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胡蝶蘭
🍼🤍❤️
グループで活動していると、やっぱりどうしても他のメンバーと話す時間が増える。
俺もそれは分かっているし、舜だって分かっている。
だから、仕事中はなるべく普通にしているつもりだった、けれど気づけば俺は無意識に舜をを探してしまっている。
休憩に入ったらどこにいるか見てしまうし、 移動するときは近くにいるか確認する、舜 が別のメンバーと話していれば、その会話が終わるまで何となく待っている。
だからと言って別に話しかけたいわけじゃない。
ただ、近くにいると安心できる
「柔~、次こっち」
「分かった」
舜が俺に声をかけてくる。
俺はすぐにそっちへ向かう。
「二人ってさ、まじいつも一緒よな」
「そう?そんなことないと思うけど」
「そんなことしかないだろ。どっちかが動いたら、もう片方も動くし」
「たまたまやって(笑)」
「いや、絶対違うな」
「何が?」
「なんか…依存してる?的な」
その言葉に、俺の動きも舜の動きも一瞬止まった。
でも、すぐに笑って返す。
「してへんって」
「嘘だろ(笑)」
「ほんまやって」
「柔は?」
「俺もしてないよ」
そう答えた、けれど それは嘘のつもりはなかった。
俺たちは依存なんてしていない。
ただ、舜がいるほうが楽で、俺がいるほうが舜も安心するただ それだけ。
「でも仲良すぎやろ」
「まあ、長いから」
「仕事来るのも一緒だしぜーんぶ一緒だから一緒に住んでるか疑うレベルだよ俺らからしたら(笑)」
「は……?」
「まぁまぁ俺と柔は運命やからさ」
「仕事でも一緒だしずっと一緒でよく飽きないな、俺なら絶対飽きるわ(笑)」
「飽きへんよ」
舜のその返事があまりにも自然で、俺も笑った。
「俺も別に飽きない」
「ほら」
「やっぱり二人おかしいって」
俺たちは笑って流した。
それ以上は何も言わない。
言わないというより 言えるわけがない。
家でのことは、俺たちしか知らない。
俺たちふたりで一緒に住んでいること。
俺が舜を呼ばないと俺が落ち着けないこと。
舜が俺の帰りをずっと待っていること。
俺が一人で出かけると、舜が何度も何度も時間を確認すること。
舜が俺の予定を全部覚えていること。
俺が「舜がいないと困る」と言えば、
舜が安心した顔をすること。
そんなことは、誰にも話していない。
その日の休憩中、俺がメンバーと話していると、少し離れたところに舜がちょこんと座っていた。
目が合うと、舜 は笑ってすぐに視線を逸らした。
俺もそのまま話を続ける。
でも、しばらくすると気になってくる。
舜、何してるんだろう。とか
誰かと連絡取ってるのかな。とか
疲れてないかな。とか
俺がいなくても大丈夫かな。とか
そんなことをばかりを考えてしまう。
話が終わると俺は自然に舜のところへ向かっていた。
「舜、何してたの?」
「ん?」
「別に。何もしてないよ」
「そっか」
「話終わった?」
「うん」
「楽しかった?」
「普通」
「そっか」
舜は笑っている、けれど 俺には分かる。
笑っているその顔は少しだけ寂しそう。
「ごめん」
「何が?」
「待たせた?」
「待ってへんよ」
「けど…」
「ほんまに大丈夫やからさ」
そう言いながら、舜は飲み物を渡してくる。
「これ飲んどき」
「ありがとう」
「さっきあんまり飲んでへんかったやろ」
「よく見てるね」
「そりゃ見てるよ」
当たり前みたいに言われる。
俺はその言葉が嫌いじゃない。
むしろ、安心できるから好きだ。
自分のことを見てくれている人がいる。
だから、俺も自然に舜を見る。
「舜、最近お仕事忙しいし帰ってくるのも遅いし疲れてない?」
「大丈夫だよ」
「ほんと?」
「ほんま」
「ならいいけど」
