テラーノベル
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続きです
雄英高校、演習場γ――通称TDL。
剥き出しの鉄骨と巨大なコンクリートの残骸が不規則に積み上げられたこの閉鎖空間に、
夏の湿った熱気が澱んでいる。他の生徒たちの咆哮や爆音、
個性がぶつかり合う喧騒が遠くで鳴り響く中、そのエリアだけは不自然なほどの静寂に包まれていた。
敵愛永久は、ただ一人、瓦礫の頂に立っていた。 ポニーテールにまとめられた赤髪が、
背後から吹き上がる冷気と熱気の対流に激しく揺れる。
彼女の瞳は、もはや人間を映す有機的な器官ではなく、
数億のコードを高速で走査する端末のように冷徹な光を湛えていた。
彼女の脳内では、個性が、一つの巨大な演算式として統合されていく。
これから放つのは、単なる力の誇示ではない。ヴィランを戦慄させ、
同時にその圧倒的な「美」で見る者の心を奪う、残酷なまでのパフォーマンス。
彼女は深く息を吸い込んだ。言葉は、もはや不要だった。
永久が右手を天に掲げる。
瞬間、彼女の指先から莫大な熱量が奪われ、
同時に空気中の水分が強制的に結晶化を開始した。
演習場の天井付近で、ありえない速度で空気が渦巻き、
光を遮るほどに分厚く、禍々しい「墨色の雲」が生成されていく。
永久 「、、、、」
無言。永久の視界には、自分を取り囲む数体のエクスプラズム先生の
分身体の熱源反応と座標データだけが浮かんでいる。
彼女が腕を振り下ろすと同時に、局地的な気象崩壊が発生した。
真っ黒な雲から降り注ぐのは、単なる雨ではない。電磁気を帯びた氷の粒。
それが周囲を真っ白な霧と静電気で覆い尽くし、敵のセンサーと視界を完全に遮断する。
それは攻撃ではない。戦場を自分の「サーバー」に書き換えるための環境制圧。
霧の中に潜む永久の姿は、
敵にとって霧散するノイズのように捉えどころがなく、恐怖だけが湿度と共に増幅されていく。
霧の中に、一条の光が差し込んだ。 いや、それは光ではなく、
永久が指先から放った極小の電磁狙撃だ。それが
『積乱』によって空中に滞留した氷の微粒子――天然のプリズム――に触れた瞬間、
戦場に不気味なほど鮮やかな七色の虹が架かる。
永久 「、、っ、、」
永久の指先が、空中で複雑な軌道を描く。まるで鍵盤を叩くように、
あるいは指揮棒を振るように。 その動きに呼応し、
虹をガイドレールにして、氷の礫と高電圧の弾丸が縦横無尽に跳ね回る。
中距離から近距離。敵がどれほど堅固な装甲を持っていようと、
虹の屈折を利用した全方位からの「死角」への一斉掃射からは逃れられない。
ある敵は背後から首筋を貫かれ、ある敵は足元から垂直に撃ち抜かれる。
その光景は、あまりに凄惨で、あまりに美しい。 まるで虹という名の檻に閉じ込められた蝶が、
一瞬で標本へと変えられるような、圧倒的な「強さ」への執着。
子供がそれを見れば、その美しさに魂を奪われ、
敵がそれを見れば、絶対的な王者の姿として脳裏に刻まれるだろう。
そして、最後。 永久の周囲に漂っていたすべての光、音、熱が、
彼女の身体へと逆流するように吸い込まれていく。
彼女の足元のコンクリートが、凍りつくのではなく「崩壊」を始めた。
極度の低温により、分子同士の結合が耐えきれず、物質としての形を維持できなくなったのだ。
永久 「ッ、、、ぅ、、ふぅ、、」
永久の顔面から血の気が引く。 身体のすべてのリソースを、
たった一点の「概念」に集中させる。 もはや、そこに「個性の発動」
という生易しい表現は存在しない。それは、
世界の法則そのものを一時的に書き換える「神の権限(管理者権限)」への接触だった。
彼女が、ゆっくりと左足を踏み出す。
瞬間、爆音すら消えた。 物理現象としての「動き」が、この空間から完全に抹消された。
炎は燃えるのをやめて静止し、飛来する弾丸は空中で結晶化して静止し、
敵のロボットたちは駆動系が物理的に「静止」したことで、音もなく粉々に砕け散った。
永久を中心に広がる、白く、静かで、死よりも深い沈黙の領域。
そこには生存の余地などない。ただ、彼女という圧倒的な存在だけが、
静止した世界の中で唯一の「動体」として君臨していた。
すべての計算が終了した。 展開されていた雲が霧散し、虹が消え、
絶対零度の静寂が夏の熱気に押し流されていく。
永久 「、、、っ、は、」
永久の身体が激しく揺れた。 極限の演算と出力。
本来なら脳が焼き切れていてもおかしくない代償。
彼女は震える指先で、自身の鼻の下をなぞった。
そして激しくせき込みだし、足元に落ちたのは、、、
鮮やかな、紅。
永久 「、、ふ、はは、、、鼻血と、吐血、で、、、、済んだの、」
彼女は崩れ落ちそうになる膝を、執念だけで支えた。
鼻から滴る血、口から滴る血が、白く凍りついた地面に点々と落ち、不気味なほどのコントラストを描く。
その姿は、英雄のそれではない。 圧倒的な力で世界を支配し、
己の身すら削って「強さ」を体現した、美しき怪物の姿だった。
彼女は空を見上げ、満足げに目を細める。 もはや視界に敵はいない。
あるのは、彼女が作り出した「終焉」の残滓と、次なる戦いへと向かう、狂気にも似た闘争心だけだった。
記念すべきって50話目に言いたかったんですけど、70ってキリいいんで言います。
普段なんかモチベみたいなンが続かんくて30話前後で終わっちゃうことがよくあるんですけど、
70って結構書いてますよね?
リムルがヒロアカのやつは113まで書いてるんで、
えー、、、115!!
115話を目標に頑張っていきたいと思います。
目標ないとやってらんないので、
2426文字!終わります。
コメント
12件
かくのうまいいいいいいいいいいいいいいいい
めっちゃめっちゃめっちゃヤバい技だぁぁぁぁ!!!ナニソレ、凄すぎん!?それを思いついたルナが凄いわぁ!!僕なんて技も名前も適当に選んでるだけなのに、、、めっちゃすげぇ。 続き待ってる
1コメ!?今回も良かったよ!続き楽しみにしとるねー! あのー、ルナサン?70も続いとるなら切り上げても不自然じゃないと思うんですけどー、115は頑張りすぎでは?? まぁでも何気に応援しとる‼️