注意事項
・knkz
・空想りすなー
kn→「」 kz→『』
配信終わり。
叶がいつものように「お疲れ」って声をかけてきた瞬間、葛葉はわざと目を逸らした。
『……帰るわ、今日は』
「え?」
『なんでもねーよ』
いつもなら一緒にゲームしたり、まったりしてたのに。
理由もなく叶から距離を取る葛葉に、叶は一瞬だけ表情を曇らせた。
でもそれ以上何も言わず、「ちゃんと休みなよ」だけ残して見送ってくれた。
――なのに。
(なんで……罪悪感すげーんだよ)
部屋に戻っても、叶の顔がずっと頭に残ってる。
あの優しさも、照れも、近さも。
(……俺の方が、逃げてんのかよ)
“気づかれてたら恥ずかしい”なんて思ってたけど、
逃げたせいで叶の優しさがもっと刺さる。
その夜、通知が鳴った。
「明日も無理しないでね。僕は、葛葉の好きな距離感でいいから」
葛葉は思わずスマホを胸に押し当てた。
『……好きな距離感、って。お前が近づいてくんのに』
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「葛葉、今日めちゃくちゃ声色優しいんだけど?どしたの?」
『は!? そんなん、いつもどおりだろ』
「ほんとに? 僕にはなんか、“特別な人に見せる顔”に見えるけどな〜?」
『~~うるせぇ!』
リスナーもすかさず反応する。
【なんか今日のふたり距離近くない?】【葛葉、なんか挙動不審w】【告白前夜みたいな空気】
葛葉の耳が赤くなったのは、カメラ越しにも分かるくらいだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ある夜。
いつものように並んで座ってゲームしてたはずが、ふと、葛葉が手を止めた。
『……なあ、叶』
「ん?」
『お前……俺のこと、好きだったり……すんのか?』
「……」
一瞬、画面の中の音が遠くなる。
叶は笑って、でも目だけが真剣だった。
「そんなの、ずっと前からだよ。気づいてなかったの?」
『っ……ずるい』
「僕はずっと、葛葉のこと、大事にしたかっただけ。
……でも、そう聞いてくれたってことは、僕にもチャンスあるのかな?」
『……知らねーよ。俺も、最近わかんなくなってきた』
「じゃあ、ゆっくり確かめていこ? ……隣で、ね」
それからの2人は――
ただの“相方”ではいられなくなる。
でも、それが悪くないって気づくまで、時間はそんなにかからなかった。
コメント
2件
えまじで爆発しかけてます大好きです