TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
シェアするシェアする
報告する

***


仕事で汗をかいたから、先にシャワーを浴びたいと言ったというのに、待ちきれなかったのか、浴室に乱入した宮本。

躰を洗っている最中の橋本はギョッとして、扉を開けた宮本をガン見するのがやっとだった。欲情に満ちたまなざしを注がれるだけで、同じ気分に陥る。


「雅輝……うっ」


橋本のつぶやきを封じる口づけは、一気にボルテージをあげた。

修行僧のようにシャワーを受け続ける宮本をなんとかせねばと、必死にコックを捻って止めたが、髪から滴る水もお構いなしに、首筋へと顔を移動させる。


「んっ!」


ぐらついて背中を預けた先は鏡だったらしく、背中にひんやりした冷たさを感じた。


「陽さん…陽さんっ」

「ああっ、あっぁッ」


舌先を使って、執拗に胸の頂を責められる。以前はそんなに感じなかった行為だったが、最近はぞくぞくするような、なんとも言えない快感を覚え、あられもない声が出てしまった。


「陽さんは俺の――」


胸を吸いながら宮本の空いた手が、後ろの秘部へと伸ばされる。なぞるように割れ目を伝い、そして――。


「んうっ!」


滴る水滴に導かれて、指が1本挿れられたのがわかった。

解しやすいように尻を突き出すと、宮本はしゃがみこんで橋本自身の先端を優しく咥え込む。


「うっ、あっあっ…もっと」


もっと深く咥えてほしいのに、宮本はそれをせずに先端を弄ぶ。その間も後孔の入口は順調に解されていき、指の数が増やされていた。


「雅輝、意地悪するなよ」

「んっんっんっ、陽さんの美味しい」

「もっと咥えろって、それじゃ物足りない」

「だったら、俺の中に挿れる?」


意外な言葉に、橋本の快感がどこかに飛んでしまった。


「な、なにを言って……どうして」

「俺のこと、抱きたいって思わないの?」


何度も瞬きする橋本を、宮本は下から仰ぎ見た。視線を逸らさずに、まっすぐ見つめられるせいで、橋本の緊張感が自然と増していく。


「雅輝を抱くなんて、考えたこと――」

「付き合う前に、俺を襲ったでしょ。今は抱きたいと思えないんだ」

「おまえ、野木沢に嫉妬してるだろ」

「してる、すっごくしてる。今すぐ陽さんに抱かれたいくらいに!」


浴室に宮本の断言する声が響いた。


「雅輝、ホントおまえってバカだな」

「バカなのはわかってる。陽さんが江藤ちんと逢ったときの気持ちが、野木沢さんに逢ってやっとわかったくらいだし」


宮本はしゅんとして、なぜかその場に正座をした。


「ごめんね、陽さん」

「なにがだよ?」


正座をした宮本の前にしゃがみ込み、顔を覗き込む。橋本の視線を受けて、目の前にある顔が慌てふためいた。


「陽さんってば、そんな色っぽい顔を近づけないでくださいよ。理性をきちんと押し留める、俺の気持ちも考えてください」

「もっと、雅輝の気持ちを教えてくれ。野木沢に俺と関係があったって聞いたとき、どんな気持ちになったんだ?」


顔を近づけるなと注意されたばかりだというのに、橋本はわざと顔を近づけた。宮本は大好きな恋人の顔をまじまじと見つめながら、ごくりと喉を鳴らす。


「雅輝、ほら吐いちまえって」

「あ、えっと……野木沢さんは陽さんの好みなんだなって。俺と違ってイケメンだし、漂ってる雰囲気が上品な感じで、俺と違いすぎると思ったら、自然と落ち込んじゃった。陽さんの相手が不細工な俺でいいのかと」

「俺も思った。江藤ちんみたいなイケメンじゃねぇし」

「そんなことないっ! 陽さんは俺にはもったいないくらいの、すっごくいい男です」

「ハハッ、ありがとな。そんでもってその言葉、そのまま返してやるよ」


言いながら宮本の頬を、橋本は両手で包み込んだ。


「おまえの持つ純真無垢な心は、見た目のいい野木沢が持ってない、すげぇものなんだぞ。雅輝は俺にとって、もったいないくらいのいい男さ」

「陽さん……」


太い眉をへの字にして、あからさまにしょんぼりしている宮本に、橋本は触れるだけのキスをした。


「おまえ野木沢に、俺を抱いてること言ってないだろ?」

「そんなこと言う雰囲気じゃなかったです」

「それなら好都合だ」

「好都合?」


宮本は橋本に顔を掴まれたまま、わけがわからず首を傾げる。そんな不思議顔をしている恋人を、橋本は優しいまなざしで見つめた。

不器用なふたり この想いをトップスピードにのせて

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

15

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