テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
明日は村の鎮守祭の日
神社でも祭りの用意をしているらしく、慌しく人が出入りしていた
それは夜遅くまで続き、俺はふとある事を思う
こんなにみんなが忙しそうにしているならロウに一目会えるのではなかろうか?
俺の思惑通り、ロウの部屋の前は誰も居なかった
それでも細心の注意を払い、ゆっくりと障子を開ける
蝋燭が灯された部屋の中にロウの姿はない
こんな時間に何処に行ったんだ?
今開けた障子を静かに閉めると来た廊下を戻る
するとこの家と神殿を繋ぐ廊下の方から声が聞こえて来た
俺は慌てて見知らぬ部屋へと身を隠す
話し声は俺の隠れた部屋の前で止まった
いつこの戸が開けられてしまうかわからない恐怖で息が詰まりそうだ
「準備は整ったか?」
「はい。ロウ様の禊は終わりました。ただ今お連れいたします」
「これでここ村も長雨から解放され、作物も育つだろう。あとは私の力をロウに捧げるだけだ」
「それでこの地にも神が宿るんですね?」
「あぁ、これで計画通り‥‥天照が連れていただろう狼の子にこの儀式を済ませれば、間違いなく天照大神に成り代わる」
何を言っているんだ?
ロウに捧げる?
天照大神‥‥?
「でも狼の奴らに邪魔はされませんでしょうか?自分の子供を連れ出された報復などされたら‥‥」
「心配するな。あの一族なら骨も残らない様に片はつけた。一応の術も唱えたしな」
「それなら一安心ですな」
「これでも長雨が続く様ならば‥‥あとは人柱になってもらうしかあるまい」
「早く晴れて欲しいものです」
狼?
いや、確かに話には聞いた事はあるけれど
ロウの一族が狼の化け物って事?
それよりも、この話の流れだと‥‥
ロウを連れ出したのは計画的だったって事になる
それならあの火は‥‥
神社で火を放ったって事なのか?
この人たちは自分達の為だけになんて事を‥‥
「神主様、ロウ様をお連れいたしました」
「あぁ、来たか。さぁ、部屋の中に入りなさい」
どうやらロウの部屋へ向かう様だ
俺は聞き耳を立てながら廊下に人が居なくなるのを待った
使用人たちが居なくなり、廊下は静まり返った
スーッと扉を引き、俺は廊下へ出る
足音を立てない様にしながらロウの部屋の前に近づいた
その時‥‥
「‥‥‥‥様?‥‥‥‥ですか‥‥」
ロウの声だ
「お前の‥‥で‥‥になるんだ」
「え‥‥俺‥‥?」
「そう‥‥だから‥‥‥‥」
「あぁっ!痛っ!‥‥」
ロウの大きな声に俺は驚き、急いで障子に手をかけた
.
Kojigyu
7,768
コメント
3件
うわっ、今回めちゃくちゃやばかったですね…! ロウに会いに行こうとしたら、まさか神主たちの陰謀を聞いちゃうとは。天照大神に成り代わる計画とか、狼の一族を片付けたって台詞とか、一気に不穏な空気が押し寄せてきました。最後のロウの「痛っ」で障子に手をかけるところで終わるの、続きが気になりすぎます!! 蒼月さん、伏線の張り方が上手すぎますわ🔥