太中
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探偵社から窓の外の大きな空に見とれてた
まだ外は明るくって、憎たらしい程に空が晴れ渡っていた
蒼く澄んだ空から蒼い瞳の彼が脳裏をよぎって、彼から少し目を逸らす
昔のことは忘れようとしているのだが、矢張りふとした時に頭によぎるのだ
今、私は光の世界で、生きていると思うと、自分も光の人間になれたのだと、これまでの自分を上書き出来るかの様な気持ちになれる
これまでの自分を笑ってやりたい気分だ
でも、最近私の足下に影がかかって来てる気がするのだ
まるで、私は光の者では無いと言われてるようで少しばかり身が震えた
皆、影など残さない程に明るい場所に居るにも関わらず、私の影は自分の足下にはぴたりとくっついている
私は、何時か輝きを失って切り離されてしまうのだろうかと、最近は思う様になった
そうなってしまったら私はもう一度光の中へ行きたいばかりに踠き苦しんで、何度も何度も光を求めるのだろうと思ったのだ
そうなるのが嫌な私は、そうなる前に距離を置く
敦「…太宰さん仕事してくださいよー」
「太宰さんも少しは国木田さんを見習ってください」
太「……」
「一寸入水に……」
敦「あ、ダメですよ!」
「太宰さんの仕事結構溜まってるんですから…」
「ちょ、太宰さん!?待ってください!」
もう駄目なのかもしれない
体調が悪かったと云って今日は休もう
国木田くんに連絡しないと…
……
やっぱりめんどくさくなった
今日は気分が悪い
家に帰らないと…
気持ちが悪い
目眩がする…
何かにもたれ掛かりたくて、路地裏に入った
路地裏は影になってて、静かだった
だが、其の妙な静けさが、気持ち悪さを誘惑して、其の場に蹲った
誰でもいいから誰かに助けてもらいたくて、誰かに縋りたかった
そんな時、誰かが私の背中をさすった
突然で驚いて、警戒しながら直ぐに誰なのかを確認した
四年前の大嫌いな彼だった
彼は私の背中を嫌そうな顔でさすっている
だが、彼には其れが私に対する精一杯の優しさなのだろう
それでも私は、そんな彼の手を勢い良く振り払った
怖かったから
このまま大嫌いな彼に縋ってしまうのではないかと怖気付いたから
彼は一瞬目を見開いて此方を向いていたが、
「大丈夫かよ」
なんて云っていた
私がなんともないと云うと、彼は素っ気なく、「そうか」と返した
普通な会話が続いて、 なんとなく、口から言葉が溢れ出した
「皆、私を置いてどっかに行くんじゃないかと思って…」
そんな、独り言に彼は、
「…其れは、手前が置いてかれる側ではなくて、ただ単に手前が置いていかれない様に距離をとってるだけなんじゃねぇの」
彼の顔は見えなかった
「……」
「……手前がいなくなって困る奴も意外といるんだ」
「…ほら、芥川とか人虎…其れに眼鏡もさ、今となっちゃぁ手前の相棒じゃねぇか」
私のことをさも簡単に分かっている様に話す隣の彼に腹が立った
手のひらを強く絞めた
「……ッ私のことをッ分かった様に云わないでよッッ゛」
「.ッ私がいなくなって困る人がいる?.ッッそんなのがッッッ…………ッいるから苦しいんじゃん…ッッッ…」
「…………今後一切関わらないで…」
「は…」
「.ッ今後一切私に関わらないでって云ってるのッッッッ」
私は彼の頬を平手で打った
静かな路地裏に痛々しい音が響いた
彼は俯いてた
私は何も言わずにこの場から去った
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お疲れ様でした
最近新しいあだ名が増えました
雨温地とエターノルと6歳児です
名前の原型がないです
このあだ名の由来は時間があれば教えます!
最後まで見て頂きありがとうございました
コメント
3件
んん好きですね(
続き楽しみに待ってます!