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「なー、あれって、みはさん?」
「、どれ?」
部活終り、ブランコに乗ってジュースを飲む流輝と陽。流輝は陽が指差した方を見て、1人の生徒を見つける。
「あー、そうだね。みはさんだ」
2人がみはさんと言う生徒の名は見巾はるか。みはさんと言うのは1年生のときに付けられたあだ名らしい。
ちなみに、流輝は2年4組、陽は2年2組、はるかは2年1組であり、1年の頃は3人とも2組でとても仲良しだった。
「みはさーん!久しぶり―!」
「あ、藤本と佐々野!おひさーおひさ!」
陽がはるかに話しかけ、はるかは2人に気づき、元気に挨拶を返す。それに流輝は少し頭を下げ、会釈をする。
「みはさん、今何してるの?」
「んー?お絵描きー」
流輝が聞くと、はるかはそう答えたので、流輝と陽ははるかが持っているスケッチブックを覗き込む。スケッチブックには、キャラクターと、今3人がいる公園の花壇が描かれていた。
「ひぇー。いつ見てもうまいね、みはさんの絵!芸術部入らないの?」
「うん、上手。」
「ハハッ、ありがと。でも、芸術部には入らないかなー!」
はるかがそう答えると、流輝と陽は不思議そうな顔をして、花壇に向かって歩いていくはるかを目で追っていた。
「僕はさ、絵を描くのは自由にやりたいんだよね。部活っていう、やらなくちゃいけない。みたいな責任、みたいな?ので絵を描きたくないからさ。」
「それに僕、植物育てるの好きだからさ、人数少なくても、園芸同好会で満足してるんだよね」
そう言って微笑むはるかの笑顔は本当に植物を育てるのが好きなんだな、と思わせるような純粋な笑顔であった。
「やっぱり、この状況って男2人女1人に見えるよな」
「実質そうだろ」
「いやいや、佐々野が女でみはさんが男な!」
「あら嬉しい」
陽とはるかがそう会話をする。実際、流輝は戸籍上での性別は男だが、本人的には女になりたいと思っており、普段から女装をしている。逆に言えばはるかは、流輝の逆で、女だが男になりたく、男装をしている。
「となると、藤本が少し性癖歪んだやつみたいだね…」
「うっさいな!いーだろ別に!!!」
「それお前性癖歪んでんの認めてんぞ」
「認めてねー!!俺は!健全!!!」
「それはさすがに嘘」
「酷い!」
はるかがスケッチブックを閉じて3人で帰り始めた。そして、 陽は飲んでいた缶コーラの空き缶をゴミ箱に投げ入れて少し遊んだ。
「うるさいぞー藤本ー」
「はい、すんませんしたぁっ!!!」
流輝に注意された陽はヤケクソになって謝る。そんなとき、藤本の腹からグウゥゥッと音がなる。午後部活が終り、昼ご飯を食べてからおよそ4時間が経つ。食べ盛りの高校生からすると腹が減って仕方がないくらいの時間なのだ。
「…ねね、コンビニ行かね??」
「嫌だよ」
「んでだよ!!!」
「ハハハッ」
陽がコンビニに寄ろうと誘うと即答で流輝に断られ、それに対して陽が即座にツッコみ、それを見てはるかは笑う。
実は3人は2年生になってから3人揃って会うことがなくなり、こうして3人で話すのは久しぶりであった。
「いやー、なんか懐かしいね、こうして3人で話すのは。」
「だねー、1学期の間1回も話さなかったもんな」
「だよね」
先程からこの3人は陽が話題を振り、それにはるかが答え、さらに流輝が答える会話を繰り返している。
そうして3人で話していたら、いつの間にかコンビニの前にいた。
「…私がさぁ、行かないって言ったよ?」
「いや、いいじゃん!!!??」
「僕もおにぎり買おっかな」
「て、嫌なら入らなけりゃいいじゃん!?」
「それは私が仲間外れみたいじゃん」
そうして、嫌々いいながらも流輝は結局はるかと陽がコンビニの中に入ると流輝も入る。
「いや、入るんかい!」
「ま、私だけ外で待ってるのは虚しいし」
「ワガママか!」
「2人ともコンビニ内ではも少し静かにしよーなー?」
「「あ……ハイ………」」
2人がコンビニ内でも言い合いをしているとはるかが2人を静める。はるかの目つきが悪いからか、結構はるかは圧が強く、陽と流輝の中では『みはさんを絶対に怒らせるな』というルールを決めていたりした。
「あ、俺これ買いたい」
「私これね」
「んじゃ、僕これで、ゴチになりまーす」
「奢るとは言ってねぇべ」
「知らん知らん」
1度はるかに怒られてからは陽も流輝も落ち着いて、少しだけ静かに買い物をした。
「あ、やっぱこれで」
「高いやつじゃねえかざけんなよ!」
「ふざけてないよ。」
「1000えっ…高すぎるわ!!」
「ケッ!こんぐらいいーだろ」
「よくねぇけど!?」
だがしかししばらく経つとまた喧嘩を始める。
「2人ともーー???」
「「……はい…………!!!」」
そして、結局また、はるかがイラつきだして注意をして、やっと静かになる2人。
そうして、なんやかんやでコンビニを出て少し歩くと十字路があり、「また明日ー」と、そこで3人はバラバラの方向に歩き、家に帰る。