「………ハッ!」
光の中に吸い込まれた後、私は目を覚ました。
「(…夢…?)」
さっきの事は、夢なのだろうか。
でも、何故だろう…
もう少し、あのまま居たかった。
そう思ってしまうのは…何故だろう。
悩んでると、部屋の襖が開いた。
「ただいま、麗華!」
千夜だった。
外を見てみると、夕方だった。
空がオレンジ色になっていて、太陽がもう少しで沈みそうだった。
「いつの間に……」
「あ、あと、今日は夜に急遽仕事が入っちゃったんだよね」
「!!」
私は、”夜に急遽仕事”というのに反応した。
「……どこ?」
「え?」
「どこで…仕事をするの?」
「すぐ近くの森だよ!」
「っ!!」
“森”……何故か分からないが、私は凄く胸騒ぎがした。
これから悪い事が起きる…これから千夜に危ない事が……
「どうしたの?麗華」
「……千夜さん… 」
「ん?」
「悪い事は言わない。だから、行かないで!」
「えっ?」
私は何を言っているのだろうか。自分でも、何故こんな事を言って、何故”夜に急遽仕事”と”森”という言葉に反応してしまうのか…よく分からなかった。
「えっ…ど、どうしたの?麗華」
「その仕事…やらないで!」
「えっ…な、なんで?」
「分からない…分からないけど…凄く、胸騒ぎがして……」
「夜に急遽仕事と森っていう言葉に反応したのかも……」
「……………………」
千夜は、黙って聞いていた。そして、何故か複雑そうな顔で……
「千夜さん…行かないで」
「………………………………」
「……!!」
私は、ある事を思い出した。
何故急にこんな事を思い出したのか、分からないが……
でも、これは言った方がいい気がした。
これを言わないと、後悔する気がした。
「千夜さん!」
「?」
「行かないでほしい理由が分かった。」
「えっ?あ、何?」
「ある組織の、暗殺方法があるんだよ。」
「ある組織?」
「うん。そいつらは、夜にターゲットを森に呼んで、そこで……」
「なるほど…」
千夜は、複雑そうな顔から、真剣な顔に変わった。
「………………………………」
「千夜さん…?」
「ごめん、麗華。この仕事は、行かないといけないの」
「!!」
「……どうして?」
「実は、その森で何人もの人が行方不明になっていて……」
「それ、絶対奴らの仕業だよ!」
「千夜さんまで、居なくなったら…私……」
「……………………」
私は、必死に止めた。千夜さんには、絶対に行ってほしくなかったから。
「……実はね、私もその組織の事は知ってるんだ。」
「……え?」
「話は、聞いた事があったから。」
「だ、誰に…?」
「……………………」
「……今は亡き、師匠に」
「師匠…?」
「うん」
「その人に…話を聞かされたの…?」
「うん」
「じゃあ、その組織の危険性は分かるはず!なのになんで…!」
「その師匠も、その組織に殺されたから」
「……え? 」
千夜は、食い気味で私が言葉を言い終わる前に、そう答えた。
「師匠も、私と同じ理由で…森に行って…遺体で発見されて……」
千夜は、泣きそうな声で言った。
「…そんなk……っ!!」
私は、またある事を思い出した。
……いや、ある事では無く、ある人を思い出した。
その人の事を、あまりよく思い出せないが…
千夜と、同じ理由で森に行った事を…思い出した。
「……千夜さん、その師匠の写真とか…ある?」
「え?う、うん…あるけど……」
「見せてくれない?」
「え?な、なんでいきなり…」
「確認をしたいから」
「確認…?」
「とりあえず、見せてほしい」
「……分かった」
千夜は、部屋を後にして、写真を持ってきてくれた。
数分して、部屋の襖が開いた。
「あったよ。はい」
「ありがとう」
その写真を見て、私は思った。
気のせいか。と…
写真に映っている人は、長い髪に、綺麗な黒色の髪色。瞳の色は、綺麗なオレンジ色だった。まるで、夕日のように。服は、巫女服だった。千夜みたいな巫女服では無く、どこにでもありそうな巫女服。
「……気のせいか。」
「えっ?」
「あ、ううん。なんでもない。写真持ってきてくれてありがとう」
「う、うん」
私は千夜に写真を渡し、千夜は黙って部屋を出ていった。
「…………………」
私は、自分の部屋に戻って、師匠の写真を元に戻した。
「(少し、過去について話しすぎたかな…)」
私は、写真を見てこう言った。
「…師匠、必ず…仇をとりますね」
私は、覚悟を決めた顔でそう言った。
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