ザアザアと、波の音が鳴っている
波が俺を囲んでゆく
もう俺の肩が見えない
沈んでゆく 堕ちてゆく
「ごめんなさい、にいちゃん」
*
凛視点
あの時から、俺はにいちゃんと別れた
あの冬の日に俺達の仲は消えてしまった
『2人で世界一のストライカーになるぞ』
…
「凛」
「潔」
「いくぞ」
「…おう」
舞台に立った先
その先には、
味方として立っている兄ちゃんがいた
「足ひっぱんじゃねぇぞ」
「うるせぇ、兄貴こそ俺の足引っ張んな」
「…これで勝ったら、世界一だぞ」
「…あぁ」
周りの熱が高い
観客の声が聞こえる
試合開始のホイッスルが鳴る
俺達の90分間が始まった
───────────────────
「2-1で…ブルーロックの、日本の勝利だぁぁぁ!!」
解説が叫び声で勝利の言葉を言う
「…」
90分間が、終わった
俺は最初の一点を決めた
だけど
最後のにいちゃんのパスを受けたのは、
決勝点は、
“潔“だった
俺は真緑の芝生の上へと座り込む
目の前に見えたのは
「ナイスパス!冴!やっぱお前天才!」
「うるせぇ、当然だろ」
「…だが」
やめて、この先の言葉を聞きたくない
「…よくやった、潔世一、世界一のストライカー」
「…あ」
俺の中で、何か壊れた気がする
でも、それと同時に、なにかスッキリした気がする。
…
もう、いいや
このまま…
誰もいない所へ行こう
「…凛ちゃん?」
おかっぱが何か心配するように俺を呼ぶが、
俺にはそんな事、どうでもよかった
独りになりたい
独りがいい
No. 1のストライカーの精神は、もうぐちゃぐちゃだったんだ
「…死のう」
そう思ったのは、あの時から2週間ほどした今日
何故か、急にそう思った
今は1ヶ月の休暇に入っているから、死ぬ時なんていくらでもある
「…何処で死ぬのがいいっかなぁ…」
…海
ふと、そう思った
「海にしよう、おわらせよう」
スマホだけを持って、外へ出る
外は暗いし、このあたりは照明がないから、変装をしなくても俺に気づくやつは誰にもいなかった
「…ついた」
海、月が綺麗に写っていて、綺麗だ
最期に、面白い事でもしてみようじゃないか
一年ぶりぐらいに開いたSNSに、海の写真を撮り、投稿する
そして、最期にメッセージ
『最期の海』
…
どうせ、アイツらとかは誤字だと思うんだろな
その方が、楽かなぁ…
海の中を歩いてゆく
夜なので水が冷たい
波の音が鳴る
肩のあたりまで、水につかる
どんどん、沈んでゆく
「ばいばい、にいちゃん」
「来世がもしあるなら、俺を見つけないでね
もう、弟なんかに、ならないように…」
さようなら、にいちゃん
目の辺りから、何故か暖かい涙が出た
後日、凛の水死体が、無慈悲な姿で発見された
…
「冴、大丈夫か?」
「…あぁ」
凛、ごめん
こんな兄で、ごめんな
もう、届かない言葉を、俺は心の中でずっと唱えている。
『ぐちゃぐちゃな君に、唱える言葉は』
どうでしたでしょうか!
一応読切作品ですが、後日談を書きたいと思っておりまして…
みなさん後日談とかご興味あるのでしょうかね?
もし見てみたかったらコメントとかで教えてください🙌
あとはいいねとかで後日談書くか判断します🫶
こんな駄作ですが、みてくださってありがとうございました!
それではまた次回作で!!
「ありがとう、にいちゃん。大好きだよ」
望んでいたお前の声が何処かから聞こえた気がした。
コメント
1件