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春が来たら-when my spring comes,-

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春が来たら-when my spring comes,-

1 - 春が来たら-when my spring comes,-

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2024年05月20日

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-When my spring comes,-

春が来たらしたいこと。

いっぱいあるけど、絶対にしたいことは

君に会うこと。










僕はあと3ヶ月。たった3ヶ月の命だ。

毎日ひどい頭痛に襲われ吐血を繰り返す日々。

こんな生活が続いて2年。くだらない。

あと3ヶ月でこの苦痛から逃れられると思っていた。

なのに、僕は見つけてしまったのだ。






変わり映えのないモノクロの世界で









煌々と輝く君の姿を。

12月の桜の木の下で、毎日のように

患者さんの前で弾き語りをしている君を。







ー診察室ー


「ジョンウ君、先ほどのMRI検査の結果についてですが、」









「前回と比べて病気の進行が遅くなっているの。このままいけば満開の桜の木を見れるかもしれないし、外出許可もできるかもしれない。ジョンウ君、この調子で頑張りましょう」








嬉しいのか嬉しくないのか分からない。


でもただ一つだけ。







君に会いたい。







ー4月ー

余命3ヶ月という壁を乗り越え、今日も生きている。

少し変わったことは、以前よりも寝込む日が増え、力が弱まっていることだ。でも、満開の桜の木を目にすることができる時期にもなった。

きっともう見れないと思っていた桜の花びらと君の姿を、まだ見ることができるなんて。




先生からも奇跡だと褒められた。

でもその奇跡はきっと僕が起こしたんじゃなくて









君がくれたんだと思う。





ー4月下旬ー



「先生、お願いです。ジョンウの外出を認めてやってくれませんか」








病に倒れて早三年、初の外出許可が降りた。

母の啜り泣く声が廊下から聞こえたが、気付かないふりをした。




どうやら僕はもうじき死ぬらしい。

君を見つけるまで、楽になりたい、死んでしまいたいと思っていたのに、どうしてか君を見つけてから無性に生きたいと願ってきた。



君に会いたい、その願いが叶うまで。












ー4月30日ー



「そこの君、いつも窓から見てくれてるよね!やっと会えて嬉しいよ!記念に、何か弾いてほしい曲はある?笑」

「あ、急すぎて分からないよね、ごめん笑笑」





そうやって微笑む君。僕のことを知っていたなんて思ってもみなかった。






二度目の奇跡だ。







嬉しい。だけど、また君に会いたいと、生きていたいと願ってしまう。

そんな日も残されていないのに。












そう思いながら、僕は満開の桜の木が見えるあの病室で目を閉じた。




来世でも君にまた会えますように。















end.

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