テラーノベル
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部屋を出ると、オヤジがちょうど隊長達と甲板に居た。
「おうマルコ、どうだあの娘は?」
「意識は取り戻したよい。幸い命に別状はねェんだが…ちょいと困ったことになっててな…」
俺は彼女の事情を親父や隊長達に話した。
「記憶喪失…?」
「自分の名前すら分からねェらしい。
ただ、さっき自分でも思い出せる手掛かりを見つけようとカバンを漁ってたよい。
それでたまたま持ち物に名前が書いてあったようで、いぶきという名前だというのは分かった。」
「そうか。しかし行き先が分かってたら途中まで送ってやれはするんだがなぁ…。」
「そうだよな…。ただ記憶喪失の状態で次見えた島に降ろすってのは出来ねェもんな…?危険すぎる…。」
「ああ、ましてや女だ。
何があるか分からんだろうしな…。」
運良く俺が見つけたから良かったが、
そうじゃなかったらこのまま目が覚めねェことになっていたかもしれねェ…。
もしくはそこに万が一他の海賊が居たんなら、
金品を奪うか野蛮な事をして襲うかだっただろう…。
それにあの“運転免許証”とかいうのは一体何だったんだ…?
あんなモン初めて見たな…一体何を運転すんだ…?
あれは一体……
「マルコ?どうしたんだ?」
「いや何でもねェ。とりあえずいぶきを記憶が戻るまでうちに乗せるしかねェ…。」
「“とりあえず”って…うち女乗せんの禁止だろ?
ナースとかならともかくよぉ…」
「このままあいつを降ろすわけにいかねェだろい。
次行った島で後日死んじまったなんてなってたら
たまったモンじゃねェ。
そんなんよりうちに乗せてた方が断然いい。」
それにいぶきだって不安なはずだ。
自分の素性も行く宛も分からない…
どうしたらいいか分からなくて一番辛いはずだ…。
「オヤジ、いぶきを乗せんのを許可してくれ。
責任は俺が取る。
あいつの記憶が戻る間は、一番隊に入れて俺が守るよい。」
俺があいつを見つけたんだ
責任を持って危険から必ずあいつを守ってみせる。
オヤジは椅子からゆっくり立ち上がり歩いていこうとするのが、途中で足を止めた。
「いいだろう、ただその前にそのいぶきってのを船長室に連れてこい。
先に待ってる。」
そう言い残すとオヤジは船長室へ向かっていった。