とある何気ないただの1日。
少女は、自分が何者なのかが気になった。
住所は?家族は?名前は?
どれを尋ねられたとしても、何一つ答えられない。
強いて言えば、自分が人間だということ。
しかし、死なない人間というのは存在するのだろうか。
もしかしたら、人間ですら何のかもしれない。
だったら、自分のことが何も分からない。
少女は、自分に酷く怯えた。
そういえば、と言うように
自分の声を聞いてみたくなった。
今思い返してみれば、まだ一度も声を出していなかったのだ。
何故こえを出さなかったのか。
なにか理由があったのか。
今の少女には何も分からない。
お構い無しで、声を出す。
少女)……あ、あ
忘れていた、じぶんのこえ。
今の今まで忘れていた、忘れてはいけないもの。
少しでも自分を思い出せたこと、声を出せた喜びに、少女はひどく喜んだ。
)……、、
それから少女は、自分の声を使ってあそび始めた。
洞窟と呼ばれるような穴に行っては
少女)わっ!!
そう発すると、自分の声が戻ってくる。
そんな不思議なことに気づいた少女は、暫くずっとこの遊びをしていた。
話す言葉を変えてみたり、もっと長く発してみたり、自分の声の可能性を
1から100まで楽しんでいた。
1年は経っただろうか。
流石にこの遊びにも飽きてしまった。
さぁ、今度は何をして遊ぼうか。
少女はひどく興奮している。
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