テラーノベル
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──────Iれいまり視点──────
またまた日がとんだ。今日は大事な日である。もっとも、私の大事な日、という訳では無い。
今日で、ゼンが100歳を迎えたのである。約20年差があるゼンと私。けれど、容姿では私の方が年上らしくなっていた。
ゼンは私に向き直る。100歳を超えたことで決闘ランクを示すバッジは失われていた。それはもう、100歳未満のものと決闘することができないことを現していた。これから戦いを挑まれた時は私がやらないといけないのか、と少し面倒に思いつつ、80年もの間築いた絆に免じて、ゼンを祝うことにする。
「ゼン、100歳おめでとう。私の奴隷になって80年も経ったんだな。…めでたいよ、本当に。」
「えへへ。ぽれも立派な大人ですから!」
くるっと一回転をしながらジャンプをして、喜びを全身に出していた。
───そろそろ、言わなければならない。少し惜しいが、仕方がないことなのだ。
「ゼン。君も100歳だ。長い間、私と一緒にいてくれてありがとう。途中から、私もあなたを奴隷じゃなくて、仲間として見ていた部分は否定できない。」
「え、突然なんです?ぽれ照れちゃいますよー!」
ゼンが自身の頭をかきながら、てれてれし始める。しかし、その雰囲気とは真逆に私は剣呑な雰囲気にを飲み込み、本題を話す。
「だから、ね。大人になったあなたを奴隷として縛るのはしたくない。だから、私とあなたの関係はここまで。終わりにしましょう。」
「…ぇ?」
ゼンも予想外のことだったのだろう。石のように固まる。私も、これ以上の言葉を紡げず、気まずいまま、契約を取ろうと、ゼンの手の甲に刻まれた奴隷の紋を消す。ゼンは放心状態らしく、ろくな抵抗もなしにできてしまう。
そのまま、私は背を向け、立ち去ろうと翼を広げる。
───その瞬間、服の襟を掴まれ、後ろに引っ張られ、そのまま地面に倒れ込む。
あの日も、こんなことをされた、なんて思い出に深けながら。今度は私が放心状態になる。
「最後に…ッ!!ぽれのお願いを聞いてから別れましょ!」
私は、数度瞬きした後、倒れたままの体を起こし、ゼンを見つめる。ゼンは泣きそうな顔をしながら、涙をいっぱいに貯め、ガラガラな声で感情のまま叫ぶように言う。
「ぽれを、雇ってください!!椎名!あなたの元で!!働かせてください!!!」
そう必死な顔で、訴えてくる。なんだ、それは。何がしたいんだよそれは。私は、ゼンに対して冷たかったのに。また、奴隷みたいに扱ってやろうか。そんな、否定の言葉が脳内を占めていると言うのに、私は、思わず声が漏れる。
それは、否定の言葉でも、了承の言葉でもない。
「っwなんですかそれwww働かせてくださいって…w」
「あ、え!?わ、笑わないでください!!ぽ、ぽれは真剣に…!!」
「最後の願いが働かせてくださいってwどんなパワーワードですかっwwダメだっw腹痛いw」
「ぽ、ぽれめちゃくちゃ勇気出したんですよ!?ちょ、笑いすぎですって!!」
ゼンは戸惑いつつも既に涙は引っ込み、ぽこぽこと私を殴っていた。私は、しばらく笑いすぎて腹が痛く、まともに喋れそうにない。
…やっと落ち着き、返事を考え、そして言う。
「はーっwはーっwほ、本題に戻しますねw」
「まだ笑ってますよね!?真剣に考えてくださいよ!!」
「…正直、別に従者なんていらないです。でも、80年も隣にいた悪魔がいなくなるのは正直寂しいですから。正式に雇いましょう。」
私がそういえば、ゼンは目をキラキラとさせて、100歳を迎えた時よりも大袈裟に喜ぶ。
「わーい!!やったァ!!よろしくお願いしますね!!」
ゼンは私の両手を取ってぴょんぴょんはねだし、私はそれに振り回される形でくるくる空中を回る。いつの間にか空を飛びながらクルクル回っており、こんな初めての状況に目が回る。だが、それよりも喜ばしい状況に、期待以上の喜びに満ちたそれの前では目が回るなんて些細な出来事に過ぎなかった。
