テラーノベル
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リビングの照明を落とした寝室は、加湿器の微かな音だけが響いていた。
ベッドの上、阿部のパジャマを借りた目黒が、所在なげに指先を遊ばせている。
「ねぇ、あべちゃん。……こっち見てよ」
その掠れた声に誘われるように、阿部は資料を片付け、目黒の隣に潜り込んだ。
途端、大きな体が吸い寄せられるように胸元に飛び込んでくる。普段は男らしく振る舞う目黒だが、二人きりの夜だけは、驚くほど無防備で、そして少しだけ強欲だ。
「めめ、体が熱いね。……まだ寝たくない?」
阿部が目黒の項に手を差し込むと、目黒はびくりと肩を揺らした。
「……あべちゃんが、優しすぎるから……。なんか、もっと欲しくなっちゃう」
上目遣いに見つめる目黒の瞳は、潤んでいて、どこか熱を帯びている。阿部は抗いがたい衝動に駆られ、目黒の薄い唇を塞いだ。
「ん……っ……」
何度も角度を変えて重ねられる唇。目黒の喉から甘い吐息が溢れ、シーツを掴む彼の手が白く強張る。阿部は空いた方の手で、目黒のパジャマのボタンを一つ、また一つとゆっくり外していった。
「……あ、べちゃん……。そんな、焦らさないで……」
露わになった目黒の鎖骨に、阿部は深く、跡を残すように唇を寄せる。目黒は首を反らせ、その喉仏を上下に揺らしながら、阿部の髪に指を絡めた。
「めめ、声……我慢しなくていいよ。ここには、俺たちしかいないんだから」
阿部が耳元で低く囁くと、目黒の顔がさらに真っ赤に染まる。
いつもは守る側の目黒が、自分の腕の中で翻弄され、震えている。そのギャップが、阿部の理性を少しずつ削り取っていく。
「あ……ふ、っ……あべ、ちゃん……。大好き……」
縋り付くような目黒の瞳と、高鳴る二人の鼓動。
長い手足を絡め合わせ、二人の夜は、さらに深く、甘い熱に溶けていった。
窓の外では静かに夜が更けていき、部屋の中には二人だけの穏やかで濃密な時間が流れていく。互いの体温を感じながら、言葉にならない想いを確かめ合うように、二人はゆっくりと眠りについた。
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