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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「何ここーー!?」

「コンピューター……のようなものがたくさんありますけれど、ファンタジー以外では見ない感じですね」

「怖い……なんだかものすごく怖いよここ……」「まぁさっさと探索して早めに切り上げましょう」


私たちがたどり着いた部屋は、名づけるならコンピュータールーム。

しかし、壁に無数の画面が立てかけられ、刑事ドラマの警察の監視カメラを全部見れる場所みたいな感じだ。

つまりあまり見慣れない感じ。なんか怖い、というのも頷ける。


「こんにちはー!あ、猫手サンと桐原サンがここになったんデスね!猫手サンとは初めましてデスか?」


そういう彼は、前回猫手を介して接触を図ってきたネームドのambitionだろう。

猫手には記憶がないらしいし、以前からパニック状態が続いているので酷い事になりそうだが……


「えええええああああああああ?!誰ぇぇぇぇぇぇ?!」「前回猫手さんを乗っ取ってた方ですか?」「はい!」

「改めマシて、僕はambitionっていいマス!ネームドの一人デスが、皆さんの味方デス!まぁ信じてくれるかは分かりマセんが……信じてくれるといいなあと思ってマスよ!」

「待って!私のこと乗っ取ってたって何?!てか男?声がなんかいっぱい聞こえるんだけど」

「声は一つでは……?」

「声がたくさん……よく聞こえマスね。僕の中に何人も人がいるんデスよ。多重人格ってわかりマス?正式にはあれじゃないんデスけど……あんな感じってことでいいデス」

「待って問題はそこじゃない。質問3つ投げかけた私も悪いけどあなた両性具有なの?」

「えっ……一応今喋ってる僕は男デスよ?体は男デスし」

「えー♡女の子みたいでかわいー♥」「ツッコミ役が私になってしまうのですね……」

「後はそうデスね……僕の能力で他の人の能力を暴発できるんデス。他の人に能力を使わせることができマス。それを応用して乗っ取ってたんデス、なんかすみまセン」

「やだぁ♥エンリョしなくてもいいのにぃ♡」「本領発揮してきマシタね……」

「……ここで接触を図るのには何か理由が?正直なんの条件も無しに協力するとは思っておりませんが」

「流石デスね!実は人探しをしてマシて……messiahサン知りマセンか?」

「木更津さんの中にいるのでは?」「あァ、それなんデスけど」

「今色々あって本来の体を取り戻してマシて、単体で皆さんを消しに動いてるみたいなんデス。だから参加者殺さないでって伝えようとしてたんデスよ」「味方ってわけではなかったんですね」

「よかったら探しといてくれマセんか?僕情報はたくさんあるので、場所見つけてくれたら情報と交換しまショウ!」

「了承しましたが、よければ今行くべき場所とか教えていただいても?」

「あ、いいデスよ!でも貴女たちはAチームで相当楽なので、ほぼ道なりなんデスが……ただ、お化け屋敷みたいなもんなので、某明るさ調整ニキの能力で明るくしときマス。あんまうまくいかないかもデスけど」

