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「んー、…」
今思い出したのは正直きつい。
今は義父と義弟の家に引っ越しに来ている。
そう、俺はあのゲームの主人公とやらになったようだ。つまり、この先俺はあの義弟に恨まれる。怖くはないが、自分の推しに嫌われるのはキツイ。嫌だ。
「ほら着いたわよ。」
「あ、今行く。」
この人があんなに可愛い義弟を嫌う意味がわからない。だが、それはどうしようもない。
そう思いつつ家に入った。
「やぁ、煌(こう)くんだね、?」
煌「はい、」
「かしこまらなくていいよ。」
煌「じゃあ、よろしく。」
義父がはは、と笑っている。この人はあの子が苦しんでるのも知らない。どうでもいいんだ。嫌いではないが、好きでもない。どうせこのあと県外に行くやつだ。性格なんてたかが知れてる。
義父「おーい、来たぞー、」
自分より幾分か低い声が響いた。しばらくすると、少し俯きつつ、義弟がやってきた。
義父「玲(れい)あいさつしなさい。」
玲「こ、んにちは…」
緊張しているのか、少しかすれた声が響いた。
母「……、」
煌「よろしくね。」
義父「玲、部屋に案内してきなさい。父さんたちはリビングで話し合いするから、呼んだら来なさい。」
玲「はい、」
母は、さっきの玲への態度とは打って変わってハートの飛んできそうな顔をして義父について行った。見たくなかった。最悪だ。
煌「えーっと、玲くん、?」
玲「あ、えっと、その…」
しどろもどろに、声を出そうとしている。正直めっちゃ可愛い。今も、俺の袖をクイッと引いてオロオロしている。
煌「2階に部屋あるのかな?」
ひっしにコクコクと頷く。可愛い。相変わらずオロオロしながら。部屋に案内された。ベット一つと学習机が一つ。必要最低限の物しかなかった。端にあるベットにあぐらをかいた。何処かかしこまったように立っていたので手招きをして膝に乗せた。びっくりされたが抵抗はしてこない。そのままじっとしていると。固まっていた身体が少し緩んだ。 …気がする。今はこれでいい。緊張を解くことが最優先だ。
煌「飴あるけどいる、?」
コクンと頷いたので、ポケットから飴を掴み取った。手を出すと、スポーツ用のタブレットやらのど飴やらが入っていた。
煌「どれがいい?」
玲「これ。」
そう言って、イチゴ味の飴を指差した。その飴をあげて、自分も他の飴を取った。上からは見えないが完全に緊張が解けたように見える。良かった。
少しすると、話しが終わったらしい。
義父「おーい、もう下に来ていいぞー。」
そう言われた。もうちょっとゆっくりしたかったが、しょうがない。玲を下ろして、一緒に行こうと手を繋いだ。驚きもされずにゆっくり手を握り返してくれた。かわいい。一緒に下に行くと。
義父「すまんな、忙しくて出前しか頼めなかったんだ。」
母「でも、どれも美味しそうでしょ。ほら、デザートもある。」
喋り方があんまりにもぎこちなくて苦笑いしてしまった。このあときっと、仕事の話をするのだろう。そう思って夕飯を食べていた矢先。
義父「なぁ、二人とも。…………」
内容はわかっていた。雑音を聞き流すように聞いていた。でも玲は、驚いて何かに失望した顔が見えた。主に恨まれた原因はこれだ。ここから本編の中2になるまでに、どうにかしなければ。「もう寝る。」と言って玲は、行ってしまった。止めようとしたけど言葉が出なかった。両親は何も言わずに話を続けた。今すぐ殴りたかったが抑え、話を聞いた。この親達は敵だ。
絶対俺が玲を救う。
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