛り上がりやけ酒をあおる。そしてどんどん勧められるままにお酒を飲み続けた。
もっくんまだ自分の心の動きに頭がついていかずプチパニックを起こしてます。
どうしてこんな変な行動しちゃうのか自分でも理解できない。認められない。プライド高い人ほど混乱しそう。
ちなみにこの時の涼ちゃんは全く逆の意味に受け止めてましたね😅
コメント
6件
大森さんに言われて、お酒セーブする藤澤さん…好きすぎる✨
飲み会のもっくん視点気になってたのでとっても嬉しいです😭最高デスウウ✨
やっふー!!もっくんプチパニック起こして挙動不審になってきてますね😂涼ちゃんはほんとに逆の意味だと思ってる…