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時透無一郎は、朝の陽射しを浴びながら庭を歩いていた。風が心地よく吹き、枝葉の間からこぼれる光が優しく揺れている。彼はふわりとした気持ちで、そっとしゃがみ込んだ。
「…この花、可愛いな」
細く伸びた茎の先に、小さな白い花がついている。どこか頼りなげなのに、風に吹かれても折れずに立っている姿が、なんだか愛おしい。
「無一郎君、その花、好きなの?」
後ろから甘露寺蜜璃が顔を覗かせた。無一郎はほんのりと頷き、小さく微笑む。
「なんか、綺麗だし…ずっとここに咲いてるみたいだから」
蜜璃は嬉しそうに笑い、そっと隣に腰を下ろした。二人はしばらく風を感じながら、揺れる花を眺めていた。何を話すわけでもなく、ただそこにいるだけで心が穏やかになるような時間だった。
「…この花も、無一郎君みたいね」
「え?」
「優しくて、しっかりしてて、風が吹いてもちゃんと立ってるところ」
無一郎はきょとんとした顔をしたが、少しだけ耳が赤くなったようだった。
「…そうかな」
蜜璃は満開の笑顔で「うん!」と頷き、また風がそっと二人の間を通り抜けた。