こちらはirxs様のnmmn作品になります
ご本人様には一切関係ございません
曲パロのようなもの(百/鬼/夜/行)
水さん、赤さん以外のメンバーさん出てきません
キャラ崩壊有り 長い
水赤(または赤水)に見えるかもしれません
ここまで大丈夫な方のみどうぞ
誰かの声が聞こえる
傷付けてくるような、するどい叫び声
誰かの声が聞こえる
悪意のような、こころに刺さる囁き声
誰かの声が聞こえる
のしかかってくるような、おおきい泣き声
だれかの声が聞こえる
優しい声
初めて聞く声
『…だれ……?』
うっすらと目を開けると
目の前にきれいな空色が見えた
不味い
本気でやらかした
『……』
「…あはは」
先程まですやすや眠ってた人の子
今ではすっかり目を覚まして僕を凝視している
目をまん丸くして
僕の耳とか、ふっとい尻尾とかを見てる
終わった
もう笑うしかない
よくここまで生き残れたな僕
あぁ、変に良心持たなければこんな事にはならなかったのに…
今日もいつも通り暇な一日になる筈だった。
人間達に気づかれないよう、森の奥深くで日向ぼっこしたり散歩したりしてたときの事。
人の子を見つけてしまった
気を失ったみたいに崖下で倒れていて
大きな怪我はないものの、このまま放置すれば死ぬんだろうなとぼんやり思った。
放っておけなかった
こんな阿呆みたいな性格してるからいつまでたっても神通力使えないんだろう。
言い訳をさせてもらうと、本当に気をつけてた。
この子が起きてしまうと 姿を見られてしまうから、起こさないようこっそり人の集まる村まで運ぼうとした。
…ただ、少し掠り傷手当てしようとした時に、この子の着物の下から大量の痣を見つけてしまい…
普通に驚いた
それで結構大きい悲鳴上げた
そしてこの子が起きた
姿見られた
自分の馬鹿さ加減に泣きそう
『…』
冷や汗だらだらの僕とは正反対で、何も言わない人の子
ただ僕の姿を凝視するだけ
「(どうしよう…)」
この子が近くの村の住民なら、きっと僕の事を
“九尾”の事を知っているだろう
九尾…人を騙す悪しき妖怪。過去に生き物を大勢殺したとか国を滅ぼしたとか、悪い噂が絶えない妖怪。
そんな恐ろしい伝説が根強く残っているからだろうか。近くの村の人々は皆、九尾のみならず妖怪を全て消し去ろうとしている
おかげで仲間が何匹も消された
しかし、僕は人間と戦える程の戦闘能力も勇気も度胸も持ち合わせていないため、人には見つからないであろう森奥でひっそり生きてきた
おまけに僕は九尾である筈なのに頭が悪い
当然人を騙すなんてことも出来る筈なくて、今まで何回『お前九尾らしくないな』って言われたか分かんない
まぁそんな弱虫だったので、人間に見つかることなく一匹でしぶとく生きていたのだ
今日までは
「…あのさぁ…」
一か八か、人の子に話し掛けてみる
人の子の肩が少し驚いたようにぴくんと跳ねた
「あの…まぁ僕見ての通り…九尾なんだけど…」
しどろもどろになりながらも何とか言葉を継ぐ
生死がかかってるんだ。ちゃんと言葉にしないと
「僕の事、村の人に黙っててくれませんかね…」
『うんいいよ』
「あの僕九尾なんですけど凄い阿呆だし馬鹿だし妖術もそんな使えないし勿論人間に危害加えようなんて思わn え???」
…幻聴?
『良いって言ってるじゃん。耳ついてんの?』
「……」
「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!???」
『うわうっるさ!! こんなんでよく今まで気づかれなかったね…逆に感心する』
「…えっ…えっ……本当に?」
『だからそう言ってんじゃん。これ以上聞いてくるならアンタの事バラしても良いけど?』
「大きい声出してすみません本当にありがとうございます」
『ん、よろしい』
先程とは打って変わって、僕よりもちっこい癖に堂々とした態度をとる人の子
なんか釈然としないが取り敢えず黙っててくれるみたいで良かった…
…なんで?
