金豚きょー視点
これはどりみーとぐちつぼが苦戦する訳やな…
俺は能力で飛行出来るが、そのスピードには自信があった。
まぁ現にそのお陰で何とかこのバカ速い矢をまともに受けずに済んでるんやが…
き 「 危ねっ! 」
コイツ、普通に打っても当たらないとわかったや否や俺の行動を読んで打ってきやがる…
俺の能力は基本消耗がゼロやから何とかなってるが、他だったら先に消耗してくたばってたかもしれん。
まぁその代わりと言ってはなんだが体力はじわじわ消費する。
避けてるだけじゃ多分相手の矢より俺の体力の方が先に尽きるだろう。
避けずに矢を喰らわない方法なんて大体決まってる。
き 「 ふっッ! 」
俺は色が分からへんが、視力はええ。
きっと常人じゃ視認出来ないようなこの矢をトライデントで落とせるのなんて俺くらいしか出来ないやろうな。
「 ……ッ 」
相手も流石に動揺している、と思いきや、今度は三本同時に打って来た。
どんな打ち方したらこんな速く三本も打てるっちゅうねん!
き 「 逆転はさせてくれないってワケかいな…! 」
避けつつも避けきれない矢を弾く。
厳しいがこのペースなら…
「 ……ッツ! 」
き 「 矢、無くなってもうたな? 」
このまま一気に詰めれば勝てる!
そう詰め寄ろうとした瞬間、吹き抜けの上から相手が飛び降りた。
き 「 なっ…!? 」
フードを深く被り、空中で一回転した相手が着地すると、そこには黒いパーカーの男は居らず、代わりに青緑の瞳の黒ネコがいた。
「 ンナオーーン! 」
き 「 おいおい、マジかよ…w 」
黒ネコが鳴くと黒ネコはみるみるうちに俺と同じくらいのサイズまで大きくなった。
まるで走馬灯かのようにどりみーの言葉が脳裏に過ぎる。
「 アイツはノウリョクをツカッテナカッタ。」
「 ナニをシテクルカワカラナイ、キヲツケテ。」
そんな事言われたって、
き 「 まさかこんな能力だなんて思いもしやんやろ…ッw 」
少し体を前に傾け、狙いを定めてからこちらへと飛びかかってくる。
速いッ…!
き 「 ンぐっッ…… 」
速い癖に一撃が重すぎる。
人間と戦うことがあってもこんなでっかい化け猫と戦う事なんて無かったからどう対処すればいいかわからん…!
そう考えていた時、不穏な音がした。
ピキッッッツ
き 「 トライデントにヒビが…ッ! 」
これ以上このトライデントは攻撃を耐えれないだろう。
攻撃を避け続けて、一撃で決めるしかない…
そう考えているうちにも次の攻撃が来る。
落ち着け。落ち着いてゆっくり攻撃の軌道を読むんや。
き 「 上…ッツ! 」
ダメだ、思考が間に合わん。
クソ、時が止まってくれれば―――
カチッッ
き 「 …は? 」
自分以外の全てが、写真の様に静止していた。
その状況を理解出来ないながらも、自分の体内から物凄い勢いで何かが失われていっているのを感じた。
この現象は恐らく自分によって起きている。
だか、この力はきっと長くは持たないだろう。
こいつに確実にダメージを与える為には、単純な力だけでは足りない。
持ってあと3秒…
き 「 それだけあれば充分やな…ッ 」
翼を思いっきし動かして、急上昇し、天井まで届いたら天井を蹴り、重力と翼の力を使って全速力で降下する。
途中、時間が進み出した。
「 ……!? 」
そりゃあ目の前の相手が突然消えたら驚くやろうなぁ。
き 「 残念やな、俺は上や! 」
トライデントの柄を相手の首の後ろに叩きつける。
それと同時にトライデントが砕け散ったが、相手も気絶したようだった。
き 「 はぁ……ッ、疲れたわぁ……w 」
先の力の正体も知りたいが、まずは人間の姿に戻った敵を拘束する事が先だ。
き 「 縛れるものは… 」
紐状の物が見当たらないので、真紅のカーテンを引きちぎり、敵の手足を結ぶ。
運営の皆と能力の話になった時、俺1人だけ話が合わなかった事がある。
俺は能力は体力を消費するものだと思っていたが、皆はそれとはまた違う 何か を消費すると言っていた。
先程時が止まった時、減っていった 何か が、その 何か と同じだとしたら、俺の背中から生えている翼は能力では無い、という事になる。
じゃあ俺は一体何者なんだ…?
き 「 くっそ、これだから余計な事は考えたくないんや…ッ 」
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