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何も無い、まっさらな場所にいた。
気がついたらそこにいて、だけれど疑問のひとつも抱かなかった。
その代わり、感じることが一つだけ。
「…寂しいなぁ」
周りを見渡しても誰も居ないし何にもない。
ちょっと不気味。
誰かに会いたいなぁ。
────あ、そういえば。
「無事なのかな」
ちゃんと、守りきれたかな。
間に合ってくれたかな。
「────────出口」
ふとそう思った。
何故かは分からないけど
「あるかな」
ただただまっさらな場所を、歩いてみることにした。
寂しくて。
だから誰かに会いたくて。
あるかどうかも分からない、出口を探すことにした。
「…ご馳走様でした」
「はーい、お粗末さまでした」
社長が最後に食べ終わった。
…珍しいな。
女性二人よりも遅い。
─あ、もしかして。
社長も俺と同じく、あの時アソコにいた者。
俺と全く同じとまでも行かなくても、思い詰めてることはあるんやろな。
「社長、大丈夫ですか」
俺と同じこと思ったのか、もちさんが聞いた。
…大丈夫じゃないやろなぁ。
「すいません。この後どこから話そうと考えていたら、手が動くの遅くなってしまって」
あぁ、俺と違って先に話してないからか。
………………やっばい手ぇ震えてきた。
怖さ帰ってきてもうた。
落ち着け落ち着け…
「そ、んな、思い詰めてるんですか?」
リゼさんが驚きながら問う。
「…まぁ…」
社長がまごついた。
そうよな。これ話すんムズいよな。
俺だってめっちゃ詰まった。
「あの」
「コレから話すんですか?」
もちさんが声かけようとしたところを、とこさんが問いかけた。
ふと右を見てみると、テーブル席側に向かって歩いていた。
「え、戌亥もう皿洗い終わったの?」
それ俺も思った。早くない?
「ん? あぁ、社長のを片す前に3人のはもう終わらせてたからな。アタシはプロよ。」
流石っすわぁ…
ポスッと座った音がした。
「…社長、ちゃんと全部話してください。あの時、僕だけがいなかったので…全部、知りたいんですよ。社長も不破さんも、どうしてあんなに思い詰めてるのか」
もちさん…ッ…ごめんなさい。
社長すいません、頑張って下さい。
俺からもう一度とか…そんなのは無理…
「スゥ──────ハァ──────」
社長の深い深呼吸が聞こえた。
「──────あの日、剣持さんが先に帰ったあと、残りの我々3人は、揃って駅に向かっていました─」
戌亥の心情
最初は、ただ泣き声が聴こえただけだった。
よーく聞いてみれば、それは知ってるライバーの声やった。
意識してでは無いが、聴こえてしまったのを放っておくわけにはいかへんかった。
…大分顔色が悪かった。
そのままやったらすっごい病んでたんじゃと思うわ。
もう本当に真っ青やった。
まぁ、それに驚いて一瞬固まったんやけど、それはおふわにはバレてへんな。
まずは気分転換! って思ったけど、あの顔は抱え込んでるもん吐かんと何も出来へんやろと思って、アタシの勤め先にした。
他の人いたら無理やろ。
休める分休めへん。
なんかおふわが抱え込んでるもん、ただのもんではないと思ったし…
まぁ、結局連れてった理由としては、
あ、これ「危ない」
と、いの一番に感じたからやな。