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三話です!自分チャットノベルよりノベルの方が書きやすいのかもしれません…。新たな発見です…👀❕
朝登校で門をくぐり、教室に向かう。俺は気がかりなことがあった。それは太宰の母親だ。俺が太宰に「お前の母親はどんな奴なんだ」と軽く聞いた途端、彼奴の顔は少し暗くなった気がした。…気の所為かもしれない。
中也(にしても今日の古文うぜ〜)
珍しく遅く来た俺だが、教室に入るとクラスメイト一斉に俺に近寄ってきた。
生徒「ねぇ、太宰くん見てないの?」
生徒「太宰どこ行ったか判るか?」
中也(うるさ…)
とまぁ、皆が言うように太宰は今日登校していなかった。…彼奴は虐めとかがあっても必ず来てたのに、妙だな。と思った。
中也(真逆…昨日話してた母親が原因…?)
◇
授業が終わり、俺は職員室に行った。先生に太宰の住所を聞き出そうと思ったからだ。個人情報だから駄目。と言われるのが普通だが、先生はなんの躊躇いのなく俺に教えてくれた。まぁ、予想はついてた。
ここの学園は生徒が無断欠席をしていたら先生はその欠席生徒の家まで行き、事情を聞くからだ。とんでも判りやすいことだな。”太宰だから”先生も行きたくないんだろう。
中也(彼奴相当避けられてんな…良い気味だな)
俺はその住所の先に行き始めた。
◇
『ピンポーン』
家のチャイムの音が鳴る。太宰の家は結構大きくまぁ、裕福っちゃ裕福だろうなと言う感じだった。チャイムを鳴らした約十秒後、扉が開いた。
太宰の母「あら、治のお友達?」
中也「…はい。治くん居ませんか?」
自分でも「治くん」と呼ぶのはとても辛かった。今すぐでも吐きたいぐらいに。
太宰の母「あの子今日休んじゃったからね…どうぞ、お菓子やお茶を出すわね。治~!!!お友達が来たわよ~!!」
中也(普通の母親だな…)
どこにでも居る普通の母親だった。優しそうな笑顔、その笑顔は太宰が不意に優しく笑う顔とそっくりだった。じゃあなんで太宰は母親の話題を持ち込むと顔が暗くなるのだろうか。俺は太宰の母親に言われた通り、家へお邪魔した。
太宰の母「ここが治の部屋よ。中に居ると思うわ。中で治とお話してあげないかしら?そのうちお菓子や飲み物持ってくるからね!」
太宰の母親が階段を降りていく音と共に俺は扉をノックした。三回ぐらい。
中也「太宰、入るぞ」
俺は太宰の部屋に入った。
太宰「母さんが言ってた友達って…君かぁ…」
中也「なんだよ、俺じゃ嫌ってか?」
太宰「え、そこまで言ってなくない?」
太宰は笑いながらそう言う。太宰はベッドに座っていた。俺が「どうして学校休んだ。」と話題に持ち上げる。
太宰「なんで…行きたくなかったんだよなぁ。ほら、今日体育あったでしょ?勘弁してって感じだったんだ」
中也「は?お前嘘つくなよ」
俺がそう言った途端、太宰の動きが一瞬止まり、ほんの少しだが目を大きくした。そして何か言いたそうな顔をしていた。俺が再び口を開こうとした時、ノックの音が聞こえ、そのまま扉が開く音がした。
太宰の母親「お菓子持ってきたわよ~じゃあ、後はごゆっくりしてね〜っ」
手際よく、菓子類と飲み物を置き、幼い子を寝かしつけるような優しい声で去っていった。
中也「お前の母親っていつもあんな感じなのか?正直に言えよ。じゃないと殴る」
太宰「それは嫌だなぁ。…まぁそうだね。いつもあんな感じだよ。でも、母さんヒステリックでさぁ〜もう毎日元気沢山だよ」
中也(ヒステリック…)
太宰「機嫌さえとれば何とかなるんだよ。何も心配しなくていいよ」
中也「心配してねーよクソがしね」
太宰「酷いなぁ」
太宰の母親がいつもあんな感じだとして、もしヒステリックを起こした母親から虐待されていたら…なんてことを頭に過ぎった。顔はまぁ、虐めてる奴らにつけられたのは判る。見たから。でも_
中也「ちょっと良いか。騒ぐなよ」
太宰「え?待って?中也って変態なの?」
中也「ちげーよクソがよ」
俺は太宰の腕をまくった。まくった途端太宰が「変態なの?」と言ってきたから何かは有るんだろう。と俺は察した。…案の定、俺の勘は当たったみたいだ。太宰の腕には痣が何個もあり、カッターで切った後が数個もあった。
中也「…なんだよこれ?なんでこんなにも怪我があるんだよ」
太宰「え?別になんでも良くない?」
太宰の目が少し泳いだ。明らかに焦っている。俺は目を凝らし太宰の目をじっと見る。カッターならまだ判るが痣が何個も有るなんて可笑し過ぎると思った。 余程なドジじゃないとこんな数個も痣は出来ないからな。ならば虐待しか無いと俺は想定した。
中也「虐待されてんのか」
太宰「………」
太宰は黙り続けた。当たりだったらしい。何歳から受けているのか、そんな愚問は聞かなかった。恐らく、いや…確定に幼い頃からずっと虐待されていることが判る。昨日の太宰の様子、太宰の話から近年のことでは無いことが判るから。
…太宰は頼る大人が居ないんだろう。先生も距離を取っているし、母親はあんなんだし、生徒もダメだ。警察は母親の良い面を見て信じないだろうし、だからずっと抜け出せないままで居て_
太宰「で?なんで来たの?」
中也「…様子見に来ただけだ」
太宰「そう、ならもう帰ってくれるかな。僕元気だし、明日行くから心配しなくていいよ」
強引に玄関まで引っ張られても俺は大人しく従った。最近やっと「太宰治」と言う人間性がわかってきた気がした。ここで無理矢理手を離したら…考えたくもないな。
太宰「じゃあ、また明日。」
太宰は低い声で真顔のまま俺を見ながらドアを閉めた。
次の話も楽しんでくれたら幸いです🙇♀️