色々不健全な描写を含むので観覧は自己責任でお願いします。
前回の話も含めて分かりにくい描写が多いので,解説が欲しければ載せます。正直カンヒュ要素は無いのですが,皆さんの想像する国を当てはめて頂けたら幸いです。
見上げずとも視界に空が入って来た。
何処までも続く鉛色。
冷たい鉄の塊の上に身を預け,感傷に浸る。
今から僕達は人生を辞めようと言うのに,随分と思考は落ち着いていた。
カン,カン,カン…と,乾いた金属音が響き渡る。
ひとり,ふたり,さんにん…
皆がお互いの顔を見つめた。
全員,集まっただろうか。
さぁ,いよいよ。
手に,僅かな温度が添えられた。
高身で痩せた少女。
彼女は一体,何を考えて,何を思って,何を感じて,この結末に辿り着いただろう。
…いや,もう,関係の無い事か。
皆が優しく微笑んでいた。
居心地が良い。
人生の中で,これ程までに強く安心感を覚えた事があっただろうか?
否定を,しないんだ。
死にたいと思っている事すら,受け入れてくれるんだ。
ああ,沢山の人が死ぬ。
この国も終わりだな。
それでも,辞めたりはしないだろう。
ふいに,とてつもない焦燥に刈られた。
ここに居ては,ここに居ては…
身体は言うことを聞かない。
鉄塔の上から,空へと飛び出した。
コンクリートに強く打ち付けた。
もう一度,階段を上らなくては。
上から,皆が心配していた。
上がると,案の定怒られた。
焦らなくてもいいから,一緒に死のう,と。
握られた両手の温もりは,随分不確かなものとなっていた。
…それでも,良かった。
重いまぶたを上げると,視界は闇に包まれていた。
ここは,何処だろう。
そうだ,自分の部屋だ。
何だ,全部夢だった。
結局僕は,死に損ねた訳だ。
そして,ちゃんと死んでおくべきだったと,これから先,何度も後悔することになるのだ。
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