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人魚パロディ・ろふまおBL・🌞愛され
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人魚姫で間違いないと診断され、淡々とした医師の説明を聞く。
まずは、症状について。
何も薬を使わない場合、1週間と持たず声は失われ、2週間後には完全な人魚になってしまう。
そして薬を使う場合、前回の症例より、1年は普通の人間として生活できるが、3年を過ぎて人魚にならなかった者はいないそうだ。
どうせ人魚になってしまうなら、わざわざ高い薬を使わなくてもいいのではないか。
少し考える時間が欲しいと伝えると、面会したい人がいるとのことで、その人たちを連れてきてもらった。
父と母だろうか。
しばらくしてからからとドアを開けたのは父でも母でもなく、ルームメイトたちだった。
「晴!!」
湊が駆け寄ってくる。
「なぁ嘘やろ、人魚姫に晴がなるなんて」
嘘ではないと告げる。
「っっっ、なぁ看護師さん、薬はあるんか、人魚にならずにすむ薬」
看護師は、目を伏せたままふるふると首を横に振った。
「ですが、少しでも人魚化を遅くする薬なら「それや、!!!」」
「晴、薬代なんか気にすんな、俺がなんとでもする。進行を少しでも遅くする。それのどこが、、ダメなん」
今までに聞いたことがないくらい、湊の声は憔悴しきっていた。
「どうせ人魚になるなら、「すぐにでも人魚になった方が私たちに迷惑をかけないで済む、なんて」」
ハヤトが胸ぐらを掴んで、僕の目を覗きこんできた。
「言いませんよね」
「言うつもりです」
ハヤトの目がギラリと開かれた後すぐに、その場にへたりこんでしまった。
「、ほらね」
ポツリと呟く刀也を見上げる。
「晴はすぐそうやって自己完結する、僕たちの思いも知らずに」
「刀也、」
「晴が人魚になりたいなら止めない、でも」
まっすぐこちらを見つめる。
「なりたい訳じゃないんでしょ」
その言葉は、今まで堰き止めていたものが溢れるには十分だった。
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