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今回は初のオリジナルBLに挑戦します!
温かい目で見守ってください!
それではどぞ〜
⚠激重です
「女と飲んでるから、今日は帰れねえわ。」
そのLINEが届いたのは、夜の23時を過ぎた頃だった。
風呂上がりの髪をタオルで拭きながら、ユウはスマホの画面を見下ろす。
「あっそ」
打ち込んだ言葉を送信せずに消して、代わりに「了解」とだけ返す。
既読はすぐに付く。でもその後に返ってくるのは、絵文字ひとつの「👍」。
何度目だろう、と思う。
何度、こうして約束を反故にされたか、もう数えきれない。
今夜も、カズキは帰ってこない。
ユウの部屋の合鍵は、半年も前に渡したままだ。
それなのに、彼がこの部屋で朝を迎えた日は、月に数回あるかないか。
会えたとしても、ベッドの上で数時間抱かれて、朝にはもういない。
「好きだよ」とは言ってくれない。
たまに名前を呼んでくれるだけで、それが嬉しくて、ユウはまた次を期待してしまう。
「……バカみたいだな、俺」
部屋のソファに沈み込む。
ぬるくなった缶ビールを飲み干すと、胃がじわりと熱を持った。
カズキは悪い男だ。
三十手前の広告代理店勤務、顔が良くて話が上手くて、女にも男にもモテる。
ただし、浮気癖と無神経な言葉遣いがセットだ。
「ユウってほんとチョロいな」
「俺に飽きたら他行っていいよ?」
「でも、他にこんなカラダの相性いいやついねぇし?」
その度に胸を刺されるくせに、離れられなかった。
自分で言っといて苦しくなる。
彼の指先が髪に触れるだけで、ユウは嬉しくなって、期待してしまうから。
きっと、自分は「都合のいい男」だ。
本命ではない。
それでもいい、と言い聞かせていた。
それしか、彼の隣にいられる方法がなかったから。
週末、久しぶりにカズキが来た。
開口一番に出てきた言葉は「あれ?飯ないの?」
ユウは「作ってない」とだけ答えて、ソファに座ったままテレビの画面を見続けた。
「へー、つれねえじゃん。機嫌悪い?」
「別に」
無言が流れる。
それを破ったのはカズキだった。
「……あー、ユウのその顔、ちょっと好き」
「……」
「ごめんねって顔、ゾクッとするわ。……ベッド行こ?」
それは誘いでも何でもなく、“命令”に近かった。
けれど、ユウは立ち上がらなかった。
「今日は、無理」
「は?」
カズキの眉がわずかに動く。
けれどユウは、視線を合わせずに言葉を続けた。
「……もう、ちょっと疲れたんだ」
「……何が?」
「全部。……期待しても、意味ないのに期待しちゃってさ。バカみたいに、カズキのことずっと好きでいたけど……もう、限界かも」
心臓が痛い。
けれど、吐き出した言葉に嘘はなかった。
カズキは一瞬、沈黙した後、ふっと笑った。
「……あっそ。じゃ、別れるか」
ユウは、目を伏せたまま頷いた。
その夜、カズキは何も言わずに出ていった。
まるで、最初からそこにいなかったかのように。
今回はここまで!
これはシリーズ系で載せていこうと思います!
次回→♡500
ばいば〜い