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#エルフ
桜井正宗@オートスキル1巻発売
6,950
上野文
4,013
あのち
226
577
第20話
「ほら、綺麗だよ」
そう言ってロルフが目を輝かしている。
それもそうだ。無数にある星屑一つ一つが可憐な光で見失われないようにしている。その中に大きな光もあって守っているように見せて、すれ違っている不器用な人のように見える。
多分、この景色が好きなのだろう。ロルフが好きな事と言えば、鍛錬か、ソフィー……いや、思い出すのはあれなのか……
そしたら……見つからない。
「うん。綺麗。また来たいな……」
「じゃあ、また来よう。大災厄がまた来る前に」
え? また?
私が目をパチクリさせていると「僕は、あれから時々、夢を見るんだ。ソフィーが僕に話しかける夢。その中でソフィーが助けてって何度も言うんだ。僕の思い違いだったら良いんだけど……」と言いにくそうにロルフは口を開いた。
助けて……もしかして……
私がハッとした顔で見るとロルフは夜空を見あげて無言で頷いた。
光の家はロルフの……ソフィーが力の持ち主だったのね……
私は、力がまだ目覚めない……年下でもあるソフィーに頼ってる……
「僕はっ……元は何もできない……家の出来損ないなんだよ……」
ロルフが俯きながら呟いた。
「出来損ないなんて……ソフィーがどれだけ貴方を大事に思って過ごしていたと思ってるの? それを見て、ソフィーは嬉しくでもなるの?」
そう勢いだけで言ってしまった。
やっちゃった……もっと他に言い方があったのに……なんて子供見たいに……
「……確かに。ソフィーは喜ばないね。僕はそのためにも、剣を振るう。だから、少しでもいいから力になってみせる」
「うん。私も頑張らないとね」
そう言って二人で星々の光が振り注ぐ夜空を見上げた。
✡
それから、アニカは寝落ちした。
うたた寝なんて……疲れてたのかな?
いや、それ以上思うと僕の方がって言われる。うん。目に見えるような光景だな……
僕は冷えない内にアニカを抱えて王城へ戻った。
次はこの帰り道も一緒に見たいな……
そう思いながらアニカを部屋のベッドに置いて自室に戻った。
次の日。
そっとアニカが訓練場へ顔を出した。何か言いにくそうだったけど、鈍い僕も何かは察した。
「ロルフ。昨日は私って……」
「寝顔。初めて見たよ」
「えぇ!……嘘っ……変な顔に……」
「大丈夫。帰り、綺麗だったんだよ。花が咲いている時期にもいいかな?……いや、やっぱり今の無かった事に……」
僕は途中から恥ずかしくなってきて、真っ赤に染めた顔を両手で覆った。
何やってるの……そんな事……
「ふふっ。行きたいな。次は絶対に寝ないから」
そう言ってアニカが微笑んだ。
「寝ても連れて帰るから大丈夫だよ……」
手を下ろして気恥ずかしそうに言うと笑われた。
「ふふっ……ふふ、良かった。貴方が私の護衛で」
え? それは、どういった……
「覚えてて。約束」
そう言ってアニカは僕に小指を向けた。
小指……? なにそれ?
「あれ? 知らない?」
僕は首を傾げながら頷いた。
「指切り拳万……って知らないか……約束する時の決まり文句なんだけど……」
僕は小指を繋いだ。
「……分かった」
「うん。あ、呼び止めてごめん。ソフィーのためにも頑張るね」
そう言ってアニカは訓練場から出ていった。
ソフィーか……アニカに話して良かったのだろうか……いや、アニカは知る権利があるけど……
知らないといけないってのは無いか……
「ロルフって、姫様に惚れているのか?」「きっとそうだろ」「自分の事を良く見過ぎだよな」「健康優良児のあいつが風邪を引いた時も見舞いに……」
そんな陰口にはもう慣れた。だけど、この日はちょっと耳を傾けてしまった。
二ヶ月後。
最近、調子が狂っている。だから、またサンコウの木に向かった。
アニカは何も予定が入っていなかったから、僕はここにいる。
年中無休の仕事は辛い……
仕事を始めてから初めてそう感じた。
二年目か……先輩からは、変な目で見られるし、後から入ってきた人もいい目とは言えない。
話さないから分からないけど、あの組手を志願した人もあれから冷たい。
風が木の葉を揺らして子守唄みたいで気持ちい。
「あら? ここにいたの?」
ロザンナがいつの間にか後ろにいた。
え? 風に集中して……こんなんだったら、先輩にも後から入ってきた人に舐められて終わる。
「色々と調子が悪そうだね。アニカからここを教えて貰ったんだ。自分が出たらいけないってね」
図星か……隠し事は苦手なんだよな……
「図星って顔してる。でも、こんな所に通ってたなんてね。ロルフの事って分からない事ばかりで……ふふっ」
……そんなに分からない事ばかりなのかな? でも、話すと僕の自由が無くなっていく……この立場になって自分の自由を求めていけないんだろうけど……
でも、アニカには、もう知ってて欲しい事は口を開いている。だけど、知ってて欲しくない事は……
「ふっ。私は帰るね」
そう言ってロザンナは持ってきていた槍を持って道がある方に向かった。
……分からない。何で、情報を他人に流したくないのか……
僕は風が揺さぶる青々とした葉を見つめた。
コメント
1件
第21話、読み終えたよ〜…!✨ 星空のシーン、めっちゃ綺麗で心がじんわりした…😭💕 ロルフが「指切り」知らなくて小指繋ぐところ、不器用なのにすごく尊くて悶えた! あと、アニカが「出来損ないなんて」って言い返すところも、ちゃんとロルフのこと想ってるのが伝わってきて良かった…。でも周りの陰口とか立場の難しさもあって、読んでて胸がぎゅっと苦しくなったよ…。次、どうなるのかめっちゃ気になる! 続き楽しみにしてるね⋆♡