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死露ちゃん
34
『上に帰りたいなら、一緒に来て。』
その声には、嘘も、企みも感じられなかった。
「……本当に、上に戻れるのか?」
『戻れるよ。』
返事に迷いがなかった。
「……お前、何で俺を助けるんだ?」
『困ってるから。』
あまりにも簡単な答えだった。
「それだけ?」
『それだけ。』
青年はそう言って、差し出していた手をゆっくり下ろした。
『無理に来なくてもいいよ。ここは危ないから、早めに決めた方がいいけど。』
「……」
信用していいのか。
目の前にいるのは、どう見ても人間じゃない。さっきまで一緒にいたlorもそうだったし、grgnだってそうだった。
けれど、この青年からはあの二人とは違う何かを感じる。
少なくとも、今すぐ俺をどうこうするつもりはなさそうだった。
「……分かった。ついてく。」
『うん。』
青年は小さく頷き、廊下の奥へ歩き始めた。
俺も少し距離を空けて、その後ろをついていく。
数歩進んだところで、ふと気になった。
「そういえば、お前……名前は?」
青年が足を止める。
少しだけ振り返って、こちらを見る。
『……名前?』
「そう。ずっと『お前』って呼ぶのもあれだろ。」
『……』
青年は少し考えるように黙った。
『……krks。』
「krks?」
『うん。krks。』
「そっか。俺はku。」
『知ってる。』
「……そうだったな。」
思わず苦笑する。
さっきまでなら、名前を知られていることすら警戒していたはずなのに。
「じゃあ、krks。頼む。」
『任せて。』
krksはそう言って、再び歩き始めた。
その直後。
背後で、
**ジジッ――。**
蛍光灯が一つ、音を立てて消えた。
暗闇が、少しずつこちらへ近付いてくるように見えた。
『……急ごう。』
今までより少しだけ早い足取りで、krksが先へ進む。
「……ああ。」
俺もその後を追った。
コメント
3件
初コメです! ストーリー性がまじですきです最高です✋️続き楽しみしてます!
krksの「困ってるから」という理由、すごく響きました。それだけなのに、ここまでの不気味な世界観の中でだからこそ、逆にものすごく信頼できる気がして。kuが少しずつkrksを信用していく過程も、すごく自然で引き込まれました。でも最後の蛍光灯が消える描写……あのジジッという音とともに暗闇が迫ってくる感じ、たまらなく不気味で好きです。この世界、まだまだ秘密がありそうですよね。続きが気になります。