テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
軽い恋愛描写あります。(キス描写)
政治的意図はありません。
実在する国と関係ございません。
旧国が出てきます。
誤字脱字あったら教えて下さい。
短いです。
帝日です。
「もう、二人きりで会えるのももう少ないですね」
彼の手元で、紙がくしゃりと音を立てた。
縁側に座る彼の物思いにふける声が夜を一層深くさせた。
2つ用意されていたお猪口の縁を、人差し指でなぞる。
そう問う彼の目は下を向いていた。
私は胸を締め付けられるばかりで、答える事ができない。
寂しさに想いをはせる彼の声色とは裏腹に、月明かりが彼の美しい横顔の線をなぞっていた。
私は彼の美しさに見惚れてしまっていた。
日本と私、お猪口を挟んだこの距離は私と日本の関係を表している様だった。
初めて会った時から奪われていたこの恋心は消えることなく強くなった。
優しく陽だまりの様な微笑みも
暗闇の中に紛れ映る姿
何もかも奪われてしまっていたんだ。最初から。
それでも屈託のない笑顔に幾度となく救われてきた。
そんな俺は彼の手すらまともに握ってやれない臆病者だ。
「返事はなし、ですか」
口に手を当てて苦笑をしていた。
その苦笑はどこか辛そうで何か言いたげだった。
「…すまない」
小さな独白が月明かりに溶かされていく。
お猪口のなかに残る酒が静かに揺れた。
沈黙を破り、日本が口を開いた。
「きっと…貴方と出会えるのがまだ、遅ければ…貴方と出会わなければ私はこんな想いをしなくてすんだでしょう。けれど、それでも愛おしいと思っている私はおかしいでしょうか?」
日本の目が私を捉えて離さなかった。
目頭に涙を沢山ためていた。
「ああ…日本がおかしい人というなら、俺はもっとおかしい人だろう」
「ふふっ、本当におかしな人。」
頬を紅潮させ目を細めていた。
その笑顔は今までで一番美しかった。
日本の頬に躊躇しつつも触れた。
すると、猫のように私の手に擦り寄ってきた。
もし、もう会えないのならこれだけは最初がいい。
やがて、目を閉じ、
唇が重なった。
初めての口付けは自分の思う以上に苦く、優しく、柔らかいものだった。
初夏を告げる風は穏やかなものだった。遠くでは鈴虫が鳴いていた。
コメント
2件
ぁぁぁ…投稿待ってましたぁ…、!! もしかして私の頭の中覗くことができたりするんですか(?)