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ちょむ
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二人きりの夜
文化祭が終わった頃には、外はすっかり暗くなっていた。
校門を出た二人。
「今日は楽しかったですね」
「はい!」
ふうかは満足そうに笑う。
「でも……ちょっと疲れました」
「お疲れさまでした」
ベリアンは歩く速度を少し落とした。
ふうかに合わせて、ゆっくり歩く。
しばらく無言で歩いたあと。
「ふうかさん」
「はい?」
「今日は……ありがとうございました」
「何がですか?」
「私のわがままに付き合ってくださったことです」
「わがまま?」
「はい」
ベリアンは少し照れたように笑う。
「あなたと一緒にいたいと言ったり、他の方といるあなたを見て嫉妬したり……」
「……」
「自分でも、少し困っています」
ふうかはしばらく考えたあと、笑った。
「私は嫌じゃないですよ」
「……本当ですか?」
「はい」
ふうかはベリアンを見る。
「だって、私も先輩と一緒にいたいから」
その言葉に、ベリアンは足を止めた。
「……ふうかさん」
「はい?」
「今の言葉……もう一度聞いてもいいですか?」
「え?」
「もう一度、聞きたいです」
ふうかは少し恥ずかしそうに笑った。
「……私も、先輩と一緒にいたいです」
ベリアンはしばらく黙っていた。
そして、優しく微笑む。
「……ありがとうございます」
「先輩?」
「今、とても嬉しいです」
ベリアンは夜空を見上げた。
「今日一日、嫉妬してばかりでしたが……最後にあなたの言葉を聞けて、全部忘れてしまいそうです」
「ふふっ」
「でも」
ベリアンはふうかを見る。
「これからも、きっと私は嫉妬してしまうと思います」
「そんなに?」
「ええ」
少しだけ照れたように笑う。
「あなたが大切だから」
ふうかの頬が赤くなる。
「……私も、先輩のこと大切にします」
「……その言葉だけで十分です」
二人は並んで帰る。
文化祭の終わった学校には、もう人の姿はほとんどない。
けれど。
二人の距離は、昨日までよりほんの少しだけ近くなっていた。
そしてベリアンは、心の中で静かに思う。
――これからも、ふうかさんの一番近くにいたい。
誰かを押しのけるのではなく。
彼女自身が、自分の隣を選んでくれるように。
それが、ベリアンにとって一番嬉しいことだった。
文化祭の一日は終わった。
けれど――。
二人の恋は、ここから始まったばかりだった。
コメント
1件
うわあ…最後の「彼女自身が、自分の隣を選んでくれるように」っていうベリアンの気持ち、めちゃくちゃ刺さったわ。嫉妬も素直に認めて、でも強引じゃなくて、ふうかの気持ちを待つスタンス…この距離感が甘くてもどかしくて最高だね🔥 文化祭の余韻と二人だけの夜の空気感がすごく綺麗で、ほっこりしながら読んだよ!