コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
食事を終え、片付けを済ませたらんとこさめは、リビングでまったりとした時間を過ごしていた。こさめは手に持った飴を舐めながら、ふとお風呂に入って寝ようかなと思いつく。
「らん兄、ちょっと来て!」
口に含んでいた飴を、何の躊躇もなくらんの口元へ差し入れる。
「ん!え、なに…?」
「食べていいよ!」
驚くらんに、こさめはにっこり笑って言い残し、そのまま浴室へと歩き出す。
らんは唖然としながらも、こさめの無邪気な笑顔と、口に残る甘い飴の感触に思わず頬を赤らめる。突拍子もない行動に頭を抱える一方で、心のどこかがほっこりと温かくなるのを感じていた。
リビングには、こさめが去った後も、飴の甘さと彼の小さな温もりの余韻が残っていた。
2人はそれぞれ寝る準備を整え、部屋へ戻ろうとした。らんが自室に向かおうとしたその時、こさめがふと足を止めて首をかしげる。
「あれ?今日は一緒に寝てくれないの?」
きょとんとした顔で問いかけるこさめに、らんは一瞬言葉を失う。だがすぐに柔らかく笑い、「……おいで」と手を広げるように声をかけた。
その言葉にぱっと笑顔を見せたこさめは、自室へ小走りに戻り、大切にしている鮫のぬいぐるみを抱えて再びらんのもとへ駆け寄る。そしてそのまま勢いよくらんに抱きついた。
「んふふ、やっぱり一緒がいい!」
こさめの温もりと、ぬいぐるみ越しの柔らかさに、らんは胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じながら、ぎゅっと抱き返した。
胸の中で楽しそうに笑うこさめの温もりに、自然と心がほどけていく。
「……ったく、甘えんぼだな」
そう口では言いながらも、らんの腕は力強く、そして優しくこさめを抱きしめていた。
こさめはぬいぐるみをぎゅっと抱いたまま、らんの胸元に顔を埋める。
「らん兄と一緒だと落ち着くんだ~」
そうこぼすと、頬をすり寄せるように甘えてきた。
らんは不意に胸の奥がくすぐったくなり、こさめの後頭部に手を置いて撫でる。
「……ほんと、ずるいわ。そんな顔されたら断れねぇ」
こさめは満足そうに「えへへ~」と笑い、そのままらんの手を引っ張ってベッドへ誘う。
らんは抵抗せず、一緒に布団へ入り込むと、鮫のぬいぐるみを挟んでくっついてくるこさめを横目に、ふっと安堵の息を漏らした。
「……おやすみ、こさめ」
「おやすみ~。らんにぃ、だいすき」
小さな囁きに心臓が跳ね、らんは返事の代わりにこさめの頭をぽんぽんと優しく叩くのであった。