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自己満忍たま小説
忍術学園の6年生には
い組¦潮江文次郎 ︎︎ 立花仙蔵
は組¦善法寺伊作 ︎︎ 食満留三郎
ろ組¦中在家長次 ︎︎ 七松小平太
この6人が、学園全体に 主に知られている。
ただ、もう1人だけ優秀な忍者が居る。
他の生徒より少し早く起き、布団を畳み、 未だ学生であるにも関わらず 既に依頼されている任務へ出掛ける。
例えその“少し”が数時間前だと言えど、 彼にとってはそれが普通なのだ。
小松田さんが一々起きてくる訳でもなく、 門前に置いてある出門表にサインをする。 たった“それだけ”。
彼は、他生徒や1部の教師に殆ど知られて居ない。その為彼を見た者が他生徒へ話すと、嘘だとからかわれるらしい。
そんな彼の、他生徒との絡みを記した物。 それが、この物語である。
何時も起床する時間の五十分前… 少し早かったか…?
そんな事を考えつつ、とりあえず素早く 布団を畳み、収納する。
早く起きる俺のせいで起きる他生徒を気遣い、学園長が用意して下さった一人部屋。
有難い…が、改めて見ると一人では少し広いな…。
何時もそんな時間も無く準備していたから、こんなに余裕があるのは初めてだ。
一度廊下に出て、誰も居ない静かな真夜中を満喫している。月が物凄く綺麗だ。
眩しい程明るく光っている。目を細め、眠気が襲って来たタイミングで一旦顔を洗いに行く。
バシャ.ヾ
何度か顔を洗い、頭から冷たい水を掛ける。目が覚めた。時間はまだあるが、する事が無い。
戻って辺りを見回し、やはりする事が無いのを確認すると縁側に腰掛ける。
する事があっても、少し通常より離れているだけで他生徒の部屋とはほぼ隣。
空白の板が直ぐに取り外せるよう、他生徒と違い吊るされている。
真夜中だと色々な事が目に入るな。なんて呑気に考えていると、後ろの方からガタンッと音がした。
驚いて振り返れば、同級生の善法寺伊作。起こしてしまったのだろうか。
「おはよう。」
声変わりが完全に済んだ低く鋭い声を、真夜中の庭に響かせた。
おはよう、なんて言える時間でも無い。だからなのか、少しの間沈黙が続いた。
『……おはよう…?』
多少困惑した様子で、挨拶が返される。そりゃそうだ。先程水を掛けた髪が湿っており、不気味に見えるだろうから。
櫛を懐から取り出し、髪を整えて直ぐに結んだ。少しづつ時間が近付く。
『君、……って…。』
「ごめん、もう行かないと。」
今回の任務が少し遠い場所なのを思い出し、仕方無く彼の言葉を遮って門の方へ走って行った。
善法寺伊作視点.
真っ暗な真夜中に目が覚めた。尿意なのか、はたまた何か気配を感じたのか。
自分でも良く分からなかったが、隣で寝ている留三郎を起こさないよう廊下へ出た。
廊下へ出ると、すぐに縁側に腰掛ける人影が見えた。黒く長い美しい髪が風に靡き、一瞬仙蔵に見えて声を掛けそうになった。
直感で“違う”と気付いた。仙蔵程の髪の長さが無かった。長次くらいだろうか…。
髪が湿っていて、全く知らない後ろ姿だった。髪質は仙蔵、長さは長次、髪色は……四年生の浜守一郎程か…?
湿っている状態でもわかる程良い髪質なんだろうか、編入生でも来たのだろうか。
色々な事が頭に浮かぶ。そのお陰で頭がふわふわとして来た。眠気だろう、戻るか。
と、ここで自分の不運スイッチが発動。なんと後ろを振り向こうとした段階で何故か壁に足をぶつけた。
ガタンッと大きな音が響き、すぐに彼は後ろを振り向いた。
見開いた瞼を直ぐに戻し、穏やかな笑みを浮かべながら
『おはよう』
と声を掛けて来た。低く鋭い声だった。その声にも、その穏やかな笑顔にも驚いて暫くの沈黙。
その沈黙を断ち切ろうと、なんとか返事をした。
「……おはよう…?」
疑問形で発してしまったーーーッ…!!
いや、勿論色んな困惑もあるんだが多分初めましてなのに物凄く失礼では?
そんな事を思いつつ、彼を見詰めていると何故か櫛を取り出し、ただでさえ綺麗な髪をもっと綺麗に整え結んだ。
その容姿を見たお陰で、彼を見た時に1番最初に浮かんだ思考。
それは忍術学園内のとある噂だった。夜中に起きた下級生が、とても速く走る忍者を学園内で見た。
皆信じて居なかった。勿論自分もそんなに深くは信じていなかったが、まさかそれが彼なのか?
「君、……って…。」
『ごめん、もう行かないと。』
話を遮るように彼がそう言葉を発した。その直後、彼は噂を思い出させる様に素早く走り去って行った。
ポカン、と口を開けて去って行った方向を見詰めていると、留三郎が起きてきた。
『何やってんだ、伊作?』
「…ぁ。いや、なんでもないよ。」
声を掛けられてハッと我に返る。“なんでもないよ”と誤魔化して、質問を返す。
「えっと、留三郎は厠?」
『一応な。ま、行ってくるわ。』
不思議そうにしていた留三郎だが、そう問えばすぐに思い出した様子で厠の方向へ去って行く。
「……誰だったんだろう。」
再び彼が去って行った方向を見て気になっていた事をぼそりと呟いた。
それはそうと取り敢えず眠気が酷いので、一旦部屋に帰って眠りに着く。
2025年12月14日0:14