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英智のDDDの宣誓から、Trickstarの間に少し、亀裂が入った。
真緒と真はスバルと一緒にいるのが減り、北斗はずっと、顔が曇っている。
スバルは1人になってしまった。
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レッスン室の中では、スバル、流星隊のリーダー、守沢千秋が話している。この2人は部活の先輩後輩の仲で、親しい関係だ。けれど、2人の空気は決して和気あいあいとした雰囲気ではなかった。
レッスン室の外では鉄虎、翠が待機してる。そして、そこから数センチ離れたところから、あんず、悠(優)が立っている。
あんずの肩が震えている。それに、気づいた悠があんずの手を握る。
「…大丈夫です、きっと。」
穏やかな笑顔だった。
それに対して、あんずも力強く頷き、悠の手を強く握る。
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レッスン室に、鉄虎、翠の順に入ってくる。そして、あんず、悠が入る。
スバルがあんずと悠に気づき、思わず声をかける。
「あっ、あんずにオッキー………。その衣装…」
あんずは、赤色のTrickstar衣装、悠は、青色のTrickstar衣装を着ていた。
「あんずとオッキーは、プロデューサーでしょ?なんでアイドル衣装着てるの………?」
それに対して、千秋が返す。
「そう、彼女、彼はプロデューサーだ。」
「プロデューサーはアイドルを支え、励まし、輝かせる。困っているなら、手を貸す。そして、背中を押して舞台へと送り出す、そんな存在だ」
「DDDには、ユニット単位でしか参加できない。だから、明星だけでは出場できない」
「だが、彼女、彼が謎のアイドルとして振る舞いDDDに、Trickstarも参加できる」
スバルが息を呑む。
「何度でも言おう、お前は一人なんかじゃない」
あんず、悠がスバルをじっと見つめる。
「あはは。俺、なんで落ちこんでたんだろ?馬鹿みたいだよね〜?」
「そうだ、俺は一人なんかじゃなかったよ」
「あんずとオッキーが、いたんだ」
スバルが涙ぐみながら、あんずと悠の方へ近づいてく。
その後、Trickstarと流星隊の合同練習が始まった。
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DDD当日……
この日は快晴だった。
「よぉし、お着替え完了っ☆あんずとオッキーも、準備はOK〜?」
「はい、ばっちりです」
あんずも頷く。
「あっ!あとは覆面をつけないとね……はい♪ 」
スバルは、あんずには赤の覆面、悠には青の覆面を渡す。それをあんず、悠が被る。
「おぉ~!これであんずとオッキーは、正体不明の謎のアイドルXに生まれ変わった!」
「誰にも正体を見破られないように、なるべく声とかは出さないでね。つまり、絶対に歌ったりはしないこと」
すると、スバルに対して悠がおずおずと手を上げる。それに気づいたスバルが「はいどうぞ、オッキー!」とクイズ風に返す。
「はい、…俺はあまり生徒からプロデューサーとバレてないので、もしもの場合に、声を出しても大丈夫…だと思います。ほとんどの生徒からアイドルだと、勘違いされてますし……」
(……まぁ、プロデューサー(小日向悠)の顔風にメイクしてるし、アイドルに間違えられるのは当たり前だけどね〜!)
心のなかで自信気に思い、表向きの声では、ひそひそと言う。
「あ〜、確かに!俺もその光景たまに見るかも〜、……じゃあ、俺と一緒に歌っちゃう?」
悠の顔を覗き込むように問う。その表情は少しイタズラっ気があったような気がした。それくらい、気が落ち着いたのだろう。その問いに少し、間を空けてから返答する。
「……どうしても必要な時だけにしときます」
「…そっか!」
スバルは、明るく返した。
「ともかく、あんずとオッキーのお陰で舞台に立てた。」
「勝ち残れるかどうかは神のみぞ知る。最善を尽くそう、えいえいおうっ☆」
スバル、あんず、悠が手を伸ばす。
すると、悠のスマホから、音が鳴る。姉の陽から電話がかかっているようだ。陽は、基本的に悠が学校にいるときは電話をかけてこないはず。仕事関連もしくは、”プロデューサー”のことについてあったのかもしれない。
「すみません、少しだけ欠席しても大丈夫ですか?ライブには間に合わせるので!」
「うん、大丈夫だよ!対戦相手もまだ来てないようだし…」
あんずも同様に頷く。
「すみません!すぐ戻ります」
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「………もしもし」
悠から”優”に変わる。
「あっ、もしもし、ごめんね大事な時に」
「大丈夫、何かあったの?」
「うん、実は小日向くんの使ってたプロデューサー室が、別の部屋に変わるらしいの。」
「だから、その部屋にある物を全部預かってほしいって」
「……!それって、プロデューサー室に入ってもいいってこと?」
「そう!さすが、優勘がいいね」
今までプロデューサー室は、悠(小日向悠)のプライバシーに関わると思い、手はつけてなかったが、この際仕方ない、悠の情報を少しでも取るためだ。
「今週中には片付けてほしいって」
「今週は……私は土曜日が空いてる。姉さんは?」
「私も空いてるよ、じゃあその日に行こっか」
「うん、……用件はこれだけ?」
「うん、ありがとね………Trickstar優勝応援してるよ」
「……うん、ありがとう!私も頑張るね」
悠が電話を切る。
声を優から悠に変える。
「よし、急がないと…!?」
悠が外に出るとそこには人だかりが凄いことになっていた。
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「すみません、すみません」
悠はひたすらすみませんすみませんと言いながら懸命に進む。
そして、遂に屋外ステージに着いた。しかし、ステージに立っているのは対戦相手とあんず1人しかいない。しかも、対戦相手は夢ノ咲学院の強豪ユニットKnightsだった。
悠は慌ててステージに上がり、あんずに小声で話しかける。
「…すみません、あんずさん、人だかりに巻き込まれて遅れました」
そして、悠は今の1番の謎についてあんずに聞く。
「それで、明星さんはどこに…?」
あんずが悠の耳元で話す。
「……遊木さんを助けに行った…?………えっ、遊木さん監禁されてるんですか!?」
悠は少しだけ大きい声を出してしまった。それに対して、観客が困惑する。幸い言葉は聞き取れなかったようだ。
すると、Knightsのメンバー、朔間凛月が悠に向かって言う。
「ちぇ〜、不戦敗にはならなかったか………でも、あんたも謎の覆面Xなわけ?……なら、心配するほどでもないか…♪」
「………」
悠は喋らなかった。容易に声を出してはいけないからだ。しかし、この状況はかなりまずい状況だと悟る。
(このまま、何もしないとほんとに負けてしまう……それは、避けないと……… )
もやもや悩んだ末、悠は、あんずの耳元に小声で言う。それに対して、あんずは頷く。
悠が思いっきり息を吸う。
「〜♪」
この場で今、歌と踊りを始めた。あんずも悠に合わせて踊る。
悠の歌声は、もちろん”優”ではなかった。けれど、歌い方や踊り方はまるっきり”優”だった。しかし、それに気づきもせず観客がペンライトを振る。
そして、悠は心の中でこう思う…
(…………楽しい!!久しぶりのライブ!私の声、私のライブ、私のファンではないけど、思いっきり歌い、踊るのはやっぱり楽しい……!)
悠…いや優の歌は、聞き取りやすいはっきりとした歌声で、ダンスは、指先までもを意識した、空間を大きく支配するような大胆な踊り。さすが、女優をしてるだけあって身体能力や発声は素晴らしいものだった。
しかし、完璧な歌と踊りとは裏腹に悠の表情はただ純粋にこのライブを楽しんでいる最高の笑顔だった。