「おおおお化け屋敷ぃ?!お化け屋敷って言ったあ?!明るくてもお化け屋敷はお化け屋敷じゃないぃ!!もうぃやああ!!私帰る!!帰れないけど帰る!!」

「あまり攻撃とかはされないのですか?」「そうデス!まあ死ぬことはないデスよ!」

「信じ、信じるからなぁああ!!ほんとに!怖い!よっ!」「頑張りましょうね」「はいぃぃ……」

「じゃあ僕は他のチームの人にも聞いてきマスので、余裕あれば探しといてください!じゃあまたどこかで!」


通信は途切れ、私と猫手はまた二人きりの空間に引きずり出された。

二人で顔を見合わせる。なんだかすごい展開だ。

猫手の顔色が明らかに悪い。ホラー系は苦手らしい。


「とりあえず進みましょう。猫手さん」「だっ大丈夫私は天才最強おけ丸水産」「大丈夫なんでしょうかそれは」


お化け屋敷、というのはあらかた合っていて、なるほど照明が暗くなり、変に静かになっている。

驚かす準備万端。照明も真っ暗というほどではなくなっているが、薄暗いといった感じで暗めではある。

正直雰囲気は少し怖めだが、叫ぶほどではないかなという感覚だ。猫手はよっぽど怖がりなのか。


「これくらいなら多少は見えそうですね。右の方へ向かいましょうか」「見えるけどそれはそれで怖いって!!」


壁を伝いつつ先へと進む。

進み始めたあたりから猫手が強い力で私の手を握っていて、そういう意味で怖いのだが。


「おああぁぁぁ???!!!」「え、いかがなさいました?」

「な、なんかそこに、血にまみれたイケメンがいりゅ……」「え……?どこですか?私たち以外に人影は見えませんが」

「ええええぇええええ!怖い事言わないで!いるじゃん!血にまみれたイケメンと大多数の目ん玉がぁ!!」

「いませんけど……」「ええええええ!!!もおおおおおお!!相当視力悪いのもしかして???」「0.8くらいですが」


ここまで具体的だと実在しているように思えるが……

やはり彼女はあの体質なのか?


「あそこ、部屋があるように見えます。向かってみませんか?」「もう何が何でもついていきましゅ……」


その扉を開ける。少々建付けが悪く、開けるのに苦労した。

すると、私たちはその事実に驚くことになる。


「これは……」

「扉が増えた……?」


そう、扉の先はまた扉。

しかも、今度は3つに。

その中の一つを開けてみるが、次は5つ。

つまり、これは正解の扉を開けるまで永遠に続く形式だ。


「運ゲーじゃん!!しかもこれ最初に当てないとやばかったやつー!!」

「私たちは二人ですし……同時に別の扉を開ければいいのでは?」

「ありなのそれ??」「確率は上がるかと思ったのですけれど」

「だとしても5分の2。悩んでもしょうがないけど悩んじゃうわぁ……」

「直感だと思いますけれどもこういうのは」「んー……」


猫手は数秒間手を口にあてて考えていたが、ふと顔を上げ駆け出した。


「私ど真ん中にする!」「分かりました。それでは私は……一番右にでもしましょうか」

「じ……じゃあいくよ?」「ええ」


「「せーの」」


扉が開く音が一つに聞こえた。

すると、猫手の甲高い悲鳴が聞こえてきた。


「な、なんか凄い所につながってる!!光ってるし!!」


猫手の方に行くと、私たちが第二ゲームに連れてかれた時の光が輝く扉だった。


「脱出なのでは?」「早く入ろー!んでもう二度とお化け屋敷来ない!!」


扉を開けると、そこはあの広場……ではなく、見知らぬ場所だった。


その部屋はとてもシンプルで、人がギリ4人入れる程度の空間に、人が二人ほど入りそうな大きい穴。

そして穴の前には看板が置かれている。

残念なことに、先に進む扉も戻る扉も開かない。

その看板は、親切なことに私たちにも見えるようになっていて、その内容が


「「神器を一人選んでください」」


「……何それ?」「軽く説明しましょうか?」「おなしゃす」

「神器、というのは神化人のお付きの人です。神化人の声は普通の人は聞こえないので、特殊な血筋の人が神化人の意識をその身に宿らせ、お告げを聞かせたり説教ができたりします」

「んえー。てか神化人の声って聞こえるくない?私神社行ったとき神化人と話してたよ」「……先程から思っていたのですが」

「猫手さんは霊媒体質、ではないでしょうか」「what??」「ええと」

「先程神器になれるのは血筋が関係していると言いましたが、極稀に血筋が普通でも神化人とコミュニケーションができる方がいらっしゃるんです。その方は所謂幽霊とも会話ができたりして、それを霊媒体質っていうんです」

