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全員にょた
昼下がり。
カーテンの隙間から入る光が、リビングの床にだらっと伸びていた。
エアコンはついているのに、なんとなく暑い。
「……だる」
ソファに座った元貴が、テーブルへ頬杖をついたまま唸る。
脚をぶらぶら揺らしながら、むすっとした顔。
その後ろでは、涼架がのんびり髪を乾かしていた。
長い金髪がさらさら揺れる。
「元貴ぃ〜」
「なに」
「髪かわかして〜」
「自分でやれ」
即答。
けれど涼架は気にした様子もなく、にこにこしながら元貴の後ろへ回った。
「えい」
ぽす。
「ぅお!?」
次の瞬間、元貴の頭がやわらかいものに埋まる。
後ろから覆いかぶさるように抱きつかれていた。
ふわ、と甘い匂い。
頭に当たる感触の主張がすごい。
元貴が固まる。
「……涼ちゃん」
「ん〜?」
「重い」
「えへへ」
全然どかない。
むしろ肩へ顎まで乗せてくる。
元貴の顔がじわじわ赤くなる。
「……暑いんだけど」
「元貴ちっちゃくて抱きつきやすい〜」
「うるせぇ」
「かわいいねぇ」
「若井!!」
助けを求めるように叫ぶ。
すると床に寝転がっていた若井が、スマホ片手に顔を上げた。
数秒、二人を見る。
そして。
「ははっ、潰れてんじゃん元貴」
「笑ってねぇで助けろ!」
「やだよ、面白いし」
若井はけらけら笑いながらポテチを食べる。
裏切り者だった。
元貴はぐぬぬ、と顔をしかめたあと、後ろの涼架を振り返ろうとする。
けれど。
むに。
「……っ」
真正面から向き直ったせいで、涼架の胸と自分の胸が軽くぶつかった。
やわらかい。
近い。
近すぎる。
元貴の動きが止まる。
涼架は何も気づいていない様子だった。
「…………」
「元貴?」
無言。
耳まで真っ赤。
若井が吹き出した。
「あはははは!!」
#mryk
とくめい
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かめちょん
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「笑うな!!!!」
「だって顔!!」
「うるさい!」
元貴は勢いよくクッションを投げる。
若井は笑いながら避けた。
その横で、涼架だけがおろおろしている。
「いたかった?」
「違ぇよ!」
「えぇ?」
きょとん。
天然だった。
元貴はしばらくむすっと黙っていたが、やがてぼそっと呟く。
「……涼ちゃんってさ」
「ん〜?」
「胸、おっきいよね」
言った瞬間。
若井が「ぶっ」と吹き出した。
「急になに!?」
「いや……なんか」
元貴はむすっとしたまま視線を逸らす。
「邪魔そうだなって」
「そこ?」
若井が笑う。
涼架はきょとんとしていたが、ふふ、と柔らかく笑った。
「元貴はちっちゃくてかわいいけど?」
「は?」
次の瞬間。
つん。
「ぅわ!?」
元貴の胸元を、涼架の指が軽くつつく。
「これも好きだよ〜?」
涼架は少しだけ目を細めた。
いつものふわふわした笑顔じゃない。
どこか妖しくて、
からかうみたいな微笑み。
元貴が固まる。
「…………」
耳が一気に赤くなった。
若井が思わず口を押さえる。
「えろっ……」
「若井!!?」
その瞬間、涼架は我慢できなくなったみたいに、
「ふふっ、あはは!」
にかっと無邪気に笑った。
さっきまでの空気が一気に崩れる。
「元貴かわい〜」
「うるさいっ!」
「めちゃくちゃ動揺してるじゃん」
若井がけらけら笑う。
元貴は顔を真っ赤にしたままクッションを抱え込んだ。
「……涼ちゃんずるい」
「えへへ」
涼架は楽しそうに笑って、また元貴の頭をくしゃくしゃ撫でる。
その手を振り払えないあたり、元貴はたぶんかなり甘い。
また若井が笑い転げた。
リビングには騒がしい声が響く。
どうでもいい午後。
でも三人にとっては、たぶん、こういう時間が一番落ち着くのだった。
コメント
2件
あーもう、この3人の空気感がたまらんわ!涼ちゃんの無自覚なスキンシップと、それに振り回される元貴の反応が絶妙で、若井の「笑って助けない」スタンスも好き。胸の話からの涼ちゃんの「これも好きだよ〜」が妖しくて一気に持ってかれたけど、すぐに無邪気に戻るところがまたズルい。日常の何気ない掛け合いだけど、各キャラの関係性がしっかり感じられてほっこりしたわ。ありがとうございました!