俺たちが何気なくそんなやり取りをしていると、後ろから声がした。
「…やっぱ二人、近くない?」
「近いって…」
ゆっくり振り返ってみると メンバーが笑ってる
「何が?」
「距離が」
「そう?」
「会話の内容もなんか夫婦みたいやし」
「何言ってんねん」
「いや、ほんとに」
「気のせいやって」
「なぁ、柔?」
「ぁ、あ…うん」
「気のせいだよ」
「実は依存してるんちゃう?」
「してないって」
俺たちはとりあえず笑っておいた。
でも、二人とも同じことを考えていた。
別に隠さなきゃいけないようなことを
しているわけじゃない。
ただ、家での俺たちを知られたくなかった。
俺たちだけが知っていればいい。
スタッフさんと話し終えて帰宅すると、
舜はいつも通りだった。
「おかえり」
「ただいま」
「今日、疲れた?」
「ちょっとだけ」
「ご飯できてるで」
「ありがとう」
俺はソファに座る。
舜が飲み物を置いてくれた。
「ねえ、今日さ」
「ん?」
「みんなに言われたね」
「何言われたっけ」
「俺ら、近いって」
「…聞かれたくなかったの?」
「うん」
「なんで?」
「俺らのこと、他の人に知られるの嫌やねん」
「それは俺もだよ」
「いつもどうしてるとか」
「うん」
「柔が俺に何でも頼るとか」
「俺がじゅうがおらんと落ち着かへんとか」
俺は少し笑う。
「それ、言わなくてもいいじゃん」
「分かってる」
「別に俺らが変なことしてるわけじゃないし」
「俺はしゅんといるのが一番楽」
「…俺も」
「だから、それでいいじゃん」
「柔」
「ん?」
「俺のこと、これからも頼ってくれる?」
「頼るよ」
「ずっと?」
「うん」
「よかった…」
頼ると言ったのがうれしかったのか
安心したように笑っていた。
俺も、その顔を見ると安心した。
外では普通にしていればいい。
メンバーには「特別仲がいい二人」でいい。
「依存してる?」って何回何回聞かれたって
笑って否定すればいい。
だって、俺たちはそんなつもりじゃない。
依存なんてしてないし、ただお互いが一番
楽だから一緒にいる。 それだけだ。
翌日の仕事でも、昨日と変わらず
メンバーはまた二人を見ていた。
俺が少し離れたところにいると、
舜が何度もこっちを見る。
俺も無意識に舜を見てしまう。
目が合う、 それだけで表情が緩む。
「ほら」
「また目合わせてるし」
「ほんまやな」
「やっぱり依存してるやろ?」
「そんなんじゃないし違うって(笑)」
でも、その瞬間スマホが震えた。
舜からのメッセージだった。
『終わったら一緒に帰ろ』
『もちろん』
たったそれだけ。
他の誰も知らない。
仕事が終われば一緒に帰ること。
家に着けば、また二人だけの時間になること。
俺が今日あったことを全部話して、
明日の予定を確認してくれること。
そして眠りに着く前には、
「これからも ずっと 一緒だよ」と言うこと。
そして、それを当然だと思っている。
外から見れば仲がよくて、 距離が近い二人。
でも本当は、もっともっとみんなの知らない
深いところで繋がっている。
それを知っているのは、俺としゅんだけ。
だから俺は今日も、仕事が 終わったら
舜のところへ行く。
舜もきっと、俺のところへ来る。
それが一番楽だから。
それが一番安心するから。
そして何より
俺たち二人だけが知っている、この関係を
誰にも知られたくなかったから。
コメント
1件
ああ、これ、すごく好きです……。タイトルの「共依存」がもう刺さる。外では「してないよ」って笑って流すのに、家では「ずっと一緒」が当然になってる、その二重構造がじわじわと染みました。特に舜が飲み物を渡しながら「よく見てるやろ」って言うシーン、あれたまらないですね。お互いを探してしまう・見てしまう、その無意識の距離感が、痛いほど伝わってきました。連載、続きが待ち遠しいです。