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怒号が聞こえる。
冷たく乾いた声が響き渡る。
瞬間、頬に痛みが走る。
双子の弟の泣き喚く声が聞こえる。
そんな音を二度と聞きたくなくて
俺は家に帰るという行為をしなくなった。
・・・
🐇side
がらっ。
二限目の途中ぐらい。保健室の扉が開き、
春ということもあり暖かい風が保健室へ流れ込む。
I「しょにだおはよぉ~!!」
S「はい、おはよ」
「今日はどうしたん?」
I「ん~?どうもしてない!笑」
S「教室は?」
I「いかない」
S「先生は行ってほしいけどな~?」
I「しょにだぁ~」
S「じゃあ、担任の先生に言うで?」
I「んー、分かった」
桃瀬いふ。
2年A組。保健室登校。
理由は不明。
最悪な家庭環境なことだけは体を見て感じ取れる。
ひどく傷ついた腕。でもそれは、最近のものではない。
じゃあ、ここ最近彼はどこに帰っているのか。
今の不安はそこだけ。
S「まろちゃんー、先生むずかしいことよくわからんけどさ、無理はしちゃダメやで?」
I「大丈夫やで?笑」
そう柔らかく微笑んだ彼にとってせめて保健室だけはまだまだ未熟な彼を守ってあげられる場所でありたい。
・・・
💎side
がらっ。
目の前にあった扉を開けて教室へ入る。
2年A組。
僕の担当、国語。
3限目のチャイムが鳴り、生徒が起立する。
H「はい!お願いしまーす!」
生徒がお願いしますというのに合わせて僕もお願いしますという。
H「じゃあ、今日は前回の続きからねー」
今日することを告げるとみんながその準備をし始める。
みんなが準備をし終ったことを確認すると板書を始める。
何気なくみんなのことを見てみる。
前のほうで必死にノートをとる生徒。
後ろの方で外を見ている生徒。
いつもと変わらないこの光景。
H「じゃあ…」
「桃瀬くん!」
名前を呼べばすぐに顔が上がる。
N「はい」
落ち着いていてとても聞きやすい声が教室の響く。
H「日本の三大随筆は?」
N「吉田兼好の徒然草と鴨長明の方丈記と清少納言の枕草子です。」
H「じゃあ,それぞれに書かれていることは」
N「徒然草が人生語り、方丈記が無常・災害、枕草子が平安の輝きです。」
H「うん!正解!」
教室の中が少しざわめく。
”さすがだなーないこ”・”天才じゃん”
そんな声が聞こえてくる。
桃瀬ないこ。
できる生徒という印象が強い。
成績も毎回2位で授業態度も模範的。非の打ち所がない生徒だ。
桃瀬ないこは先生にとって手のかからない子だった。
・・・
🐤side
昼休みを告げるチャイムと共に弁当を抱えて教室から出る。
ばんっ!!!
保健室のドアを開ける。
するとびっくりした先生とまろが目に入る。
S「りうちゃん??ドアはやさしくね??」
L「ごめんなさぁい笑」
S「ごはん食べるなら向こうの個室使ってや~!!」
L「はーい!じゃあまろいこー!!」
I「わかった~」
L「まろは今日も泊るの?」
個室の椅子に座りながらそう問う。
I「…おん、ええなら」
L「いいと思うよ~。あにきも結構嬉しそうだしね笑」
I「じゃあ泊るわ。」
L「おっけー。ご両親と何があったかは知らないけど時々帰んなよ?」
「まぁ、別にいやだったらずっといてもいいからね。」
I「…おん。ありがとう。」
L「今日はりうらはバイトだから!
家にはあにきがいると思うから帰って大丈夫だよ。」
I「わかった。ありがと」
貴方は今、何を考えているの?
笑わない、泣かない。辛いとも言わない。幸せとも言わない。
ただただ偽りの笑顔を浮かべて人と話す。
顔にできた古い切り傷を見つけ何があったのか余計にわかんなくなる。
原因はなんなの?俺はどうしたらいい?
教えて、頼って。
・・・
🦁side
がちゃっ。
玄関の扉が開く音がして包丁を置き廊下へ足を運ぶ。
Y「まろおかえり~!」
I「ただいま笑」
Y「今日はりうらはバイトって言ってたやろ?」
I「おん。あにきが居ると思うから先に帰ってって大丈夫って言われたで」
Y「よし!じゃあ飯にしよーか」
I「おん」
黙々とご飯を食べる彼を見ながらふと思う。
なにがあったのか。
うちに来てからずっと話しているけど彼自身、自分のことを話そうとしない。ただ”泊めてほしい”と言われて泊めている。
嫌ではないがご両親は大丈夫なのかと心配になるときがある。
腕にできた古傷もなんや?
なにがあったんや?
I「ごちそーさまっ」
「おいしかったぁ笑」
Y「そうか?よかったw」
「お風呂沸いてるから行ってきな~」
I「ありがとう」
食器を片付け、お風呂へと足を進める彼の背中は
どことなく寂しそうに見えた。
お前はなにをそんなに背負っているんや?
・・・
🐶side
まろがこの家に帰ってくることがなくなってもう一か月。
二人の子供部屋は心なしか広く見えて、心が冷たくなる。
学校にも来てないのかなぁ…?
家にいるのが嫌なのはよくわかる。
でも、なんでおいてくの…。
なんで、逃げたの。
お前の方が愛されてただろ。
俺は放任主義だったよ。今までは。
でも,お前がいなくなってからどうだ?
親は狂ったように俺に執着するようになった。
初めはうれしかったよ。愛されてるみたいで。
でも、怒号を初めて浴びた日から愛されてはいないんだなと実感した。
勉強して怒られて叩かれてまた勉強して。
その繰り返し。
俺は完璧でいなくちゃいけないから。
いつか本当の愛を受け取るまで完璧でいなきゃ。
ただ幸せになりたかっただけなのにな、、、笑
なんで。一位のお前がどっか行くんだよ。
・・・
🥂side
なんでかこうなったのか。
俺もわからない。
家に帰りたくなくて、それでも家が恋しくて。
どうすればいいかわかんない。
俺だって普通の家庭に生まれたかった。
知能も普通でちょうどいいよ。
ただただ普通に幸せになりたかった。
・・・
変わらぬ日常。
変わらぬ両親。
ただ変わったことといえば兄が帰ってこなくなったことだけ。
どこに行ったのか知らない。
でも、ある日学校から帰ってきたら物がなくなってた。
どこに行ったの。
俺もつれってってよ。
俺も、
家から逃げた。
人生で初めて学校をさぼって一度家に帰った。
自分の荷物をとって、学校とは反対方向の電車に乗り、
遠く遠く離れた田舎でおりた。
誰にも迷惑をかけないよう、独りで走り続けた。
ごめんねという気持ちも段々と薄れつつある。
俺は普通に生活して普通に働いて普通に家庭を持って普通に過ごす。
俺は、
I.N「幸せになりたい…っ」
・・・
人という生き物はよく,ないものねだりをすることがある。
でも、そのない物ねだりだと思っていたらある時ふと叶うこともある。
だから私はないものねだりだとしても頑張って叶う方向に
もっていくようにしている。
バカにされても,嘲笑われても,ないものねだりをしたからには
それが叶わなかったという事実を作りたくないから。
皆様はどうですか?
ここまで読んでくださりありがとうございました。
この作品が誰かの考え方の一部となりましたら幸いです。
思いっきり,幸せになってくださいね。
by.結優音