芽衣「うへぇ〜、ジンベイザメでっか!」
今は無理やり2人にさせられた相手、古海芽衣と一緒に美ら水族館を回っている。
和馬(普通に楽しみにしてた場所だから楽しんでしまう自分が悔しい)
和馬(本当は心さんと回る予定だったんだけどな)
芽衣「もう一回ジンベイザメ通ってくれないかなー」
和馬「どうしてだ?」
芽衣「人が多くて上手く写真撮れなかったからさー」
この日は運良くジンベイザメの周回が早く、もう直ぐで俺たちの目の前を通ろうとしていた。
和馬「スマホ貸して、俺の方が人の頭の上から撮れるからいいかも」
芽衣「撮ってくれるの?」
和馬「まぁ、困ってそうだったから」
芽衣「…!!あ、ありがとう」
ジンベイザメが通り過ぎるのと同時にスマホのシャッターを下ろす。
和馬「はい、結構綺麗に撮れたと思うんだけど」
芽衣「綺麗……!ありがとう!和馬くん」
和馬(…俺は何をしてるんだ)
ふと我に帰り自分のしている事を冷静に咎めているとき、人が波のように流れ込んできた。
そのまま心さんと合流出来ずに時間が来てしまった。
和馬(やってしまった……なんで俺は断ることができないんだ)
優「和馬顔色悪いよ、大丈夫?」
和馬「大丈夫、こんな奴苦しんだ方がいい」
優「心さんは友達と楽しそうに回ってたよ。まぁ、こんな事言っても気休めにしかならないと思うけど」
今は昼食も食べ、2日目最大のイベント国際通りまでバスで移動している。
和馬(心さんだって楽しみにしてたはずだ。なのに俺はその楽しみを壊した)
和馬(失望されたかもしれない。……最悪別れる、そんなのは嫌だ)
和馬(国際通りに着いたら真っ先に謝ろう)
バスが止まった。国際通り近くのホテルに着いたようだ。一旦各自の部屋まで行き荷物を置いた後自由行動となった。
ホテルを出ると心さんは亜美菜さんとふみさんのいつもの3人で固まっていた。
一瞬目は合ったがすぐに逸らされてしまった。
和馬(そりゃそうだよな……)
謝ろうとするのだって自分のエゴかもしれない。ただ自分が別れたくないから、そのためにつく言い訳にしか思えない。だがここで引くわけにはいかない。
和馬「心さん、さっきの事…」
心「浮気男と話すことなんてないから。うちふみと亜美菜で回るから、君は芽衣と回れば?」
俺のことを呼ぶ『君』が一層冷たく感じる。
ただ少し、ほんの少しだけ俺のアホ毛が立った。自分の能力が自分に勇気をくれる。
立ち去りかけている心さんの腕を取り、引き止める。
和馬「心さん、今日はごめん。無理やりだったとしても断るべきだった。」
心「……別に、君が全部悪いとは思ってないから」
和馬「……」
心「…もー本当だって、君のアホ毛たってないじゃん。ただなんかむかついちゃって」
心「気にしてない訳じゃないよ?でも感情を表に出すほどでもなかったのに我慢出来なくて」
心「…って、泣いてる?」
和馬「泣いてない……」
心「涙目じゃん!そんな顔しないでよ」
和馬「だって、心さんをそんな気持ちにした自分が許せなくて」
心「今までなんか恥ずかしくてみんなに隠すような感じだったけど、もうやめにする」
心「君の事ちゃんと名前で呼ぶ、だから君もうちの事名前で呼んでくれる?」
心「そしたら今回のことは許してあげる」
和馬「分かった。彩、今日はごめん」
心「……!やっぱ君敬語の時もそうだったけど辞めるって時の行動早すぎ」
心「か、和くん?でもいい…かな?」
和馬「俺に聞かなくても…」
心「照れてる〜!和くん照れちゃったかー」
無言で心さんの手を握る。それもいつもと違い恋人繋ぎで。
心「和くんも大胆だね」
和馬「彩もね」
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