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日向臭い……。んん… ここは……? 身体が深い何かに吸い込まれている。段々と意識がはっきりしてきた。そこは海だった。辺りはどこを見ても真っ暗だった。ザーザーと海の漣が僕をどこかに運んでいる。僕の身体は冷たくて動かない。鼻に水が入ってきて痛い。ただ経つだけの時間に希望がすり減る。僕はこのまま死ぬのか…。そう諦めようとした時、大きな波らしきものが、何故か下から僕の身体を持ち上げた。そして天使のような美しい女性が僕の手を掴んで波から僕を引っ張り出した。笑顔のままで何も言ってくれない。僕は何か言おうとしているが、声が出ない。しかし何を言おうとしているのかも、自分では分からない。女性は僕にハグをしてくれた。とても暖かい。そして耳元でそう囁いている。「助けてあげる。その次はあなたが…」 聞こえなくなり、目を開けると僕は部屋で寝ていた。ヴィンが居ない。「ヴィン!」と叫び、毛布の山をあさっていたら、テレビが映された。テレビがある事には今気づいた。画面の中には、あの白衣の男が拘束されているヴィンのそばにいる。男はヴィンの頬っぺを嫌な手つきで触り、僕にこう言った。「君達は驚く程に健康です。どうやって、君達はここまで生き伸びられたのか、教えてくれますか?」この男は僕の仲間の有無を探っている、そう勘づいた僕は、男を睨んだまま黙っていた。ヴィンはやけに苦しそうだ。目で僕に助けてと訴えている。そりゃそうだ、首と手と足に鎖が着けられていて、そのうえお腹には青紫のアザがある。元々痩せているのに、こんな事をされていると、いつ死んでしまうか分からない。僕はヴィンを助けられない自分の無力さに、耐えていた。それからはヴィンと会える時間は限られた。僕もヴィンと同じように白衣の男、博士から事情聴取を受けることになったのだ。捕まってから間も無い時、ヴィンと何も言わないと約束した事がばれて、2人とも罰を受けた。2人とも手と足を壁に拘束されて、博士が問い詰める。博士はヴィンに顔を近づける。そして嫌がるヴィンを見てニヤリと笑いながらヴィンの頬っぺを舐めた。「なぜ逃げれると思った?残念だね、ヴィン君。君は無計画で弱々しい。」ヴィンは泣いていた。僕は博士の気をそらすために暴れ出した。「お前は僕達に何をしてもいいと思っているのか!大間違いだ!殴り殺してやる!!」そう言うと博士は今までにない笑みを僕に見せた。「反抗するモルモットは実に愛らしい。もっと、もっと、、、暴れなさい。」「うわぁぁぁぁ!!」僕は勢いよくもがく。手と足が拘束されているのにも関わらず僕は残る体力を全て使い果たすようにもがく。その時、警報音が鳴った。「爆破です。B03号室とその周辺が破壊されました。」そう言い駆けつけた男たちに、博士の顔の色が変わった。