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「じゃあ、また。お疲れさま。」
彼女が車から降り、完全に扉が閉まったのを確認すると、サイドブレーキを降ろす。
無事に送り届けたことにやれやれ、と胸を撫で下ろしながら。
「………?」
ふと、バックミラーに目をやると、俺の心臓はドキリと跳び跳ねた。
俺のことを見送っていた、彼女の姿が映っていたから。
遠くだったので、表情はよく分からなかったが、ずっと立ち尽くしたまま、姿が見えなくなるまでひたすら見つめていた。
「……」
――ププーっ!!――
「おっと…」
突然聞こえたクラクションに、慌てハンドルをきる。どうやらバックミラーに気を取られ、反対車線に飛び出していたらしい。
間一髪のところでぶつからなかった。
嫌な汗が背中に染み渡ってくる。
「ふぅ…危なかった…」
恐怖で上がった心拍数を整えながら、運転に集中する。
そして、今日の出来事を思い出す。
『やきもちを妬いてしまったんです。』
『店長が、大好きなんですから!!』
あの時は、平常心を装っていたが、あれは一体どういう意味なんだろうか。
それに、さっきの彼女の視線…
思い返してはぐるぐると頭の中を駆け巡る、彼女の行動。
まさか俺のことが…?いやいや、歳の差がありすぎる…。
何度も行ったり来たりを繰り返しては頬の辺りが熱を帯びるのを感じる。
こんな気持ち、学生以来だ。