TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

美晴は手元に届いているパーティーの招待状を見た。どこから入手したのか不明だが、運営からこの招待状が届いた。幹雄とこずえの婚約パーティーのものだ。

メディアなどに発表するため、招待券がないと中に入れないが、そんなものは運営の手にかかれば造作もないことだ。


さらに今回、ボディーガードと目くらましに隆也を使うらしく、ふたりともとびきりのドレスコードで来いとの通達だった。美晴のために爽やかなグリーンのドレスも送られてきた。

松本家を逃れるために荷物は最小限にしたため、ドレスについては美晴にとってありがたいものだ。以前隆也が誘ってくれた食事へ行った時は、亜澄から洋服を借りたくらいだ。余分なものは持ち合わせていないことも考慮してくれる運営に、拍手喝采を送りたい。



準備をして会場に向かおうとしている時だった。美晴のスマートフォンが鳴った。表示は‘隆也先生’となっている。



「先生! おはようございます」


『美晴さん、いよいよですね』


「はい。先生がいてくださったら心強いですが、大丈夫でしょうか。もし先生に危害を加えられたりしたら…」


『大丈夫です。松本和子さんは来られないようですから、僕のことをわかる人間はいないと思いますよ』


「それなら安心ですね。でも、油断せずに行きましょう」


『あの……美晴さん。色々終わったら、また一緒に祝杯をあげませんか? お話したいことがあります』


「わかりました。ぜひ、先生と一緒に勝利を分かち合いたいです!」


『よかった。では、のちほど』


異性でも話しやすく、他人である自分の身を案じてくれる人が身近にいるなんて、と美晴の顔がほころんだ。頼もしい彼の存在は、美晴の大きな心の支えになっていた。



(さあ、行こう! 決戦はホテルの会場よ!!)



美晴は無意識にお腹を撫でていた。殺された子のためにも、彼らが地獄に落ちる瞬間をこの目で見届けなければ――




招待状を忘れず鞄に入れ、タクシーで会場に向かった。会場はクラウンホテルだ。

これは嫌味なのだろうか。美晴が働くカフェ『ホワイトシェル』があるホテル。格式高く豪華絢爛な広いホールは、芸能人たちも利用するような空間だ。松本家の力と財力を示す場としても機能する。


恐らく、見せつけたいのだ。世間に『松本家はここから起死回生する』と。

和子の失態を払拭させるために。


美晴は入口で招待状を出した。受付に渡す際に心臓が飛び出そうになるほどドキドキしたが、難なく通過できた。ほっと胸を撫でおろしてホール内に足を踏み入れる。

辺りを見回すと、入口付近で待機していた亜澄の姿が視界に入った。早速そちらへ向かう。


見ると亜澄は数人のスーツを着た男女のグループへ招き入れてくれた。紹介を受けると、彼らは松本会計事務所の職員、及び上原こずえに酷い目に遭わされた被害者たちだった。

美晴は「松本幹雄の妻で、美晴と申します」と名乗った。


「あれ…専務(松本幹雄の役職)は奥さんとは離婚したって聞きましたが…」


濃紺のスーツを着た男性職員が首を傾げた。彼はまだ若そうだ。三十歳手前で端正な顔つきをしている。鷲鼻が特徴的だった。先ほど名刺もらった。名は長田勇気(おさだゆうき)と書かれている。


「いいえ。まだ正式には離婚しておりません」


「えっ…それなのに別の方と婚約発表ですか? なに考えてんだあの人…」


「でも専務ならやりそう。頭悪いもん」


長田勇気の隣にいた猫毛でふわっとした髪の女性が言った。彼女からも名刺をもらった。浦野志摩(うらのしま)と書かれていた。「女性職員の採用基準は顔とか平気で言うヤツじゃん。クズだし、人の心がないんだ」


「確かに」


「奥さん。ここにいるみんなは、専務を恨んでいる人ばかりです。私も親友がひどい目に遭ったので、敵討ちにきました」


聞けば酷いセクハラに遭い、鬱になってしまった親友の証拠を持ってきたようだ。セクハラ行為の証拠や診断書などがあるようだ。

復讐アプリ2.0:リベンジプラン【完結】

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

8

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