アメリカ「にほーん! 見てくれこれ! めちゃくちゃやりたい! いや、絶対やる!」
アメリカが興奮しながらスマホの画面を目 前に突き付けるので渋々見ると、そこには デンジャラスな闇鍋が。
日本「闇鍋、ですか」
アメリカ「Yes! ヤミナベ! かっこよくないか!?」
日本「うーん…..」
闇鍋…
興味本意でやったことはあるが、面子がまともだったが故に非常に美味しい鍋 が出来上がってしまった。
アメリカは……..
彼がまともな食材を持ってくることは絶対に無いだろう。
毒々しい蛍光色のドーナツとかを持ち寄 り、笑顔で容赦なく鍋に投入するに違いな い。
食べれる鍋になるかどうか……
アメリカが参 加するあたりで希望はかなり薄い
アメリカ「できないのか…..?」
日本「できますともお任せあれ!」
大型犬の様にウルウルと目で見られたら断 れない。
自分のギャップを正しく理解し、 利用するアメリカが少しばかり憎らしい。
日本「メンバーは…G7とかで良いですかね、集めやすいし」
アメリカ「ふんふん… じゃ、夜な! 今日の夜集まるぞ! 日本も食材用意しといてくれよ!」
言いたいことだけ言うとアメリカはバタバ タと去っていった。
アメリカ「ヤミナベ始めるぞーーーー!」
夜。日本宅ではG7の面々が集合し、日本が丁寧にとった昆布だしが煮だつ鍋を囲んでいた。
カナダ「面白そうだから来たけど、ヤミナべって何~?」
アメリカ「ヤミナベは簡単に言うと何が入っている か分からない鍋の事だな。みんなが好きに具材を持ち寄って、暗闇で鍋に投入するんだ。さ、ということで…」
アメリカがパチンと電気のスイッチを押し て明かりを消した。
アメリカ「それぞれ調達してきた食材をそこの鍋に入れるんだ!」
アメリカが鍋を指差したようだが、暗すぎ て何も見えなかった。
カナダ「ヘーっとりあえずで持ってきたものだけど入れちゃっていいの?」
カナダがちょっと不安そうに聞くと、アメ リカは思いっきりニッコリするとグッと親 指を突き出した。
アメリカ「それがいいんじゃないか!」
日本「アメリカさん、アメリカさん」
皆が食材を鍋に入れている途中、日本はア メリカにこしょこしょと耳打ちをする。
日本「どうしましょう、イギリスさんが来ちゃ いましたよ。イギリスさんですよ」
アメリカ「ああ、それは完全に盲点だったぜ。darkなナベに目がくらんだぜ」
アメリカが冷や汗をかきながら今しがた食 材を投入したであろうイギリスを見つめ た。
日本もだいぶ暗闇に慣れてきた目でイギリ スを見てみる。
イギリスはちょっと嬉しそうにニコニコと笑っていた。
日本「…….まぁ、大丈夫だと信じましょう。イ ギリスさん、フランスさんと食材選んだみたいですし」
アメリカ「そ、そうだな! じゃ、ちょっと煮込んで….」
暗闇だからか、グツグツという音がより大 きく聞こえる。
ドイツ「お前ら、ちゃんと食べられるものを持ってきたんだろうな? 言っとくけど自分も食う可能性があるんだからな」
イタリアに引っ張られて来たドイツが眉根 を寄せてイギリスとアメリカをちらっと見 た。
イギリス「フフフ…. どうでしょうかね」
フランス「お前は大丈夫じゃなきゃいけないの」
イギリスが意味深な笑みを浮かべたが、フ ランスが苦笑して小突いたので大丈夫そう だった。
日本「もうそろそろ良いですかね…誰からいきます?」
日本が鍋の蓋を開けるといい匂いが漂って きた。
アメリカ「オレオレ!オレからいく!」
アメリカがキラキラと目を輝かせて元気に 手を挙げた。
日本「ふふ、そうですね。楽しみにしてました もんね」
アメリカは日本からおたまを受け取ると 嬉々として鍋から具をよそった。
アメリカ「もぐもぐ…… これは…..」
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