「綺麗ごとは信じない」
「皓(ひかる)様、望月さんのことはよろしいのですか?」
望月千夏(もちづきちなつ)を逃がしてから数十分後。
川崎の問いに、俺は車窓に目を向けたまま答えた。
「べつに構わない。 威勢がいいのは嫌いじゃないし、それに相手はあいつだけじゃないから」
さっきの剣幕には多少驚いたけれど、なかなかいいスパイスでもあった。
思い出して苦笑する俺に、川崎はバックミラー越しに俺を見やる。
「皓様、女遊びはもう……」
「川崎、小言は聞き飽きたって言っただろ」
ため息をつく川崎といい、父といい、いったいこれで何度目だ。
だれかと向き合うことは、そんなにも尊いことなのか。
『ちゃんとその人を見て接しなさい。
そうでないと、人としていつまでも未熟なままだよ』
もうずいぶんと長い間、寄ってくる女で適当に遊んでいた。
そんな俺を見かねた父が、会うなり諭す************
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