「…君、僕のこと怖くないの…?」
『別に。思ったより阿呆そうだし優しそうだし』
「はぁ!!??」
『だからうるさいって』
呆れたような視線を送ってくる人の子
阿呆そうって…自覚はあるけども
「あのねぇ…言っとくけど僕は九尾なんだからね!? 君より体も大きいし力も強いし…」
『妖術は使えるの?』
「…も…もちろん使えるけど?」
『…へぇ~そ~なんだ〜』
なんかニマニマし始めてるんだけどこの子
『ねぇきゅーび。俺アンタのこと黙っといてあげるからさ、妖術見せてよ』
「…え」
『妖術使えるんでしょ? ならいいじゃん』
「…いやでもそれとこれとでは話が違うと言いますか」
『じゃあ村の人に教えちゃお〜』
「やりますやりますごめんなさい!!!!」
…僕雑魚すぎでしょ
一応100年近く生きてる九尾なのにっ…!!
「言っとくけど…本当に期待しないでよ? 」
…仕方ない
これで黙っといてもらえるなら
「…ふぅーーっっ…」
息を吐く
両腕を広げて
丹田に力を込める
…それで
「っおりゃあああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
めっちゃ力を出す!!!!
ふわり、と
風が頬を撫でた
「…っはぁ゛ーーーーっ…はぁ゛ーーーーっ…」
『…あの疲れてるとこ申し訳ないんだけど』
『何が起きたの? なんも変わってなくない?』
「…はぁ!? 風吹いたでしょっ!!!!」
『…確かに微風を感じたような』
「風起こしの妖術…ちゃんと見せてあげたんだからね!!!」
『…想像以上にしょぼかった』
「おい゛ぃ゛ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
くっっっっそがぁ!!
そんな冷たい目をするなぁ!!!
「もうヤダ…やっぱ僕みたいな雑魚九尾はいつか人間に払われる運命なんだ…」
『…なんかごめん。泣かないでよ』
「君の所為だわ!!」
精神的な傷害は負ったけれど、取り敢えずこれで僕の存在を知られることはなくなったかな…
「はぁ…じゃあ君はさっさと人間の村に戻りなよ。僕のことは黙っといてね!! 約束は守ったんだから!!」
『…帰り方分かんない』
「は???」
…そういえばこの子…崖下で倒れてたんだ
「君、僕が見つけたときそこで倒れてたんだけどさ…なんであんな所にいたの?」
『…なんでだろ』
「はぁ? …まぁいいや。僕帰り道知ってるから送ってあげるよ。あと、多分君崖から落ちたんだよ。相当ぶつけたのか知らないけど痣ができてたからちゃんと親にでも頼んで治しな」
『なんか…あんたって九尾っぽくないね』
「はいはい分かってますよそんなこと」
『俺”りうら”。あんたは何て言うの? てか九尾に名前ってあるの?』
「…急に自己紹介されても困るんだけど」
『また此処に来ても良い?』
「…はぁ?」
急に何を言い出すんだこの子は
「良いって言うわけないでしょ…僕は静かに暮らしていきたいの。人間と馴れ合うつもりはないんだから」
『ふーーん』
「ほら、ここの崖登って真っ直ぐ歩いていけば時期に村に到着するよ」
『なら俺1人で帰る』
「…大丈夫?途中で迷ったりしない?」
『きゅーびが人間の村に近づくのって危ないでしょ?』
「まぁ確かにそうなんだけど」
『俺のこと心配してる?』
「…そうだね」
『あんたよりも頭回るし大丈夫だよ』
「はぁ!!??」
面白がるみたいにけらけら笑う人の子
完全に遊ばれてるなぁ…
「ったく…じゃあね。迷子になんないようにしてよ?あと僕のこと言わないでね!!」
『大丈夫だって』
すたすたと崖に向かって歩いていく人の子を横目に、僕も反対方向へと歩き出した
…なんかどっと疲れたな
随分と変わった人の子と出会ってしまったみたい
今日はもう寝よう…久しぶりに妖術使ったせいか頭が痛い
そんな事を考えていると
遠くから声が聞こえた
『またねーーーーっっ!!!!きゅーーび!!!!!』
「…いやもう会わないからあぁぁぁぁ!!!!!」
負けないくらいの声量でそう返した
5〜6話程で終了予定
水赤マフィアパロの方はもう少しお待ち下さい
(すみません)
閲覧ありがとうございました
コメント
1件
最高すぎますヽ(;▽;)ノ続き楽しみです!!