「ゼン!出ていけ!!」
「いやですよーっだ!」
ゼンを従者として正式に雇って数日後。奴隷と主人の関係ならば絶対に怒らなかったであろう喧嘩が起きた。
険悪な雰囲気で、お互いに一髪触発の雰囲気を醸し出す。けれど、これに関しては私だって譲れない。自身の主張を声を大にして訴える。
「ゼンのせいでコタツが狭いんですよ!!」
「ぽれだって温まりたい!」
そう、これはコタツの奪い合いだ。だんだんヒートアップしていく喧嘩はもう止められそうになかった。
「勝手に冬眠してろ!!」
「酷!?あの感動の涙はなんだったんだ!」
「その話を引っ張ってくるな!!」
「ぽれ泣いちゃーう!寒ーい!ここから離れたくなぁいぃ!」
なぜ、コタツをこんなにも必死に奪い合っているのか。それは魔界の性質を知ることから始まる。
魔界には十数年に1度の冬がやってくる無論、私達は何回か冬を越してきたが、前までは、私が命令してゼンが渋々コタツを譲らせていたのだが、今年は奴隷に対しての命令ができないため、ゼンにゆうことを聞かせるすべを持っていない。
結果、コタツの奪い合いが始まったのだ。そもそも、このコタツは私が前までのルートからあったものを思い出し、私が魔法で作ったものだ。感覚がわからず、これ以上大きく作るのはできないし、もう二度と作りたくないと思うほど面倒だった。炎の温度の調整を低い方にするとかやったことがないためである。戦闘でもそんなもの使わないし、暖めるだけの魔法なんて私は使えない。ものを燃やさない炎なんて炎じゃないだろ!とか言いつつ寒さに耐えきれず試行錯誤したのがこのコタツ。冬の相棒とも言ってもいい。それを、ただ見てただけの熊に譲るものか!
その熱い気持ちだけで今コタツに入っている。喧嘩がヒートアップしそうなところ、ガチャりとドアが開き、来客が来る。
「へーい。来たぞー。お?何それ?」
「あ、先生!!え!?先生のまわりめっちゃ暖かい!?」
「え、ええ〜!?ほんとですか!?…わぁ!暖かい!」
私とゼンが先生──────ラテさんにひっつく。
ラテさん。私が生まれて1年間の間安全のために付き添ってくれた悪魔である。私は相当な問題児だったらしく、200年も生きている大ベテランのラテさんが私の面倒を見てくれたらしい。今となっては感謝しかない。…まあ、私自身はあまり世話になってないが。
しかし、ラテさんはそれにしても周りを暖かくする。コタツよりも万能だな、なんて思いつつゼンと私がずっと引っ付いていると、先生が迷惑そうに
「暑い!!離れろ!!」
「やだぁ!離れたらさむいんですよぉ!」
「ぽれもやだぁ!寒いの苦手なんですぅ!」
ふたりしてだらしなくひっつけば、先生は困り顔で、ブツブツ文句をいいつつも何だかんだ許してくれる。
「全く、私が炎の悪魔だからって…私は便利な暖房魔具じゃないんだぞ?」
なんていいながら、私達は鍋パを始めるために準備をする。本来ならゼンに会うことなんてなく、先生とここまで親しくはなれなかっただろう。なんだかんだ、事態は良い方向に好転してるのかもしれない。
そんなことを思いながら、鍋パを始めた。
「ちなみに、鍋にアイス入れるってどう思う?」
「闇鍋にするつもりですか?」
「いや、私の旧友がアイス5本くらい入れてたから、それが常識なのかなって」
「非常識です」
「やっぱりか。」
ここで切ります!皆様!明けましておめでとうございます!先日は投稿できなくてすみません🙇♀️塾が思いのほか体力を削ってしまいまして…。
皆様!今年は午年です!小説に1回は馬要素を出せればいいなーと思っております!また、最後のコタツのくだりはせめてもの正月要素です
それでは!今年もよろしくお願いします!
コメント
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毎日投稿はきついので謝らなくてもいいですよ こたつはあったいから動きたくなくなるから気持ちはわかる… ラテさんは炎系だからあったかいよね!
こたつの奪い合い可愛いなw