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三日目の朝、神山高校正門にて
変人ワンツーの朝。
変な物を作る方神代類が、声が大きいと、また、変人と呼ばれる天馬司に駆け寄る。
司は気づいていないようだ。
「おはよう!!司くん!!!」
昨日と同様、背中に衝撃を与えながらの登場。
「あぁもう!その登場の仕方は何なんだ類!!」
同じ手に二回も引っ掛かった司は半ギレ状態に。
その反応に類は楽しんでいるように見える。
「類~~~~!!いい加減に「司くん」な、何だ……」
真っ直ぐ司の目を見つめながら名前を呼ぶ。突然のことに吃驚する。
そんな様子には気にも止めず類は、
「二人で、ミュージカルに行かないかい?」
「……は?」
二枚のチケットと共に誘う。
(ふふ、この劇団のチケットは倍率が高い。司くんが前に話していた役者の方達が勢揃いだからきっと司くんも応募したんだろうね。でも、当選者発表の翌日元気が無さそうだった。つまり司くんは当選していない。僕も前から気になっていた演出家の方がいたから興味を持って応募したんだけど、まさか当選するとは。せっかく恋人同士になったことだし、デートにでも誘ってみようかな。日にちは土曜日だし、練習もない、楽しみだなぁ。)
以上、類の心の中だ。長い。
一方司は、目をキラキラと輝かせながら思いっきり頷く。
「こ、これ!!!オレも応募したんだが当たらなくてだな、さすがは類!!是非とも行こうじゃないか!!!」
こうして土曜日、神代類発案、デート計画が実施されることになった。
二人、という単語が強調されたような。そして司はあることに気づく。
「これってもしや、属に言うデート、とやらなのでは……」
司の手を取る類。まるで恋人に囁くかのような甘い声で答える。
「ふふ、やっと気がついたのかい?じゃあ改めて。
司くん、デートしないかい?」
デート当日、土曜日
今日こそ、この関係に終わりを告げるつもりである。
待ち合わせの十分前。司はデート経験のある咲希の手を借り、いつもより気合いの入った服装だ。上はパーカーに下はシンプルなスキニー、そしてジャケットを羽織る。「さすがにカジュアル過ぎないか?」と、司が心配になって咲希に問いかけると「これくらいが丁度いいの!!」と返された。よく分からない。
待ち合わせ五分前。類が遅れたように走って駆け寄ってきた。実際、遅刻はしていないのだから走る必要はない。
類と自分の格好を見比べてみる、大違いだ。180という、高い身長に合わせてのスマートな出で立ち。
周りの女性達は類に視線が釘付けだ。
「おはよう司くん。」
「あ、あぁおはよう、類」
少し頬が赤くなりつつも挨拶を返す。
すると、類は司のジャケットの襟部分を指差しながら、
「司くん、一つ言いたいことがあるのだけど……」
司の耳元に口を近付け、
「後ろ……服のタグが付いているよ」
そう指摘した。
「なっ!?!?!?!」
顔の近さと恥ずかしさで耳まで真っ赤になる司。
「ふふっ、何か期待したのかい?司くん」
「類お前、分かっててやっているだろ……」
「あちゃ、バレちゃった?」
そうこうしている内に目的地に着いたようだ。
施設内に入り、受付を終え、指定された席へと向かう。思ったよりも客が多く、少し騒がしい。そんなことは気にせず、夢中でショーについて語り合う二人。
しばらくすると、アナウンスの声が聞こえてくる。
さて、ミュージカルの幕開けなようだ!
デートだという事を忘れて物語にのめり込み、気付いたら拍手が上がっていた。すっかり魅了された二人。一人は涙ぐみ、もう一人は笑顔で、精一杯の拍手を、物語を送ってくれた役者達に贈る。
「最高の結末だったな、類!!!」
「そうだねぇ。僕は特に、ヒロインがあそこで花束を持つところが_」
類の予想通り、終わってからは感想が尽きない。昼食にとカフェに着いてからも、一時間くらい話しただろうか。終いには、次のショーはあのシーンを少しアレンジして……と、話題が広がっていた。
司は、暫く忘れていたある目的に気付く。
「る、類……少し話が……」
突然声色を変えた司に、類は姿勢を正す。
「どうしたんだい?司くん」
意を決して言う。このチャンスを逃してはいけない。
「実はだな、オレ……」
次回へ続く!!!!