コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
**第二期 第10話: 邸宅の大広間での決戦**
トーマス、ケイン、そしてグラントは、エリクサー・アビスの居る邸宅の大広間に足を踏み入れた。広間の中央には、黒衣をまとったエリクサーが、冷ややかな笑みを浮かべながら待ち構えていた。
「ようこそ、勇敢なる者たちよ。だが、この場所が貴様らの墓場となるだろう。」エリクサーの声が静かに響き渡った。
エリクサーはすぐに手を掲げ、空気中の魔力を集め始めた。彼の手から放たれる魔法の弾が、紫色に光りながら次々と二人に向かって飛んできた。トーマスとケインは素早く反応し、魔力を反射する剣でその弾をすべて弾き返した。
「これで終わりか?」ケインが冷静に言い放った。
しかし、エリクサーは不敵な笑みを浮かべたままだった。「それはただの序章に過ぎぬ…」そう言い放つと、彼は再び手を掲げ、今度は連射の魔法弾やビームを発射した。
「連射だ、気をつけろ!」トーマスが叫び、二人は互いに背を預けながら、飛んでくる魔力を剣で次々と打ち返した。
ビームの威力は強力で、まるで空間が焼き切れるかのような錯覚を覚えるほどだった。しかし、トーマスとケインは冷静に剣を振り、ビームを見事に跳ね返してみせた。その攻防がしばらく続いたが、二人は一歩も引くことなく、エリクサーに対抗していた。
だが、中盤に差し掛かると、エリクサーはさらに大きな攻撃を仕掛けてきた。彼の手から放たれた巨大なエネルギー球が、全てを飲み込むかのように迫ってきたのだ。
「これを受けたら終わりだ…!」ケインが叫んだ。
「二人で一緒に行くぞ!」トーマスが提案し、二人は剣を交わらせた。
二本の剣が交差し、魔力が共鳴する。二人の力が一つとなったその瞬間、彼らはその巨大なエネルギー球を一気に跳ね返すことに成功した。エリクサーはその予想外の反撃に一瞬ひるみ、魔力球は彼の足元で爆発した。
「やったか…?」トーマスが息を切らしながら呟いた。
しかし、エリクサーはまだ倒れていなかった。彼の体はかすかに揺らぎ、再び攻撃を仕掛ける準備をしていた。
「俺たちで決着をつけるんだ。」ケインが剣を構え直し、エリクサーの後方に回り込んだ。
トーマスは正面に立ち、二人はエリクサーを挟み込むような形で配置についた。
「行くぞ!」トーマスが声をかけ、二人はラリーを始めた。エリクサーに向けて剣で魔力を送り、彼の体力を徐々に削っていく。エリクサーは必死に反撃するが、二人の絶妙なコンビネーションには対応しきれなかった。
最終局面に差し掛かると、グラントが弓を引き、静かに狙いを定めた。彼の狙いはエリクサーの足だった。鋭い矢が放たれ、見事にエリクサーの足に命中する。エリクサーは大きくよろめき、体勢を崩した。
「今だ、ケイン!」トーマスが叫ぶ。
ケインはその瞬間、剣に込めた魔力量を最大にし、エリクサーに向けて魔力玉を放った。強力な魔力玉がエリクサーの胸に命中し、彼は大きくのけぞった。
「ぐはっ…!こんな、こんなはずでは…!」エリクサーは叫びながら崩れ落ちた。
トーマスとケインは勝利を確信し、エリクサーに近づいた。
「教えろ、どうしてお前が転生者なんだ?どうやってここに来たんだ?」ケインが問い詰めた。
エリクサーは苦しげに笑いながら答えた。「俺は、別の世界から転生してきたんだ…俺もお前たちと同じように、ここに来た時は戸惑いばかりだった。だが…死んだ者がどうやって転生するか、その方法までは知らない…」
エリクサーの体は次第に霧散し、最後の言葉と共に完全に消滅した。彼の死と共に、魔族の幹部の一人であるエリクサー・アビスはこの世界から消え去った。
「転生者…やはり、ここには他にも同じ境遇の者がいるのか。」ケインが呟いた。
「だが、まだ俺たちの旅は終わらない。もっと強い敵が待っているはずだ。」トーマスが剣を鞘に収めながら言った。
グラントも無言で頷き、三人は静かにその場を後にした。彼らの次の戦いはどこにあるのか、そしてこの世界の謎はどこへと導くのか、その答えを探しながら、彼らは再び新たな冒険へと向かっていった。