テラーノベル
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小さな部屋の真ん中に立っていた。郊外の安アパートの一室だった。光は抑えられ、床に置かれた一つのランプと、古い窓から差し込む弱い灰色の光だけ。窓の外では小雨が降り、静かで単調にガラスを叩いていた。部屋には鉄と古い木と汗の匂いがした。
彼は完全に一人だった。
身に着けているのは黒いショーツだけ。体はすでに汗で光っていた。ゲンゾは深く息を吸い、右の手のひらを床に置き、全身に力を入れてゆっくりと足を上に上げ始めた。片手だけで立つつもりだった。完全に。自分の体重すべてを乗せて。
最初の試みはすぐに失敗した。バランスを崩し、勢いよく横に倒れて肩を床に打ちつけた。
ゲンゾは悪態をつかなかった。ただ起き上がり、体を軽く払ってまた試した。
二回目。三回目。四回目。
毎回、体が震え、筋肉が叫び、手首が負荷で焼けるように痛んだ。それでも彼は続けた。ようやく数秒間保てた時、世界が逆さまになった。震える自分の指と、落ちて木の板に飛び散る汗の滴を見つめていた。
人間とは不思議な生き物だ、と彼は荒い息を吐きながら思った。常に支点を探している。最初はゲームで、次に友達、恋愛、金、未来で。結局、残るのはいつも片手だけ。一つだけの支点で、全ての体重を支えなければならない。そして人生が重くなるほど、そうやって立つことを学ぶことが重要になる。二度目のチャンスなどない。
彼はまた落ちた。今度は肘を強く打ちつけた。ゲンゾは床に座り、背中を壁に預けて数分間、ただ呼吸をしていた。
ゲンゾは立ち上がり、自分で作った平行棒に近づいた。古いパイプと木箱で組んだものだ。手を置き、足を床から離してゆっくりとディップを始めた。一つ一つの動作をコントロールしながら。体がほぼ床まで下がり、そして上がる。胸、トリセプス、肩の筋肉が燃えるように痛んだ。
十。二十。三十。
四十回目で体はすでに震えていたが、彼は続けた。
セットを終え、床に飛び降りてすぐにプランクに移った。体が震え、汗が床に滴り落ちる。ゲンゾは再び片手立ちを試みた。今度は左の手。以前より長く保てた。ほんの数秒だったが、それはすでに勝利だった。
落ちて仰向けになり、天井を見つめて横たわっていた。
孤独を恐れる。でも本当の強さは孤独の中で生まれる。誰も見ていない時、誰も褒めてくれない時、諦めても誰も知らない時。そこでこそ、本当の自分が試される。他人の前ではなく。自分の前で。
ゲンゾは立ち上がり、再び平行棒に近づいた。もう一セット。そしてもう一セット。そしてもう一セット。筋肉はもう言うことを聞かなくなっていたが、彼は無理やり動かした。一つ一つの上げが苦痛で、一つ一つの下げが痛みだった。
もしかすると人生全体が平行棒でのトレーニングなのかもしれない、と彼は思った。私たちは天と地の間にぶら下がっている。過去の自分と未来の自分の間に。そして誰にもいつ止めるべきかは教えてくれない。続けるか諦めるか決めるのは自分だけだ。
力が完全に尽きた時、ゲンゾは床に座り、背中を壁に預けて目を閉じた。呼吸は重く、心臓が激しく鼓動していた。汗が胸と腹を伝って流れていた。
窓の外では雨がまだ降り続けていた。
ゲンゾは動かずに座り、これから待ち受ける本当の地獄を思っていた。ルールのない戦い、痛み、血、ひどい怪我の可能性。でも今、この小さな部屋で、雨の音を聞きながら、彼は不思議な落ち着きを感じていた。
彼は片手で立つことを学んでいた。
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るしゅ
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