【さぁーもん】
べるの容態は一命は取り留めているが、意識が戻らないらしい。
運ばれたあの日からずっと俺はここに居た。
さりげなく握っている手はあの日のように握り返される事はなかった。
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【べる】
うーん、、、
なんだろう、、、
すごい気分がほわほわする、、、
これが死んだってことなのだろうか、、、
けど手には握られてる感覚だけがあった。
けど嫌なものじゃなくて、凄く私を安心させてくれるものだった。
その正体を確認したくて、私は
恐る恐る瞑っていた目を開けたのだった
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【さぁーもん】
「ん、、、」
「べる!?」
ずっと意識を取り戻さなかったべるは目を開けた
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【べる】
目を覚ますとさもくんが手を握って私のことを見ていた。
「さ、さもくん?!」
「良かった、、、本当に良かった、、、」
さもくんの顔はかつて付き合っていた時に見せてくれた晴れた顔だった。
「体調大丈夫?」
「ちょっと頭ふわふわするかも、、、」
「そっか」
「べるしゃん、、、少しいいのだ、、、?」
「う、うん」
「じゃあ俺は外いるよ」
「わかった」
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「そのおどろくさん話って、、、」
「まずはべるしゃん、、、」
「ごめんなさいなのだ、、、」
なんで謝られたのか私には分からない。だっておどろくさんがずっとさもくんの事を好きだったのは気づいていたから。
「なんでそんな急に謝って、、、」
「その、、、おどろくが、、、」
こうして、私は今までの話を聞かされた。
「そうか。そうだよね。おどろくさんからしたら辛かったよね。」
我ながらよくここんな状況下でそうなことが言えたもんだ
「けど、おどろくその分べるしゃん傷つけて、、、さもしゃんにも無理させて、、、おどろくは、、、おどろくはどうしたら、、、」
「落ち着いておどろくさん」
「べるしゃん、、、?」
「大丈夫、、、私は大丈夫だから、、」
現に私は首吊りをしても生きているのだ、、、
多分大丈夫、、、
「けど、、、さもしゃんのことだけは、、、恨まないであげて欲しいのだ、、、全部おどろくのわがままだから、、、」
「うん」
と淡白な言葉だけを返したのだった。もちろんわたしがさもくんを恨むわけなんてない。だってずっとずっとさもくんのことが好きだから。
最終的に私の所に戻ってきてくれるのならそれでいいのだ。
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【さぁーもん】
そろそろおどろくさんと話終わっただろうか。少し病室の前でソワソワしていた。
「さもしゃん?」
「あっ終わったんだ」
「うん」
「それじゃ」
「さようなら」
・・・
病室に戻ると少しべるが遠くを見ていた
「べるさん、、?」
「さもくん!!おかえり」
「元気そうで良かった」
「元気そうでって、、そんな長い時間おどろくさんと話してないよ?」
「確かに」
「ねぇさもくん、、、屋上行きたい」
「俺も着いてく」
・・・
「さもくん高いところ大丈夫なの?」
「べるがまたいなくなるかもしれないことを考えると高いところの方がまし」
まぁ普通に怖いけど、、、
「ねぇさもくん、、、」
「さもくんは」
「まだ」
「私の事好き、、?」
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【べる】
つい聞いてしまった。
でもそれでも、さもくんの気持ちを聞きたかった。
結果がどうであれ、、、
「べる、、、」
「俺さ、、、やっぱりべるが1番好きなんだよね、、、だからずっと振ったあの日から後悔してて、、、けど、おどろくさんの事も薄々気づいてて、、、断りきれなくて、、、」
「俺って馬鹿な奴だね」
とどのつまり私の事はまだ好き、、、
それでいいのだ。だって私はさもくんがいないと生きて行けないから
「そんなことないよ。さもくんはバカなんかじゃない!」
「べる、、、」
次の瞬間、私は何故か抱きしめられていた。理解が追いつかない。
「さ、さもくん」
「やっぱりずっとべるのことが大好きです、、、もう二度とべるをあそこまで追い込む様なことしないから、、、」
「もう1回俺にチャンスをください」
やだな〜そんなこと言わなくても、私はずっとさもくんの事大好きなのに
私はそっと抱きしめ返した。
「私もさもくんの事ずっと大好きだよ、、、またよろしくね!」
久しぶりに声に出した言葉はとても恥ずかしく思えた。
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1週間後
経過観察を終えて退院出来ることになった。
・・・
「べる帰ろ!」
「うん」
差し出された手を取ってみた。
久しぶりのこの感覚はやっぱり安心する。
「ほら、荷物持つからちょうだい」
「ふふ。ありがとう!!」
あの日まではこんなことは夢にも思わなかった。
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【さぁーもん】
やっぱりべるは可愛い。
「ねぇさもくん」
そう言ってパーカーの裾をもう片方握ってきた。
可愛い。
「どうしたの?」
「家、、、帰りたくない、、、」
「帰りたくないって、、、じゃあどこ行くの、、?」
「わかんない、、、」
「うちくる?」
「うん」
可愛い。わがまま言っちゃうのも最上級に可愛い。
「まぁとりあえず荷物は置きにべるの家行こうね?」
「わかった」
・・・
「さもくんおまたせ!!」
「じゃっ行こっか」
「うん!!」
可愛い。なんでこんなに可愛いのに離してしまったんだろう。
まぁいいか
・・・
さぁーもん宅
「ん〜着いた〜」
可愛い。
あっやばい、、、歯止め効かないかも、、、
と思ったのも手遅れだった。
「べるさん可愛い」
「さ、さもくん!?ちょっ、、あっ手、、、」
「これで一緒だね」
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【べる】
気がつけば、少し、手と足が拘束されて、部屋に閉じ込められていた
まさかこんなことになるとは、、、
いや、、、、でもこれで一緒にいられるならもはや幸せなのでは、、、
まぁ世間一般的にはこれが監禁と言うらしいけど、、、
まぁ別に命に支障がある訳でもないので全然問題ない
ただ1つ問題があるとするのならば、、、
「ねぇさもくん」
「どうしたの?べる」
「私なんでここ入れられてるの〜?」
「もう自殺とか考えさせないで、俺とずっと一緒に居させるため」
なら全然問題は無い。
「ねぇさもくん。私の事好き?」
「世界で1番好き。誰よりもべるのことが好き」
「私も。さもくんが世界で1番好き」
これが望んだ結末、、、
なのかもしれない
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【???】
「へ〜そうなっちゃうのか〜」と遠くからその状況を見ていた。しかしあちら側がこっちを認識することなんてないだろう。だってそういう風にプログラムしてあるのだから。
あっ私?
私はうたいという名の博麗霊夢だよ。
既に私の存在を知ってる輩がいるらしいけど。、
その世界では幾つもの「分岐」がおこってるその発端というのが私なのだ。博麗霊夢は概念であり何体も何体もいるまぁ私はそのうちの1つのエラー個体なのだが、、、
だからエラー故自分を応用し、タイムマシン的な物を作れたって訳
けどな〜
もうちょいほかの結末でもおもしろいんだろうなー
そんな見たい要望に駆られまた別の世界の博麗霊夢ことうたいとして足を踏み入れ始めたのだった。