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市役所の職員が顔をしかめたのが、後ろから見ていた正源にも分かった。
「そりゃ耳が痛い。だから投げ込み寺ってわけですか?」
「生きて苦界に身を沈め、死して箕輪の投げ込み寺、そんな言葉があったそうです」
「しかしね、和尚様」
市役所の職員は妙に真剣な口調になって言った。
「たとえ投げ込み寺でも、弔ってもらえるだけマシかもしれませんよ。大きな声じゃ言えませんがね、高齢の女性の遺体が、産業廃棄物処理場で見つかった事もあるんですよ。あのまま誰も気づかなかったら、そう思うと今でもぞっとしますよ」
新幹線の駅に着き、駐車場に停めた車の中で、職員は正源に薄っぺらい封筒を手渡した。
「聞いてらっしゃると思いますが、お布施の方は後日銀行振り込みって事で。今日のところは、その明細書だけお渡ししときます」
「はい、承知しております」
「すいませんね。宗教法人への公金の支出は、手続きが面倒になる一方で」
「仕方ありません。そういう時代ですからね。ああ、見送りは結構です。ではここで失礼」
正源は車のドアを開け、駅舎の方へ足早に向かった。既に夕暮れがあたりを包み込もうとしていた。
その日の夜遅く、正源が自分の寺に帰って来ると、事務所の固定電話に留守番メッセージが入っていた。
再生して聞いてみると若い女の声で、ロボットを供養してもらえるか、という問い合わせだった。
正源は、先日の女性から何か聞いたのだろうと思い、時計を見たが、もう遅い時刻だったので、返事は翌日にすることにして、離れの寝所にそのまま向かった。
翌日電話をかけ、話を聞くと、ある会社の受付で案内係として使われてきたロボットだという事だった。一時もてはやされた機種だったが、メーカーが経営破綻したため、修理、メンテナンスが不可能になり、とうとう廃棄処分になる事が決まったそうだった。
そこでその会社の社員、特に若い女性社員が、せめて葬儀めいた事をしてやりたいと言い出し、正源に連絡してきたのだった。
やはり先日の高齢の女性から話が伝わっていたらしかった。既に一度経験した事でもあり、正源は布施の金額を確認して、その依頼を引き受けた。
指定された日は日曜日だった。できるだけ多くの社員が立ち会えるようにという事らしい。
コメント
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第12話読んだよ!「投げ込み寺」ってワード、めっちゃ印象に残った。高齢女性の遺体が産業♡♡♡処理場で見つかった話、あれゾッとしたわ…。それとロボットの供養の依頼が重なる構成、人間も機械も同じ「弔い」の対象になるって視点が深い。正源さん、また新たな依頼を受けるんだね。続きが気になる!