「幽霊か。じゃあ私が見た 目ん玉引きつれた出血バーゲンセールイケメンも」「要素が多いですけど。まあ幽霊なのでは?」

「そしたら私は神器になれるの?指揮ちゃんは?」「なれますよ。私も血筋があるのでなれますが……」


ここまで言って内心やってしまった、と思った。というのも、私が神器になれなかったのには音端以外にも理由がある。

これは私自身の問題なのだが、私は神化人と話せなかった。


なので、私はおそらく神器になれない。

なれないやつが穴に落ちて神化人の逆鱗に触れたら怖い。

ここでなれません、と言ってもよかった。でも、私の自尊心が許さなかった。

音端は霊媒体質でもあった、だから私より彼が優先された。

私がもし神化人と話せたら。霊媒体質だったら。

この左目も失わず、出来損ないと罵られず、幸せになれたのに……!

だからこそ私は、嘘でもいいからこそ役立たずになりたくなかった。

今度こそ私が。


「これ決めないと進めないのかな?」「そうでは?」「だよねー……」

「私その神器ってやつのこと知らないからちょっと怖いけどさ、神器になったらどうなっちゃうの?」

「私も神器になったことないのでなんとも言えませんけれども、神化人と意識を共有するらしいです」

「どんな感じなんだろ?テレパシーみたいな感じで心の声が聞こえてくるのかな?」「さあ……」

「じ、自我が消えちゃうーとかはないの?」「ないらしいです。ただ、主の神化人に一生を捧げる感じなので、本来の性格よりも信仰心が強くなるらしいですよ」「なんか怖い」


猫手はしゃがみ込み、しばらく看板と穴の底を見比べていた。

正直穴の底は見えない。のでこっちのが怖い。

猫手は穴すれすれのところで立ち上がり、私の方に向き直った。


「これ二人同時に飛び込んでみない?」「え」

「多分神化人の所に連れてかれるんでしょ?二人とも資格はあるんだしさ、それでどっちにするか選んでもらおう、その神化人に!神のみぞ知るをしてみるしかない!」

「えっ……」「珍しくガチで引いてんじゃん……やめてよ……」


確かに私にも猫手にも資格はあるし、どちらが選ばれても不思議じゃないとは思っていたが、

人生かかっててそこまで運ゲーする人がいると思わなかった。


「ええと、猫手さんはなりたいんですか?」「うん、だって下にイケメンの神様がいるじゃん」「……」

「指揮ちゃんはなりたいの?」「はい。血筋的にもなれと言われてきたので」「すご」

「二人同時は危険すぎません?多分ルール違反では?違反したら危害を加えられるやも」「でもさ、私も指揮ちゃんも神器候補なんだし、こんな有能な人材殺しはしないんじゃない?」「まぁ……行動は読めませんが」

「選ばれなかった方はどうなるかわからないし……」「さっき扉いっぱいのところでも、指揮ちゃんは別に平気だったし、いけそうって思ったんだけど」「……」


とりあえず私は安全に神器になりたかったのだが、ここまでくると猫手になるなって言うのは無理な気がしてきた。

となると二分の一に賭けるか。なんか今回ずっと確率と戦ってる。


「じゃあ二人でいってみます?」「そうしよ!じゃあいきますえー」「京都……?」


「「せーのっ」」


暗闇の中へ、私たちは入ってゆく。

着地はどうするんだ?なんて考える暇もなく、想像以上に穴は浅かった。


地面はクッションのようになっていて、着地でケガすることはなかった。


「いった……くないわ。このクッション超ふかふかじゃん!!すごっ!!」「ですね。危うく落下死するところでした」


「ふわぁぁぁぁ……(眠)あれ、神器の人?二人もいるんだぁ……(驚)」

「ほわあああああ!!イケメンが喋ったー!!」「は、初めまして」


どうやら神化人が居るらしい。私は見えないし声も聞こえないので、基本猫手のリアクションに沿う感じになる。

彼を失望させたくない。絶対に神器になってやるから。

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