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※🎤×🎹
※🎤(歌手)
※🎹(↑ファン)
「もっくん最高ー!」
「こっち見て~!!」
そんな言葉が飛び交っていく
都心の大きなライブハウス。
僕も負けじと手を振ってみる。
🎹(今日も綺麗だなぁ…)
つい聴き惚れてしまうほどの
綺麗な歌声の主は、
最近世間を騒がせている歌手、
『大森元貴』
最初は一番小さなハウスでの
演奏だったが、
人気と共にファンも増え、
今は都会の大きなハウスへと
拠点を変更した。
素晴らしいさは歌だけじゃなく
どれだけ売れても、
テレビには出ず、
大金も受け取らない。という所
ただただ歌に乗せた言葉を
熟々と伝えているのだ。
🎹(さすが、、もっくん…)
ファンのなかでの愛称、
『もっくん』
トークの途中に見せる
凜とした可愛らしさが
特徴的なのだ。
🎤「ぇー、次で最後です…」
「ぇー?まだ聴きた~い!」
「もっくん!アンコール!」
🎤「はは…まだ早いよ…笑」
運の良いことに、僕は今の所、
全てのライブに参加している。
…が。
明らかに最近元気なさげ。
隈も濃そうだし、なにより猫背
🎹(大丈夫かな…)
せめてライブは辞めて、
ゆっくり休んでほしい…。
🎤「聴いて下さい…Folktale」
🎤「……滴る水は海へ戻る 」
と思いつつも、
彼の歌声にうっとり。
でも…
顔色悪そう…声も擦れてる…。
心配になって周りを見渡すも、
皆聞き惚れていて気付いてない。
🎹(警備員さん…)
そう思い、少し動けば
隣の人に睨まれる。
「静かにしてもらって…」
🎹「ぁ、、はぃ…」
やっぱり気のせいかも。
そう考え直し、
僕は最後まで聴くことにした。
ライブも終わりかけ、
ラスサビに突入した時に、
分かりやすく異変は起きた。
ガタン
と音がして、もっくんが握る
ギターが床に落ちる。
「ぇ、なになに…」
「もっくん大丈夫そー?」
明らかな異変に周りもパニック
staff「大森さん?」
「大森さん、大丈夫ですか」
慌てて駆け寄るスタッフさん。
🎤「大丈夫…続けさせて…」
小さな一言は、
叶うことなく、彼は倒れた。
staff「今日はお開きです、
皆さん、静粛にご帰宅願います」
少し時間が経った後に聞こえた
スタッフの放送。
もっくんは担架で運ばれ、
ハウスは呆然となった。
仕方なく、帰宅する僕等。
出口のゲートの付近に
人が集まっている。
🎹(…なんか嫌な雰囲気…)
僕の予想は当たってしまい、
嫌でも会話が聞こえてきた。
「大森だっけ?倒れたの 」
「そーそー。彼奴の人気が落ちれば、俺等も安泰だな~、笑」
人の不幸を、自分たちのものに…
そんな態度が許せず、
ぐっと拳を握り締める。
🎹(裏口から回ろう…)
こんな雰囲気に嫌気が差し
僕は裏口に回っていった。